TMS(Transmedia Storytelling)を考えてみる:エンタメ考察02

ETCP(EntameTech Consulting Partners、エンタメテック・コンサルティング・パートナーズ)の吉見です。

音楽、芸能、ゲーム、コンテンツ配信業界の数々の現場を経験。実務的なアドバイスから権利問題まで幅広い領域をカバーしています。そんな僕の考えていることを書いていきたいと思います。

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TMSとは、大きな物語を複数のメディアで断片的に語る手法のことです。今までのメディアミックスは、一つの物語を様々な手法(メディア)でアウトプットするというのがメインでしたから、それとは一線を画す手法でしょう。続編や外伝を作るのとも違います。つまり、原作ありきで派生していくコンテンツ展開ではないのです。

ジグソーパズル的な手法です。ただ、全て紙片じゃなく、映画、ネット、テレビ(地上波、BS)、有料か無料か、ゲーム化するか舞台化するか、敢えて書籍化(文字化)するか、イベントにしてしまうか、あらゆる選択肢の中からピースの成り立ちを選ぶことが出来ます。

原作ありき案件の問題は「先生のご機嫌伺い」に尽きると思います。コンテンツにとってオリジン、つまり原作者の価値は絶大です。そのオリジンが一個人(=先生)の場合、先生の意見が全てを左右する場合が多々あります。実は先生ではなく「先生の取り巻き」という既得権益者が問題の根本であることの方が多いのですが、とにかく先生がキーパーソンとして君臨してしまい、そこがボトルネックとなり、自由なビジネス展開が阻害される場合があります。

TMSではありませんが、ガンダムやポケモンは圧倒的な原作者がいないことによって幅広く展開出来たコンテンツの好例だと思います。ちゃんとした世界観をキープしクオリティを確保すれば、ファンもコンテンツ側を信じて着いてきてくれるのです。

先日、「麒麟がくる」が最終回を迎えましたが、大河ドラマなどはTMSに向いているコンテンツだと思います、NHKじゃなければですが(笑)。平成仮面ライダーシリーズも、マネタイズポイントを子供から大人に完全に変更するならば、TMS向きでしょうが、現実的ではないですね。今、日本で成功しているTMSコンテンツはブシロード系のコンテンツかもしれません。ゲーム、アニメ、音楽、舞台といった様々なコンテンツ展開を一つの世界観の中で実施しています。この流れを、言い方は悪いですが「もう少し一般人」向けコンテンツに応用出来ないものでしょうか。

次回は具体的なアイデアについて書いてみたいと思います。


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