日本でTMS(Transmedia Storytelling)をやるならば、その一:エンタメ考察03

ETCP(EntameTech Consulting Partners、エンタメテック・コンサルティング・パートナーズ)の吉見です。

音楽、芸能、ゲーム、コンテンツ配信業界の数々の現場を経験。実務的なアドバイスから権利問題まで幅広い領域をカバーしています。そんな僕の考えていることを書いていきたいと思います。

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さて、今回は日本でTMSをやるならば、という妄想を書いてみます。とはいうものの、地上波の連ドラとかを前提にすると荒唐無稽になるので、少しは現実味のあるラインで考察します。

まず設定世界観は、近未来世界(日本のコンテンツならばガンダム系)か現実とファンタジーが入り混じる世界(仮面ライダー、鬼滅の刃)にします。現代現実世界、もしくは史実に準じるような事実を根底とする世界設定だと、コンテンツがヒットして拡大展開が望まれる際に、事実の呪縛に捕らわれ、自由にコンテンツ創作をすることが難しくなります。ただ、完全なファンタジー世界にしてしまうと、世の中に思ったより多く存在する「ファンタジーは苦手」「ファンタジーと聞いただけで子供向けと誤解する」層を取り込めないので回避した方が無難です。また、ファンタジーの度合いが強すぎるとオタク度が高くなり、マス・マーケットから外れてしまうのでその按配が難しいところ。要所に現実世界のリアルさや苦悩、厳しさを差し込まないと、所謂「萌え系」という現実逃避コンテンツになってしまいます。現実逃避が悪いわけではないのですが、大きなヒットを狙うならば、ここは避けていくべきでしょう。

世界観のバランスを取るためには単一クリエイターの発想ではなく、チームでの構想が必要となるでしょう。TMSのメリットの一つは、あるピース(作品)は滅茶苦茶「萌え系」コンテンツ、マニアックな内容にすることも可能であることです。TMSの中には濃淡があって良いのです。濃が得意な人、淡が得意な人、全体を俯瞰して流れを作る軸となる人、そういう人たちがチームとなってコンテンツを作り上げることがTMSには必要なのではないでしょうか。

淡の部分だけで満足するファンもいます。濃淡含めて、全てを味わい尽くしたいファンもします。自分の気に入った部分だけつまみ食いしたいファンもいます。TMSではそれら全ての層にアプローチ可能なのです。

実はこれ、スポーツに当てはまるんですよね。勝敗に熱狂し応援に価値を感じる人、チームの選手からコーチ、はたまたフロントまでを知り尽くして分析して楽しみたい人。ある特定の選手の動向に熱中する人。濃淡ありますよね。それをコンテンツでも実践したいのです。

次回は、具体的な手段について考えてみたいと思います。

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