周大サイドストーリー

 本編では触れることのできなかった僕にとって重要な出来事や出会いを書いていきます。暇があればぜひ。
 なお、見出しの数字に関しては本編準拠となってます。この時期にこういうのが、っていう風に見てもらえればと思います。

7.3 Sくんとの出会い

 2018年5月。室蘭のゲームセンターに行き始めたころである。やけにすらっとした姿勢でギターフリークスをやっている、銀ネームの男がいた。見た目的に20前半かもしかしたら後半かもしれないといったところ。工大の院生だろうか。
 あまりの音ゲーに対して淡白な雰囲気に、音ゲー歴15年の僕は直感で「ただものではない」と感じた。数多の上手い人を東京で見てきた身として、周りの人間と明らかに違うオーラがあったのだ。
 一度見ただけでなぜか記憶にこびりついていた彼を次に見かけるのはとても早かった。約一週間後のことである。彼の名前の色は銀色から金色へと変わっていたのだ。当時、ドラムマニアをお遊び程度に青グラまでやっていた僕にとっては未知の世界だったが、やはりどう考えても銀から金にするのは大変な作業なのではないかと思っていた。
 そんな時、ギターに飽きた彼はフラっとビートマニアにカードをかざした。段位は皆伝。(うわ、あの人デラもできるのかよ…どんな実力なんだ?)と、興奮気味に彼のランプを見る。ランプ自体はまぁまぁ強めの皆伝かというレベル。しかし、Verflucht(A)にカーソルが合わさった瞬間、前述の予感は的中した。
 

AAA+200 おまけにFC


 



 僕が見てきた中で、立川の某Tさんというトプランを除くと一番スコアが高かった。当時の僕では到底追いつけないようなスコアを残していた。
 そこから、僕にとって彼は憧れになった。おそらく院生(歳が4個くらい上)のかっこいい(音ゲーに対する淡白な姿勢が)しかもうまい(うまい)お兄さん。彼に認めてもらう、注目してもらうためにビートマニアを頑張ることにした。
 そんなある日、Lv.12のAAAを増やそうとしている僕はLaser Cruster(A)を選曲した。待ち椅子には憧れのお兄さんとNさんという方(当時は二人とも絡みなし)。あたり譜面を引けた僕は長らく狙っていたAAAを達成した。少しうれしくて一人なのに「よしっ」と声を漏らし、意気揚々と写真を撮る。そんな時、後ろから声がした。
 

「おっ、やるじゃぁ~んw」



 憧れのお兄さんだった。なんて嬉しいのだろう。うれしすぎて後ろを振り向きたくなる気持ちを必死に抑えて、次の曲に向かった。
 その日の帰り、同期音ゲーマーのKくん、Mくんに、憧れのお兄さんがら褒められたということを伝える。反応はあまりよくなかったが自分的には満足だった。自転車で坂を駆け上がる。寒い夜だった。
 同時進行で僕は院生の女音ゲーマー"DJ A"から僕は新入生としてかわいがられ(つきまとわれ)ていた。後々知るのだが、この周辺ではとても有名な人のようで、ディノス勢BB勢関わらず全員が存在を知っている、そんな唯一無二の女性だった。
 最初のころは話しかけてくれただけでうれしくなってしまい、一緒にお話などもしていたが、次第に面倒くさくなり塩対応レベル8阿僧祇に達していた。一緒の待ち椅子に並ぶのも億劫になりドラマニに逃げたりして時間をつぶすということをしていたある日、たまたまNさんに「(左台開いてますけど、)右でやられますか?」と聞いたことがあった。BBの当時のビートマニアは二台体制で、左右どちらの台も特徴があったので自然とみなソムリエしていたのだった。
 あー、右でやりたいかな。とNさんから伝えられた僕は了解ですと返答する。続けざまにNさんから、「君、新入生?」と聞かれたので「はい。」と返す。その次の質問は、僕の室蘭音ゲーライフを大いに充実させるきっかけとなった。
 「あの女音ゲーマー、仲いいの?」
 僕は「いえ、最近面倒くさくなったので避けてるんですよね。」と、返す。
 その後他愛もない会話を交わしていると、右側から走ってくる影が見えた。憧れのお兄さんだ。
 

「君も”こっち側”だったんだね!!」


 一言目にそう伝えられても全く理解できない。僕はおどおどしていると、「あいつと仲良くやってるわけじゃなくてよかったよ!Nさんと話していたのを見てつい走ってきちゃった!!」と続けた。
 なるほど。僕は"DJ A"と話していたから先輩方から誰も話しかけてこなかったのかと理解する。田舎の音ゲーマーは怖いと思い知った。
 正直これ以上この日のことは覚えていないが、追記としては同期音ゲーマー二人に仲良くなったことを自慢げに話したくらいか。
 一度何のタイミングだったか直後にお酒を飲む会があった。お互いほろ酔い状態だった時にいろいろ聞き、年がまったく一緒だったことを知る。そんなこんなで本名がSくんと言い、同い年。自然と敬語は取れていた。
 結局この五年間どころか、今までの音ゲーマーの中でも最もかかわりの深い男になるのは今度。

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