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とにかくあてもなくこのドアをあけようよ

「とにかくあてもなくこのドアをあけようよ」

これは僕が高校生のときに買った本のタイトル。

この本は詩人の銀色夏生さんが旅をして、そこで撮った写真に詩を書いたとってもきれいな作品集。
読んでいると旅に出たくなるし、詩を書きたくなります。

でもこれを買った当時は、銀色夏生さんを全く知らなかったし写真に興味があったわけでもありませんでした。
しかも値段は1800円で高校生の僕にとってはけっして安くない本。

それなのにこの本を買ったのは
「とにかくあてもなくこのドアをあけようよ」
という言葉を見た瞬間、頭蓋骨を飛び越えて胸に突き刺さったからです。

なんでもやってみないとわからないし、やれるならなんでもやりたい。でも高校生の自分には制限がありすぎる。
ということを歯がゆく感じていた僕にとって、この言葉はすごくキラキラして見えて、この本をあけることで何かが始まるんしゃないか!と、わくわくしたことを覚えています。

今思えば、昔から言葉が好きだったのかもしれません。

大好きだったブルーハーツの歌詞。
その言葉を歌いたくて始めたバンド。
そうなったら自分の言葉を歌いたくて書いたオリジナル曲。
中学生のときに出会って、今でも生き方のコンパスになっている「きょうは死ぬのにいい日だ」
小学一年から通っていた剣道の先生の教え。

そういう色んな言葉が大切なものとして、僕の中にたくさんあります。
でもいつも表にあるわけじゃなくて、ほとんどはずっと奥の方にあり何かのきっかけで思い出したりするのですが、今日はなんの前ぶれもなく突然頭に降りてきたのです。

「とにかく あてもなく このドアを あけようよ」

それまでは本棚にあることすら忘れていました。
でもあまりにも強く聞こえたので、これはなにかのメッセージかもしれないと思い考えてみることに。

ドアをあけろ。ってことかな?

いやいやそんなことはないはず。二児の父になりドアの数は減ったものの、興味のあるものはあけています。

じゃあ、とにかくあてもなくってことか?

と考えてみると、確かにあてもなくドアをあけることはなくなったかもしれません…

以前なら、漫画は表紙や帯の文が気になれば内容は全く知らなくても買っていたし、食事をする店も見つけたときの直感で入っていました。
映画も何をやっているのかチェックもせずに、到着したタイミングでちょうど観れる作品を観たり、車で走る方向だけ決めて現地調達で遊ぶとかもしていたし、思いつくまま試すこともいろいろありました。
それが当たりでもハズレでも気にしていなかった。

でも今は自分の好みだとか、ネットでの情報だとか、無駄がないようにだとか、ハズレを引かないようにとかを考えてしまって、失敗しないドアをなるべく選んであけてしまっています。
それはもちろん楽しいことだし、やりたいことはやっているし、家庭があることも考えれば合理的なんだけれど、どうなるかわからないワクワクは少ないですよね。

とにかくあてもなくあけれるドア。

今の自分にそれを探すのは難しいかもしれない。
でも急に降りてきた言葉にはなにか意味があるはず。
いろいろ考えた結果、僕が今日決めたことは

「すすめられたドアをあけよう!」

です。
自分では選ばなかったドア。失敗するかも知れないけど、すすめてくれるぐらいだから悪いものではないはず。ハズレだったとしても話のネタにはなるだろうし、当たりだったらラッキーです!

今年のやることがまたひとつ増えました。
オススメをいくつ試せるかはわかりませんが、

「とにかくあてもなくオススメのドアをあけよう」

とおもいます。。。

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