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主を失ったヴァルドル

以前の記事で「ホビアニにおける玩具とキャラクターの関係」について個人的なこだわりのようなものを書いたのだが、シンカリオンより先にヴァルドルにそれを感じるとは思わなかった。

予告にヴァルドルが出たときにはヴァルハランも出てくるのかな? そういえば宇宙に詳しいだろうな、とも思ってたのだが、ヴァルドルは運転士がいなくても動くことと、ヴァルドルが完全体であることが引っ掛かっていた。
もし綺麗な状態なら、ALFA-Xのデータを手に入れたオハネフが2年かけてパワーアップさせたのかもしれないという希望もあったが。

謎の音を発している、という時点で、これは救難信号なんだろうなというのは予想がついた。
ヴァルハランが発しているのかと思っていた。

ヴァルドルが、自らの意思で、ナハネを探している。
機械に意思が芽生えるのが大好きな私としてはおそらくZを見ている中で一番テンションが上がった瞬間だった。

ずっとずっと長い間、おそらくは時空も時間も超えて、ずっとナハネのことを探していた。最終的にたどり着いた先はナハネとの最後の思い出の地球。ヴァルドルに残るナハネの記憶がそうさせたのだろうか。
「主はここにいる」と信じて、最後の力でたどり着いたのかもしれない。
語彙力がなくて恐縮だが、これが「エモい」というものか。

でも、ヴァルドルが落ちてきたときに、ヴァルハランは登場しなかった。
ということは、地球にはいないのだろう。ではどこにいるのだろう。
メーテルの言葉が突き刺さる。
「主を失った」という言葉だ。

ナハネにどれだけの力や知識があるのかはわからないが、オハネフがいれば救難信号を受信できないわけがないと思う。
そう思うと、考えたくはないが、ふたりの生存は絶望なのかもしれない。
あんなにボロボロになりながらもナハネを探すヴァルドルをふたりが見つけられないとは思えないのだ。
もし単に見つけられなかっただけだとしたら、相当なダメージがあり、それどころではないくらいの絶望的な状況なのかもしれない。

ヴァルトム(名前ややこしすぎる)に完全体にさせられたときは、必死に抵抗しているようにも見えた。主はナハネだけ、そんな思いがあるのかもしれない。

でもいまごろ、ナハネがヴァルドルに「よく、戻ったな」とか言ってそっと撫でているのかもしれない。単に研究所にいなかっただけなのかもしれない。そもそも謎の音もまずゲンブさんに聞かせてみたら早かったんじゃないのとも思ったので、いまの超進化研究所ならどこか抜けててヴァルハランへの連絡が通じていなかっただけなのかもしれない。そう思いたい。

そもそもキトラルザスは愛情や家族愛などには疎かったのに、ヴァルハランはそういった感情が豊かだ。あれだけの能力があるオハネフが子供に忠誠を誓っているというか、映画のプログラムにはっきりと「ナハネを愛している」と書いてある時点で愛情はしっかり存在している。
そんな感情がヴァルドルにも組み込まれているのだろうか。

何にしても無機物と人間(ではないが)の間に芽生える絆って本当に良いものですね。



余談ながら本編にナハネが登場するなら声は普通に代わるものだと思っていたけれど、ちょっと検索してみるとあの事故のせいで代わるんじゃないかと思われているのがちょっとつらい。芸能人声優なら一般的に本編に登場するときは代わるのに、実際に登場したときに代わっていたら「あっ(察し)」みたいに思われてしまったのだろうか。


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