第212回臨時国会 内閣提出法案01号 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案をmgmgしてみる

関連法案
同時付託法案「一般職給与法」「特別職給与法」は一括審議となりますので、一般職給与法のノート(このページ)で法案雑感や記事を纏めます。

衆議院
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(212国会閣1)

衆議院 内閣委員会
2023年11月08日(水)
7h50m

1 大臣所信に対する質疑
2「人事院勧告」説明聴取
3「一般職給与法」「特別職給与法」趣旨説明聴取

衆議院 内閣委員会
2023年11月10日(金)
3h33m

1「人事院勧告」に関する質疑
2「一般職給与法」「特別職給与法」に関する質疑、討論、採決

衆議院 本会議
2023年11月14日(火)
0h51m

議員請暇の件

一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(212国会閣1)
特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(212国会閣2)

参議院
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

参議院 内閣委員会
2023年11月14日(火)
2h22m

1 一般質疑
2「一般職給与法」および「特別職給与法」趣旨説明

参議院 内閣委員会
2023年11月16日(木)
2h22m

参議院 本会議
2023年11月17日(金)
0h53m

〇議事経過 
 日程第 一 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法
       律案(内閣提出、衆議院送付)
 日程第 二 特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本
       国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を
       改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
  右の両案は、内閣委員長から委員会審査の経過及び結果の報告が
  あって、討論の後、日程第一は可決、日程第二は可決された。


ざっくり雑感

一般職給与法改正案 と呼ばれているみたい。
給与の引上げ
選択性週休三日制度の導入など
って法案みたい。

下記に関連記事をペタリしたよ。記事から読み取れる法案の雑感は

2023年4月に人事院から国家公務員の働き方で週休3日生を含む改正を人事院勧告に盛り込む検討に入っていたよ。フレックスタイム制(⽇々の始業・終業時刻、労働時間を⾃ら決めることのできる制度)を利用することを条件なんだって。
背景としては公務員のなり手が少なくなっていることがあるみたい。
休みを取った分は、ほかの勤務日に働く時間を長くすることで、4週間で合わせて155時間となっている総労働時間は維持するということなんだって。

働き方改革については、「選択的週休3日制度」の拡充を勧告した。土日に加えて1日休日にする週休3日制は、育児や介護を抱える国家公務員に限り認めている。勤務時間法を改正し、その制度の対象を、2025年4月から一般の国家公務員に広げることを求めた。

フレックスタイム制を活用し、総労働時間を変えずに、土日以外に休める日を1日設ける。国家公務員の所定労働時間は1日当たり7時間45分だ。平日に1日休むことで、残りの4日で7時間45分分働くことができるようにする。

勤務時間法の改正については、今年の臨時国会か来年の通常国会で審議する。

んーんー・・・一人の総動労時間は変わらないんだよね?

2022年の臨時国会における官僚の働き方の実態調査では、国会議員の質問案を受けて、官僚が答弁資料を作成し終えた時間は平均で「午前2時56分」だった。

って書いてあるものもあるけど、臨時国会の時3人大臣が辞職して、旧統一教会の被害者救済法をかなり詰め込んで法案化したからあまり比較の基準にはふさわしくない気がするよ。


法案情報

内閣法制局情報

主管省庁情報


審議情報

衆議院

審議経過情報
付託委員会趣旨説明
第212回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 令和5年11月8日
↓発言URL

○星野委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。河野国務大臣。
    ―――――――――――――
 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案
 特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――

○河野国務大臣 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 これは、本年八月七日の人事院勧告に鑑み、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、全ての俸給表の俸給月額について、若年層に重点を置きながら引き上げ、期末手当及び勤勉手当の支給割合を年間〇・〇五月分ずつ引き上げること等としております。
 第二に、新たに在宅勤務等手当を設けて、住居その他の場所において、正規の勤務時間の全部を勤務することを、一定の期間について一か月当たり平均十日を超えて命ぜられた職員には、月額三千円を支給することとしております。
 第三に、フレックスタイム制を活用した勤務時間を割り振らない日を設ける措置の対象となる職員の範囲を拡大することとしております。
 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 これは、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定に併せて、必要な改正を行うものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 特別職の職員の俸給月額及び期末手当等について、一般職の職員の給与改定に準じた措置を行うこととしております。
 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

○星野委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十九分散会

→衆議院委員会討論

開会数     委員会2回 
討論      ▽閣法第1号、閣法第2号及び修正案一括
○賛成・・・中山展宏君(自民)、本庄知史君(立憲)、塩川鉄也君(共産)、緒方林太
郎君(有志)
○反対・・・堀場幸子君(維新)、大石あきこ君(れ新) 
議決結果    可決 
会派態度    多数 
賛成会派    自民、立憲、公明、国民、共産、有志 
反対会派    維新、れ新 
予算との関係  無 
↓発言URL

○星野委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――

○星野委員長 この際、内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、青柳陽一郎君外二名から、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。青柳陽一郎君。
    ―――――――――――――
 特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――

○青柳(陽)委員 ただいま議題となりました特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府原案は、内閣総理大臣や政務三役を含む特別職の国家公務員の給与を、一般職の国家公務員の給与に準ずる形で引き上げることとするものです。
 しかし、急速に進む円安や、原油を始めとする原材料価格の上昇などにより物価は高騰を続け、賃金、所得が物価高に追いつかず、多くの国民の生活は厳しい状況に置かれています。それにもかかわらず、内閣総理大臣や国会議員から任命されている政務三役などの給与を引き上げることは、到底国民の理解が得られるものではありません。
 また、政府原案は、二〇二五年大阪・関西万博の政府代表の給与についても引き上げるものです。
 しかし、二〇二五年大阪・関西万博の会場建設費は、二回増額され、当初計画から一・九倍の二千三百五十億円となり、国民に対して納得いく説明のないままに国による負担の受入れが表明されたところであり、加えて、海外パビリオンの建設工事の遅れなども指摘されています。このような中で政府代表の給与を引き上げることも、到底国民の理解が得られるものではありません。
 加えて、政府の予算編成を担当する財務副大臣が税金を度々滞納している事実も明らかになりました。開いた口が塞がりません。
 以上のことから、内閣総理大臣、政務三役などや、二〇二五年大阪・関西万博の政府代表の給与を引き上げず、現行のまま据え置くため、本修正案を提出する次第であります。
 次に、本修正案の内容を御説明申し上げます。
 第一に、内閣総理大臣並びに国務大臣、内閣官房副長官、常勤の内閣総理大臣補佐官、副大臣、大臣政務官及び常勤の大臣補佐官のうち国会議員から任命されたものの俸給月額について、特別職の職員の俸給月額の改定にかかわらず、当分の間、なお従前の例によるものとするとともに、これらの者の期末手当についても、当分の間、支給割合を百分の百六十五とすることとしております。これに伴い、国会議員が受ける期末手当についても、内閣総理大臣や政務三役などの例によるものとすることとしております。
 第二に、二千二十五年日本国際博覧会政府代表の俸給月額について、改定にかかわらず、当分の間、なお従前の例によるものとするとともに、期末手当の支給についても、当分の間、内閣総理大臣や政務三役などの例によるものとすることとしております。
 このほか、所要の規定を整理することとしております。
 以上です。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○星野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――

○星野委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申出がありますので、順次これを許します。中山展宏君。

○中山委員 自由民主党の中山展宏です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の二法案に対し賛成の立場から、立憲民主党から提出された修正案に対し反対の立場から討論いたします。
 まず、一般職給与法改正案についてです。
 賛成する理由は、本年の人事院勧告を踏まえ、民間給与との較差を解消するに当たり、初任給を始め若年層に重点を置きつつ俸給表の引上げ改定を行うとともに、テレワーク手当の創設やフレックスタイム制の更なる柔軟化を行うものであり、働き方の多様性への対応や公務組織への人材確保の観点から適切であるものと考えるものであります。
 国家公務員の給与は、地方公務員や独立行政法人の職員のみならず、公務員に準拠している学校や病院などの民間職員の給与にも影響を及ぼすものであることから、賃上げの流れを止めないためにも、早期の成立、施行が必要であると考えます。
 次に、特別職給与法及び政府代表臨時措置法改正案についてです。
 賛成する理由は、特別職の国家公務員には、内閣総理大臣や国務大臣のほかにも、会計検査院長や人事院総裁、各種委員会の委員長など様々なものがあり、多様な人材を確保するため、一般職職員の給与との均衡を図るとともに、公務員全体の給与の体系を維持する観点から、民間に準拠した改定を続けていくことが適切との政府の判断には同意できるものであると考えます。
 その上で、総理や閣僚などの給与が上がることについて、昨日、法案成立後に、政治家である総理及び政務三役については、総理三割、大臣、副大臣二割、政務官一割の返納という今の取組に加え、今回新たに給与の増額分全てを返納する旨を申し合わせるとの方針が表明されたことを承知しております。
 あわせて、本法案に際し、民間の賃上げの実現に向けて、一層の責任を肝に銘じて、政府と共に果たしてまいりたいと考えます。
 なお、立憲民主党から提出された特別職給与法及び政府代表臨時措置法改正案に対する修正案については、官職の給与は職務と責任に応じて定まるものであるにもかかわらず、総理や政務三役の給与を据え置くのは、ほかの官職とのバランスを損なうことなどから反対するものであります。
 以上のことから、速やかに政府提出二法案を成立させることを委員各位にお願い申し上げ、私の討論といたします。(拍手)

○星野委員長 次に、本庄知史君。

○本庄委員 立憲民主党・無所属の本庄知史です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました国家公務員一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案については、我が党会派提出の修正案に賛成、政府原案に反対の立場から討論をいたします。
 一般職の給与法改正案は、八月に出された人事院勧告に基づくものであり、民間給与との較差を解消し、初任給を始め若年層に重点を置いた月給、ボーナスの引上げ、在宅勤務手当の新設、フレックスタイム制の更なる柔軟化などを主な内容とするものです。物価高、賃上げの流れ、働き方改革、公務の人材確保等に資するものであり、賛成です。
 特別職の給与法改正案については、政府原案は、総理大臣や国務大臣始め政務三役の月給、ボーナスの引上げを含むものであり、総理大臣は四十六万円、国務大臣は三十二万円の給与アップとなります。また、仕組み上、これに連動して、国会議員のボーナスも十八万円アップします。
 物価高、これに追いつかない賃上げで、国民生活は厳しさを増しています。政府の経済対策が、低所得世帯に七万円の給付、それ以外の方々には来年六月以降四万円の減税という中で、政治家が真っ先に、しかも、一般の国民への給付や減税を大幅に上回る給与アップというのは、反対です。このような恥ずかしい法案を、政府そして与党も了承し、国会に提出してきたことに、私は強い違和感を覚えます。
 今回の給与アップ法案に国民の怒りは収まらず、政府は慌てて、原案どおり月給、ボーナスを引き上げた上で、総理大臣や国務大臣は引上げ分全額を国庫に返納すると表明しました。しかし、それであれば、初めから据え置けばいい話です。また、国会議員は、公職選挙法上、ボーナスを国庫に返納ができません。いつもながらの場当たりの、取り繕っただけの対応は、国民に見透かされています。
 立憲民主党会派提出の修正案は、総理大臣や国務大臣始め政務三役の月給、ボーナスを引き上げず、これを据え置くとともに、連動して引上げとなる国会議員のボーナスも据え置くものです。
 過去には、平成十年、小渕政権において、当時の厳しい経済状況を理由に、政府案を議員修正し、総理大臣や国務大臣、国会議員の月給、ボーナスを据え置いた前例もあります。
 国民の理解と信頼を得ながら、現下の厳しく困難な状況を乗り越えていく。そのためにも、我が党会派が提出した修正案に、与党含め各党各会派の御賛同を賜りますようお願い申し上げ、私の討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○星野委員長 次に、堀場幸子君。

○堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。
 会派を代表して、ただいま議論となりました国家公務員の一般職、特別職の給与法案に反対、修正案に賛成の立場から討論をいたします。
 そもそも、この一般職の給与法案は、単に公務員の給与を上げる下げるということだけを規定しているものではありません。給与体系、すなわち仕事に対する評価に関わることだと認識しております。だからこそ、我が党は一貫して、現在の公務員制度を抜本的に改革し、能力・実力主義にのっとり、めり張りの利いた人事制度を導入するべきだと主張しております。
 従来の日本型の雇用慣行である終身雇用と年功序列から微修正を繰り返している現在の公務員制度は、様変わりしている民間企業の人材採用マーケットから取り残された存在となっています。高い専門性を有する人材のフレキシブルな採用や、ジョブ型雇用も進みつつある日本の働き方の変革に追いついていくべきです。
 大切なことは、職種や実績にかかわらず一律に昇給していくという考え方から脱却し、能力を発揮している公務員がしっかりと報われる制度を構築することです。ただ単に初任給を上げるだけではなく、若手の段階から能力や仕事の専門性等を評価される、それに基づく賃金制度の再構築と待遇改善、賃上げが必要であると考え、本法案には反対いたします。
 もう一つの法案である特別職の給与法案は、総理や政務三役を始めとする国会議員の給与を増額するものであり、到底受け入れられるものではありません。物価高に賃上げが追いつかず、国民が税負担や社会保険料の増額に苦しむ中、総理たちの給与を先に上げる道理はなく、国民からは厳しい目線が注がれています。
 総理は、予算委員会における我が党の議員からの指摘を受けて、今更ながら特別職の給与法の増額分を全て国庫へ自主返納するという宣言をされました。そうするぐらいなら、法案そのものを見直して、給与自体を最初から上げるべきではありません。右往左往している感が否めません。
 また、国会議員の期末手当もこの特別職給与法で定められており、どさくさに紛れて国会議員全体の給与が上がるということは看過できないことです。強く反対いたします。
 総理や閣僚、整備費の増額が続く現状での万博政府代表の給与、そして国会議員の期末手当は決して上げるべきではないという観点から、修正案には賛成いたします。
 その場しのぎの自主返納ではなく、今後は総理などの給与が特別職と連動しない法改正を早急に準備、提出することを申し上げ、反対討論とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○星野委員長 次に、塩川鉄也君。

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員の一般職、特別職の給与法等改正案について討論を行います。
 特別職給与法案を、賃上げの流れを止めないために必要として、岸田内閣総理大臣や閣僚などの給与を引き上げることに、国民は怒り心頭であります。断固として反対するものです。
 未曽有の物価高騰が国民生活に深刻な打撃を与えている今、コストカット型経済を続け、非正規雇用を拡大し、日本を賃金の上がらない国にしてきた自民党政治の責任が問われています。そのときに総理大臣らの給与を引き上げることは、国民の理解を得られるわけがありません。
 その上、岸田政権が本案成立後に引上げ分を国庫返納する方針と述べていることは、余りにもこそくで、国民を愚弄するものと言わなければなりません。国民の不信を招くことがあってはならないというなら、特別職給与引上げ法案はきっぱり撤回すべきであります。
 立憲民主党の修正案は、総理大臣や閣僚などの給与を据え置き、引上げを認めないものであり、賛成であります。
 一般職給与法案は、給与を引き上げるものであり賛成としますが、余りに不十分です。国民の生活が苦しさを増している今、求められているのは物価上昇を超える賃上げです。
 にもかかわらず、本案は、民間準拠を根拠とした人事院勧告に沿って、僅か一・一%の賃上げにとどまっています。新設された在宅勤務等手当も実態に合わない低い額であり、高卒初任給が最低賃金以下になる地域も残されたままです。国家公務員の生活を保障するものになっておりません。これで賃上げの流れとどうして言えるでしょうか。
 地域手当による地域間格差の問題も深刻です。最低生計費は全国どこでも同水準であることが明らかになっています。地域の低賃金構造を固定化し、地域間格差を拡大する地域手当は廃止すべきです。
 そもそも、国家公務員法六十四条二項は、俸給表は生計費も考慮すると定めています。生計費原則を重視する給与制度への見直しを強く求めるものです。
 国家公務員の給与が、地方公務員や病院、学校、幼稚園、保育など数百万人の労働者の給与に影響を与えていることは、政府も認めています。まず公務において賃上げを率先して実現することこそ国の責任です。
 フレックスタイム制については、そもそも脆弱な人員体制の中、長時間労働、超過勤務が常態化している公務の現場において、その利用は容易ではありません。個々人の就業時間が分散することで公務の集団的執務体制の弱体化を招くとともに、就業時間が客観的に把握されないまま推し進めることで長時間労働が常態化するおそれもあります。これらの現状を放置し、介護育児等職員に限定した制度を一般職員全員に広げることは、懸念を深めるものです。
 優先すべきは、職場における人的体制の拡充や勤務時間の適正な管理、努力義務にとどまらない勤務間インターバルの制度化などの実現です。
 公務公共サービスを拡充し、長時間過密労働、非常勤職員の拡大、男女賃金格差を解消するためにも、定員合理化計画を撤回し、総人件費抑制政策の廃止を求めて、討論を終わります。(拍手)

○星野委員長 次に、緒方林太郎君。

○緒方委員 採決に際し、討論いたします。
 一般職給与法は賛成、立憲民主党提出の修正案に賛成、特別職給与法に反対です。本件については、既に私の前に数多くの議論と意見表明がなされたので、私がそれ以上の追い打ちをかけることはいたしません。
 せっかくの機会ですので、国家公務員制度の一端について河野大臣に提案をしたいと思います。
 内閣官房、内閣府の所掌事項の混雑ぶりは目を覆うレベルです。それは、この委員会の一般質疑を見れば明らかです。消極的権限争いのなれの果て、単なる重複と無駄の権化、そして機動性を失った硬直化の三つを指摘させていただきたいと思います。
 まず、消極的権限争いです。
 単に複数省庁に関わるからという理由だけで内閣府に持ち込まれている事務がかなりあります。二〇一五年のスリム化法で、各省大臣にも総合調整の権限が委ねられるようになりました。この各省大臣の総合調整権限をフル活用して、あえて名指しをいたしませんが、なぜ内閣府にあるのかよく分からない事務を各省大臣の担当に戻すべきです。
 次に、重複と無駄です。
 内閣官房と内閣府の間で同じようなことをやっている部局があります。しかも、スタッフ制で機動的に対応するという仕組みになってはいますが、そのスタッフ制とチームがタコつぼ化をして、異なるタコつぼで同じようなことをやっていることが多いです。行革の観点からも、是非目を凝らして見ていただきたいと思います。
 その延長としての、組織の硬直化が起きています。
 本来機動的に動くべき内閣官房、内閣府ですが、幾つかの組織は各省の固定ポスト、もっと直截的には植民地化しています。どこにも機動性のかけらすらない組織がかなりあります。
 内閣官房と内閣府という組織を全体として見たとき、私の感想は、世界のどこにも存在しない異形の組織という感想にしかなりません。私は、この委員会でしつこく内閣官房・内閣府スリム化法のバージョンアップを言っています。野党の方からは余り反応がないのですが、数多くの与党の諸先生から、あれ、そのとおりだと私も思うんですという御意見をいただいています。自民党諸姉諸兄に申し上げたい。御党政調において内閣の部会を二つに分けなくてはならないこと自体が異常なんです。
 落選機会の多い私ですが、国会にいるときは、常にこの内閣委員会に所属する族議員だと自負をいたしております。だからこそ、この点を強調させていただきました。河野大臣に響くものがあったことを期待しながら、討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)

○星野委員長 次に、大石あきこ君。

○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
 会派を代表して、給与法二法に共に反対の立場から討論を行います。なお、立憲民主党提案の修正案は、正直、一般職の賃上げ修正が優先だろうと思いますが、さりとて、我が党の、総理などの特別職は所得向上の対象外だという考えと大きく矛盾はしないため、賛成です。
 給与法二法に関してです。
 人事院勧告を踏まえ、一般職公務員の給与は増額されていますが、民間の賃金上昇は物価高騰に追いついておらず、そのため、官民較差を埋めるということを第一目的とする人事院勧告を実施する給与法の仕組みでは、公務員の実質賃金も物価高騰に追いついていかないのは当然です。
 その点を踏まえ、有識者からは、人事院勧告プラスアルファが必要という指摘がなされています。公務員給与は低い方がいいというこれまでのプロパガンダからの転換が必要です。
 人事院勧告の結果は、来年の民間給与に大きな影響を及ぼします。公務員給与が例えば五%引き上げられれば、来年の民間給与もそれかそれ以上に引き上げざるを得ないでしょう。それが賃金上昇を伴ったデマンドプルインフレ、よい物価高への移行なのです。
 民間労働者であろうが公務員であろうが、この国の生産、供給を支える労働者であり、そして消費を支える重要な主体です。岸田総理は公的部門の賃上げを目標を持って行うべき。これに法的、道義的問題はありません。今こそ、人事院勧告を上回る画期的な法改正をするべきです。
 以上の理由から、一般職給与法改正案には反対します。
 次に、特別職給与法案についてです。
 総理大臣などの特別職については、現状、公務員の働きがいを奪い、そして経団連とアメリカの顔色をうかがう上級国民の方々がお座りになっていることから、所得向上の対象外とし、したがって、増額改定には反対します。
 また、この法案は、万博政府代表の給与引上げが含まれます。これが身を切る改革の実態、うその現れ。れいわ新選組は、万博中止を求める立場からも反対します。
 公務員給与については、身を切る改革や構造改革の誤ったプロパガンダによって、公務員バッシングのやり玉に上がってきました。しかし、今こそ、正規一般職だけではなく、非常勤も含めて底上げし、三十年以上続いたコストカット経済からの脱却の第一歩とするべきです。
 れいわ新選組は、物価上昇にすら追いついていない、単純に人事院勧告に従うだけの給与法には反対します。
 終わります。

○星野委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――

○星野委員長 これより採決に入ります。
 まず、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○星野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、青柳陽一郎君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○星野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○星野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――

○星野委員長 次回は、来る十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十三分散会

衆議院本会議委員長報告
↓発言URL

○議長(尾辻秀久君) 日程第一 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案
 日程第二 特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長大野泰正君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔大野泰正君登壇、拍手〕

○大野泰正君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案は、本年八月の人事院勧告に鑑み、一般職国家公務員について、俸給月額、期末手当及び勤勉手当等の額の改定並びに在宅勤務等手当の新設を行うとともに、フレックスタイム制を活用した勤務時間を割り振らない日を設ける措置の対象となる職員の範囲を拡大しようとするものであります。
 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案は、一般職国家公務員の給与改定に伴い、特別職職員の給与額の改定を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、特別職国家公務員の給与改定の在り方、賃上げ促進の観点による国家公務員給与の引上げの意義、国家公務員の働き方改革推進の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民杉尾委員、日本共産党井上委員より一般職給与法等改正案に賛成、特別職給与法等改正案に反対、日本維新の会片山委員、れいわ新選組大島委員より両法律案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

○議長(尾辻秀久君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。石垣のりこ君。
   〔石垣のりこ君登壇、拍手〕

○石垣のりこ君 立憲民主・社民の石垣のりこです。
 会派を代表しまして、国家公務員一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案には反対の立場から討論をいたします。
 憲法第十五条第二項は、全ての公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないと定めています。使命感と倫理観及び職務にふさわしい能力をもって国民、日本に住む全ての人々のために職務に当たるべき基本的責務を有する公務員が、生活の不安なく職務を遂行できるに十分な給与が保障されることは、国民生活の維持安定、また質の向上にとっても必要不可欠です。
 しかしながら、特に小泉政権以降の行政改革によって、自治体や省庁では人員削減が著しく、近年はコロナ禍も追い打ちを掛け、現場は非常に疲弊しています。実際、およそ二十年前、小泉改革以降の二〇〇二年度と二〇二二年度を比較しますと、地方公務員の数は三百二十二万人から二百八十万六千人と、およそ一三%の減少、国家公務員に至っては、百十一万四千人から五十八万九千人と、およそ五三%、およそ半数まで大幅に減少しています。
 人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較では、フランスが九十人、イギリスは六十八人、アメリカ六十四人、ドイツが六十人であるのに対し、日本は三十七人です。どのような仕事であれ、作業効率を上げ、生産性を高めることは必要ですが、公務員の仕事は必ずしも生産性や効率性を最優先にできないからこそ、公、行政が担う業務であるはずです。
 岸田総理は所信表明演説で、コストカット経済からの歴史的転換を図ると述べられましたが、行き過ぎたコストカット経済を推し進め、行政の現場を疲弊させてきたのは、まさに岸田総理を生んだ自民党政権であり、まずはその反省から始めるべきではないでしょうか。
 また、政府は声高にデジタル化による行政の効率化を叫びます。しかし、マイナ保険証の混乱に象徴されるように、現場を顧みないデジタル化を推し進めた結果、業務量は減るどころか、むしろ現場に余計な負担を強いているのが実情です。デジタル化が悪いのではありません。一部の業者や関係者だけが過剰な利益を得るような制度設計で進められるデジタル化によって、政府が一部の奉仕者に成り下がり、全体の奉仕者でなくなってしまっているのが問題なのです。
 今後、行政需要はより一層高度化、多様化、複雑化すると予想されており、社会情勢の変化に対応できる優秀で多様な人材の確保がますます必要になります。しかしながら、かつては人気の職業のトップクラスだった公務員は、少子化の影響を考慮しても、公務員受験者数の減少に歯止めが掛かっていません。
 国家公務員総合職において、二〇一二年度に二万五千百十人だった受験者数は二〇二一年度に過去最低の一万七千四百十一人に、コロナ禍の影響から昨年度は一旦増加に転じたものの、今年度は一万八千三百八十六人と低い水準が続いています。
 また、総務省、地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要等によれば、地方公共団体における受験者数は、二〇一一年度のおよそ六十一万九千人から二〇一九年度には四十四万人とおよそ三割減少し、二〇二〇年度に四十六万九千人とやや回復傾向が見られたものの、受験者数の下げ止まりの傾向は、中途採用試験の増加など採用形態の変化によるところが大きいと分析されています。実際、翌二〇二一年度には四十六万五千人と再び減少に転じてしまいました。
 さらに、公務員は、民間企業に比べ離職率こそ低いものの、民間の離職率の変遷が横ばいであるのに対し、公務員は増加傾向にあります。それもそうでしょう。行政文書を捏造したと自らの責任を部下に押し付けるような大臣の下では、真面目な職員であればあるほど職務を継続することが難しくなってしまうことは想像に難くありません。
 こうした逆境ともいうべき現状にあっても、全体の奉仕者として使命感をもって行政を支える自治体や省庁の現場で働く職員の皆さんの給与を民間と同じように引き上げることは当然のことであり、賛成です。そして、本来であるならば、特別職も公務員として全体の奉仕者たることに違いはなく、特別職の給与も同様に上げてしかるべきでありましょう。
 しかしながら、今回、総理大臣を始め政務三役が該当する特別職に関しては異議を申し立てないわけにはまいりません。
 目下の経済状況を鑑みれば、物価の上昇率は第二次オイルショック以来の伸び率を記録、物価高という言葉を耳にしない日はなく、食品を始め生活必需品から電気、ガス、ガソリン代と、今生きるために必要なものがどんどん値上がりしています。
 ところが、物価高対策として政府がようやく示した四万円減税はいつ届くのでしょうか。来年ですか、それとも再来年ですか。そもそも、税増収分を還元するとした減税政策は、財務大臣に増収分は既に支出していると否定される始末です。
 さきの通常国会で数の力任せにさっさと決めた防衛増税は先送り、待ったなしと言っていた少子化対策予算の倍増はおよそ十年後まで先延ばしという無責任ぶりには驚き、あきれます。
 無責任といえば、第二次岸田内閣の政務官一人、副大臣二人が任命から僅か三か月足らずで辞任に追い込まれました。それも、文科大臣政務官は女性問題で、法務副大臣は公選法の問題で、さらに、財務副大臣は税金の滞納です。岸田総理が言い訳がましく繰り返す適材適所は、まるでブラックジョークのようではありませんか。
 本来ならば、大臣であろうとなかろうと、他人の給料が上がることに対して文句を付けるようなことはしたくはございません。しかしながら、他の先進国はおおむね賃金の上昇傾向が続いているにもかかわらず、日本は過去三十年間にわたり一人当たりの賃金はおおむね横ばいで推移するという異常事態が続いています。
 大幅な円安が追い打ちを掛け、若い世代を中心に、海外で仕事をした方が日本の何倍もの収入が得られるということで、こぞって海外に出始めています。こうしたゆゆしき事態を招いてきた現在の最大の責任者は、岸田内閣にほかなりません。
 また、特別職には、二千二十五年日本国際博覧会政府代表、すなわち大阪万博の政府代表も該当します。大阪の万博の予算は、当初の千二百五十億円から一・五倍の千八百五十億円に、そして現在は何と一・九倍の二千三百五十億円まで膨れ上がっています。驚くべきことに、今後更に予算が増える可能性について、政府は否定していません。
 ずさんな見積りで多額の税金を無責任に投入し、国民の身を削りに削る万博の実施に対し、見直しの声は日に日に大きくなっています。このような状況にあって、万博開催の責任者たる政府代表の給与の増額を素直に認めることは難しいと言わざるを得ません。
 ちなみに、とある大阪の自治体では、公務員に無償労働を半ば強要し、ボランティアと称する劣悪な行政慣行がまかり通っています。立憲民主党は、そのような民間では通用しない非常識な労働環境を断じて許容しません。立憲民主党は、徹頭徹尾、働く人の味方です。
 このようなていたらくな行政運営を続けている現岸田内閣を、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないと認めることは困難です。真面目に職務に専念している一般の公務員と同等の処遇を受けることに対して、もろ手を挙げて賛成することはできません。
 そして、私たち行政監視の役割を担う野党の国会議員は、このていたらくな現政権を厳しくただしつつ、その政治の責任の一端を担う立場にある者として、今回の議員期末手当の引上げを肯定することもまた控えるべきであると考えます。
 以上の理由から、国家公務員一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案には反対する次第です。
 他人の給与を上げるなではなく、自分の給与をもっと上げよと声を上げて団結し、互いに賃金アップを実現していく、そうした健全な資本主義社会を実現するために、私たち立憲民主党は今後も働く人の立場に立って仕事をしていくことをお誓い申し上げて、討論を終わります。(拍手)

○議長(尾辻秀久君) 片山大介君。
   〔片山大介君登壇、拍手〕

○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。
 私は、会派を代表して、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論いたします。
 今国会は対決法案がないと言われてきましたが、突如大きな関心を呼ぶことになった今回の給与法の改正案。このうち、焦点となった特別職の給与法は、改めて公務員の給与制度の課題を浮き彫りにしました。それは、一般職の給与が人事院勧告を踏まえて改定されるのに準じて、最高権力者の内閣総理大臣を含む全ての特別職にまで連動させて給与が増額されていくという、信じられない、到底受け入れられない慣習です。
 昨日の内閣委員会の質疑で河野大臣は、公務員全体のバランスが大事で、公務員給与の体系自体が崩れないよう総理などの給与もアップしたと述べました。でも、そんなことを言っていたら、公務員の給与体系はいつまでたっても能力主義にはなりません。
 また、与党議員との質疑で、各国首脳の給与との比較が紹介された際、給与は職務と責任から決められるべきと述べましたが、一般職に準じて上げていくこととは関係ありません。それに、他国との比較なら、まず、この三十年間停滞し続けた経済成長や平均賃金、まさに総理が言及したコスト型、コストカット型経済の現状を比較すべきだと思います。
 総理の月六千円アップを始め、一見するとたかだか数千円のアップのように見えるかもしれません。しかし、年単位で見ると、ボーナスを含め、総理は四十六万円、大臣は三十二万円増えることになります。
 また、同じ月単位の六千円でいえば、介護職員の賃金を月六千円引き上げるための関連経費が、先週決定した補正予算案に盛り込まれました。これだってやっと実現するわけですが、それでも介護職員の給与は全産業の平均に比べて低くなっていることに思いをはせているのでしょうか。
 過去には、経済情勢などを鑑み、総理の給与引上げを見送ったケースもあります。それは今から十六年前の平成十九年のことですが、そのときの状況と比べると、経済状況は今の方が厳しいのではないでしょうか。その意味でも、今回は慎重さが明らかに足りなかったと言わざるを得ません。
 国民の批判が相次いだことで、政府の対応は途中で変わりました。当初は、既に総理は三割、大臣は二割の給与を自主返納しているからと意に介していなかったものの、国民の不満が爆発すると、政府は今回のアップ分も自主返納すると方針転換。そうするぐらいなら、法案を見直して最初から給与自体を上げないようにした方がよっぽど潔いと思います。
 また、国会議員のボーナスもこの特別職の給与法に盛り込まれており、どさくさに紛れて国会議員全体の給与がアップされることも、我々維新にとっては絶対に看過できません。
 今回の焦点となった特別職は、昭和二十三年に制定されました。その後、対象が増え続け、今では七十を超える官職が特別職に規定されており、中には総理や政務三役などの政治家も入っています。そして、総理を筆頭に七段階に分けられ、先ほども言ったように、バランスという慣習によって一般職から特別職まで連動して昇給が行われていくのが今の公務員給与体系の実態。維新は、この給与体系の在り方、中でも、総理始め政務三役など究極の特別職の職責、能力に応じた給与の在り方がどうあるべきかを検討していて、今後法案にして提出したいと思っています。そして、今回のような国民をがっかりさせることがもう起きないようにしたいと思っています。
 一方、一般職の給与法案については、苦渋の決断で反対しました。この法案が単に公務員の給与を上げる、下げるということだけを規定しているだけ、ものではないという判断からです。
 この法案は、公務員の評価制度の根幹であり、行政組織全体のパフォーマンスに大きく関わるものです。従来の日本型の雇用慣行である終身雇用と年功序列からの微修正を繰り返している今の公務員制度は、様変わりしている民間企業の人材採用マーケットから取り残された存在となっています。
 だから、我が党は一貫して、現在の公務員制度を抜本的に改革し、能力・実力主義でめり張りの利いた人事制度を導入すべきと主張してきました。高い専門性を有する人材をフレキシブルに採用する、欧米では当たり前のジョブ型雇用の働き方に追い付いていかなくてはいけません。
 例えば、イギリスでは、事務次官に該当するポジションが、省庁内だけでなく、民間含め広く公募されています。日本では考えられないことです。さらに、公募で決まった事務次官は一つの省庁にとどまることは少なく、三か所、四か所と省庁を縦断しながらポジションに就くそうです。
 日本では、大阪市で区長の選出を、職員からではなく民間を含む公募で採用しています。自治体でできる行財政改革は日本全体でも実現できます。我が党が自治体で実現してきた実例を政府も参考にしながら公務員制度改革を進めてほしいと思います。
 霞が関が率先して年功序列制度を壊していくことが、日本を変えていくセンターピンになると考えています。公務員の待遇改善にも、我々はこれまで様々な提案を出してきました。前例主義から脱却し、公務員が働きがいを感じることのできる制度改革を目指し、これからも建設的な提案を続けてまいります。
 そして、最後に、我々は、公務員制度改革に加えて、国会改革も訴え続けていることをお話しさせていただきます。
 今国会も会期末まで一か月を切りました。去年決着を付ける約束をしていた旧文書通信交通滞在費の問題、使い道の公開や残金の返金は、一体どうなっているのでしょうか。国会議員の定数削減や国会議員の歳費二割削減の継続、こちらも直ちに実現すべきです。
 国民は、こうした課題に対し、国会が本気の姿勢を見せているかどうかを注目していることを改めて述べさせていただき、本法案への反対討論とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾辻秀久君) 井上哲士君。
   〔井上哲士君登壇、拍手〕

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 私は、会派を代表して、国家公務員の一般職給与法等改正案に賛成、特別職給与法等改正案に反対の討論を行います。
 激しい物価高騰に国民生活が深刻な打撃を受ける中、特別職給与法改正で岸田総理や大臣などの給与を引き上げることに国民の怒りの声が広がっています。
 三十年に及ぶコストカット型経済を進め、非正規雇用を拡大し、日本を賃金の上がらない国にしてきた自民党政治の責任は重大です。岸田総理は、その反省もなく、国民が最も望む消費税減税には背を向けて、軍拡増税や社会保険料の負担増を押し付けようとしています。その一方で、賃上げの流れを止めないために必要だなどとして、首相自らの給与を引き上げるということなど、到底国民の理解は得られません。
 国民の怒りが広がる中で、引上げ分は自主返納するとしていますが、余りにもこそくです。返納するならば、なぜ法案はそのままなのか、国民は納得しておりません。特別職の給与引上げの法案は廃案にすべきであります。
 賃上げの流れを止めないためと言いますが、日本の賃上げは一体どうなっているのか。実質賃金は、一九九一年から二〇二二年の三十年間で、アメリカは一・四八倍、イギリスは一・四六倍、フランスは一・三三倍、ドイツは一・三〇倍です。ところが、日本は一・〇三倍にすぎません。この十年間だけで見ると、実質賃金は増えるどころか、年間二十四万円も減っています。世界でも特異な国になっています。
 今年の春闘でも、民間の賃上げは物価上昇に追い付いていません。公務は民間の水準にも届いていません。その下で、七日に発表された勤労統計の九月速報値では、実質賃金は前年比でマイナス二・四%でした。十八か月連続でのマイナスです。今必要なのは、経済政策を抜本的に転換し、政治の責任で賃上げと待遇改善を進めることです。
 一般職の給与法案は、給与を引き上げるものであり、賛成としますが、僅か一・一%の賃上げで、全く不十分な内容です。国家公務員の給与は、保育士の公定価格や地方公務員、民間企業の賃金に直接影響を与え、地域経済にも広く波及します。賃上げの流れを止めないと言うならば、公務から率先して物価高を上回る抜本的な賃上げを実施し、賃上げの流れをつくることこそ政治の責務であります。
 ところが、実態はどうか。初任給は引き上げられますが、高卒初任給の時給は九百二十二円で、都市部の八都府県では地域別最低賃金を下回ったままです。地域手当の非支給地域では、大卒で七千円、高卒で三千円、民間より低いままです。民間の賃上げの足を引っ張りかねない事態です。直ちに改善が必要です。
 全労連などの調査でも、最低生計費は全国どこでも同水準であることが明らかになっています。にもかかわらず、不合理な賃金格差を生じさせている地域手当も問題です。
 埼玉県に自宅のある国交省の職員の方のお話を聞きました。地域手当一級地の東京の職場から地域手当非支給の栃木県の事務所へ異動となると、地域手当や超過勤務手当割増し分がカットされ、一年間の激変緩和措置後、同じ住まいから通勤しているにもかかわらず、月給はそれまでの四分の一を超える八万二千六百円も減ったとのことでありました。
 そうした下で、職員の中では、地域手当不支給の地域の事務所は地域手当が出る地域の事務所よりも格下であるかのように感じさせて、人事異動への不公平感も生まれ、若手職員のやる気をそいでいるとも述べられておりました。
 級地区分の大くくりや支給割合も含めて見直すとの答弁もありましたが、見直しでは格差をなくすことはできません。地方の低賃金構造を固定化し、地域間格差を拡大している地域手当は廃止をすべきです。
 新設される在宅勤務等手当は、テレワークの実態に合わない低水準のもので、職員の自己負担は解消されません。政府は民間準拠と言いますが、在宅勤務に関わる費用は、民間であれ公務であれ使用者負担とすべきです。
 定員合理化計画の下で、公務の職場は、長時間労働、超過勤務とサービス残業が蔓延しています。これが放置をされたままフレックスタイム制による労働時間の弾力化が進めば、行政サービスの停滞、職員負担の更なる増加になりかねません。人員体制の拡充、勤務時間の適正管理、努力義務にとどまらない勤務間インターバル制度を優先して実現することを求めます。
 国家公務員の四分の一を占める非常勤職員の賃金は、常勤の半分と言われています。非常勤職員は、一年度限りの臨時的に置かれる官職とされているにもかかわらず、実際には恒常的で専門的な業務も担っています。公務員定数削減の下で、人件費抑制のために労働者が使い捨てにされているんです。
 一方、今年の人事院、公務員人事管理に関する報告では、近年、有効求人倍率が上昇し官民問わず人材獲得競争が熾烈になる中、非常勤職員の人材確保も厳しさを増しているとの意見が一部府省から寄せられている、本院は、各府省が引き続き行政サービスの提供を支える有為な人材を安定的に確保することができるような環境を整備することが重要と考えており、実態等を把握しつつ、非常勤職員制度の適切な在り方について検討を行っていくとしています。
 この中でも大きな問題が、非常勤職員がどんなに知識と経験を持っていても三年目には公募に応じなければならないという、三年公募要件と呼ばれる運用ルールです。
 厚労省のハローワークでは、労働相談員は全て非常勤の期間業務職員となっています。本来、常勤職員が担うべき恒常的な業務を担っています。ところが、このルールにより、失業された方の相談に当たるなどしている豊かな知識と経験を持つ非常勤職員が、自らの雇い止めの不安の中で仕事を余儀なくされています。公募になれば、職場の同僚とも競わされることになって職場のチームワークに影響もあります。蓄積された経験や専門性を全く考慮せず、面接結果のみで採否が決まるとされています。これらのことから、メンタル罹患される方も少なくありません。
 人事院総裁は質疑の中で、三年公募要件の在り方も検討してまいりたいと述べ、現場の職員からも直接意見を聞くことを答弁で約束されました。速やかに検討し、このような弊害を持つ三年公募要件は撤廃すべきです。
 常勤職員と非常勤職員との間にある休暇制度や手当制度の格差解消を図り均等待遇を実現をすること、多くの省庁で民間よりも格差の大きい男女賃金格差の是正も急がれます。
 公務・公共サービスを拡充し、公務の労働条件を改善をするために、定員合理化計画を撤回し、総人件費抑制政策を廃止することを強く求めて、討論とします。(拍手)

○議長(尾辻秀久君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────

○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────


参議院

議案審議情報

付託委員会趣旨説明
↓発言URL

○委員長(大野泰正君) 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。河野国務大臣。

○国務大臣(河野太郎君) ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 これは、本年八月七日の人事院勧告に鑑み、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、全ての俸給表の俸給月額について、若年層に重点を置きながら引き上げ、期末手当及び勤勉手当の支給割合を年間〇・〇五月分ずつ引き上げることなどとしております。
 第二に、新たに在宅勤務等手当を設けて、住居その他の場所において、正規の勤務時間の全部を勤務することを、一定の期間について一か月当たり平均十日を超えて命ぜられた職員には、月額三千円を支給することとしております。
 第三に、フレックスタイム制を活用した勤務時間を割り振らない日を設ける措置の対象となる職員の範囲を拡大することとしております。
 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 これは、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定に併せて、必要な改正を行うものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 特別職の職員の俸給月額及び期末手当等について、一般職の職員の給与改定に準じた措置を行うこととしております。
 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

○委員長(大野泰正君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十分散会

→参議院委員会討論


↓発言URL

○委員長(大野泰正君) 大島九州男さんの質問は終わりました。
 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。
 私は、会派を代表しまして、国家公務員一般職の給与法改正案に賛成、一方、岸田総理始め政務三役など国会議員を含む特別職の給与引上げに断固反対の立場で討論いたします。
 今回の特別職の給与引上げは、タイミングといい、内容といい、最悪です。
 岸田政権の経済政策の迷走とアベノミクスの負の遺産による円安に伴う物価高で、実質賃金は十八か月連続でマイナスを続けるなど、国民生活はまさに苦境にあります。加えて、防衛予算の倍増や異次元の少子化対策で、これから国民の負担増のメニューはめじろ押しです。
 これが国民の不興を買い、批判が高まると、今度は一転、岸田総理は慌てて低所得者向けの給付金や所得税減税を打ち出し、巻き返しを図りましたが、結局、下心を見透かされて内閣支持率は暴落しています。
 そこに、国民に先駆けて、総理で年間四十六万円、閣僚で三十二万円もの報酬をアップする法案を何食わぬ顔で提出し、成立させようとしているのですから、国民の間に怒りの声が渦巻くのも無理はありません。さらに、怒りの矛先は、十八万円アップのボーナスが来月振り込まれようとしている私たち国会議員にも向けられています。こうした国民生活の窮乏をさておいて、国民の税金で自分たちの懐を真っ先に肥やしていいのでしょうか。
 今回、私たちは、衆院段階で、閣僚の給与増はもちろん、国会議員のボーナスアップも凍結する修正案を出しましたが、結局、自民、公明、国民民主の反対で否決されてしまいました。これがよほど後ろめたかったんでしょう。岸田総理以下、政務三役が増額分の給与返納を表明しましたが、それなら、そもそもなぜこんな法案を提出したのか疑問ですし、少なくともこの法案を取り下げるか、我々の修正案に賛成するのが筋でしょう。それもできないのは、余りにこそく、場当たりで、こんなに国民をばかにした話はありません。更に言えば、国会で決めた法律の内容を返納で骨抜きにするのは立法権の侵害であることも指摘しております。
 また、今回の法案には大阪万博の政府代表の給与アップも含まれていますが、会場建設費の倍増やパビリオン建設の遅れなど、国民の強い批判を招いていることを考えると、この給与アップを提案した感覚も完全に国民感情とずれています。
 繰り返しになりますけれども、自民、公明が推し進めたコストカット経済の下で三十年間も給料が上がらなくなってしまった現状を考えると、一般職の公務員はもとより、国民全体の所得アップは私たちも急務と考えます。しかし、だからといって、こうした経済状況を招いた責任ある立場の我々政治家が国民への給付や減税などに先立って給与増の恩恵を受けるのは間違っていると言わざるを得ません。
 そもそも、この問題の背景には、私が先ほどの質疑で明らかにしたように、人事院による指定職の給与引上げ勧告やそれに伴う特別職の給与アップがその時々の政治判断で決められるところにあります。だからこそ、特別職の政治家の給与の取扱いは、国会議員の歳費との関係を踏まえて明確な基準があってしかるべきです。
 こうした特別職の給与体系全体を見直すべきことと、改めて特別職の給与法改正案には反対するよう皆さんに呼びかけて、私の討論といたします。
 ありがとうございました。

○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。
 私は、会派を代表して、国家公務員の一般職、特別職の給与法案に反対の立場から討論いたします。
 今回、これだけ物議を醸し出したことで、改めて制度の問題点が浮かび上がったと言えます。それは、一般職の給与を引き上げる人事院勧告に準じて最高権力者の総理や政務三役らの給与まで増額されるという信じられない、到底受け入れられるものではない慣習です。
 物価高に賃上げは追い付かず、国民が税負担や社会保険料の増額に苦しむ中、総理らの給与を上げる道理はどう考えてもないはずです。当然のごとく、国民からは厳しい批判が相次ぎました。
 政府は当初、既に総理は三割、大臣は二割の給与を自主返納しているからと意に介しませんでした。でも、国民の不満が爆発すると、今回のアップ分も自主返納すると言い出し、後から方向転換をしました。そうするぐらいなら、法案を見直して、給与自体を最初から上げない方がよっぽど潔いと思います。
 また、国会議員の期末手当もこの特別職給与法で定められており、どさくさに紛れて国会議員全体の給与増がなされており、看過できません。
 我が党は、今後、こうしたことのないよう、総理などの給与が特別職と連動しない改正法案を提出したいと思います。
 そして、一般職の給与法案、こちらは苦渋の決断での反対ですが、それは、単に上げるべき、下げるべきという議論によるものではないからと思っています。
 この法案は、給与、すなわち公務員の仕事に対する評価に関わることであり、行政組織全体のパフォーマンス向上に関わるものです。しかし、今の公務員制度にはまだまだ従来の日本型の雇用慣行である終身雇用や年功序列が色濃く残っています。これでは、若手段階から活躍できる優秀な人材にとっては魅力的な職場と思われず、民間へ流れていってしまいます。だからこそ、我が党は一貫して公務員制度を抜本的に改革していかなければいけないと主張しています。
 高い専門性を持つ人材をフレキシブルに採用し、ジョブ型雇用の働き方の変革に追い付くべきです。横並びや年齢で昇給していく考え方から脱却し、能力を発揮している公務員がしっかりと報われる制度を構築することが必要です。能力・実力主義に基づくめり張りの利いた人事制度、給与体系をつくり上げ、それに伴う待遇改善、賃上げが必要であると考えます。
 以上の考えを申し述べ、私の反対討論といたします。

○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、国家公務員の一般職給与法等改正案に賛成、特別職給与法等改正案に反対の討論を行います。
 激しい物価高騰に国民生活が深刻な打撃を受ける中、特別職給与法案で岸田総理や大臣などの給与を引き上げることに国民の怒りが広がっています。
 三十年に及ぶコストカット型経済を進め、日本を賃金の上がらない国にしてきた自民党政治の責任は重大です。それに反省もなく、国民が望む消費税減税には背を向けて、軍拡増税や社会保険料の負担増が押し付けられようとしています。
 その一方で、賃上げの流れを止めないために必要だなどとして首相らの給与を引き上げることに到底国民の理解は得られません。引上げ分は国庫に返納するとしていますが、国民は納得しません。特別職の給与引上げはやめるのが当然です。
 一般職の給与法案は、給与を引き上げるものであり、賛成としますが、僅か一・一%の賃上げで、物価上昇分に追い付かない不十分な内容です。国家公務員の給与は多くの労働者の給与に影響を与えます。賃上げの流れを止めないというのならば、公務において率先して抜本的な賃上げを実現することこそが政治の責務であります。
 ところが、実態はどうか。初任給は引き上げられますが、高卒初任給の時給は九百二十二円で、都市部の八都府県で地域別の最低賃金を下回ったままです。地域手当の非支給地域では、大卒で七千円、高卒で三千円、民間よりも低いままです。
 新設される在宅勤務手当は、テレワークの実態に合わない低水準のもので、職員の自己負担は解消されません。
 また、定員合理化計画の下で、公務の職場が、長時間労働、超過密勤務とサービス残業が蔓延をしています。これが放置をされたまま、フレックスタイム制による労働時間の弾力化が進めば、行政サービスの停滞や職員負担の更なる増加になりかねません。
 国家公務員の四分の一を占める非常勤職員の賃金は常勤の半分と言われ、豊かな知識と経験を持つ非常勤職員が三年雇い止めなどの不安定な雇用の下に置かれていることは重大です。
 多くの省庁で、民間よりも格差の大きい男女賃金格差の是正も急がれます。
 公務・公共サービスを拡充し、公務の労働条件を改善をするために、定員合理化計画を撤回をして、総人件費抑制政策を廃止することを強く求めて、討論とします。

○大島九州男君 れいわ新選組を代表し、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。
 まず、一般職給与法改正案について、政府は過去五年の平均と比べて約十倍のベースアップと主張しますが、物価上昇が長引く中で、その内容は余りにも不十分であります。
 岸田総理は、本年一月に行った年頭記者会見において、公的セクターで働く労働者の賃金について、インフレ率を超える賃上げの確保を目指すと宣言しました。しかし、今回の給与法改正は、物価の高騰を踏まえれば実質の賃下げです。
 そもそも、形式的に官民比較を行い、人事院勧告に従って僅か〇・九六%の差を埋め合わせるためだけに給与改定を実施することは適切ではありません。人勧に頼るのではなく、労働基本権を認め、人勧に頼らない給与改定を行う必要があると考えます。何よりも、国家公務員の給与は、東京の本府省庁で働く職員だけではなく、地方公共団体の職員や保育士、介護職員、中小企業の従業員といった地域経済を支える様々な人々の賃金に影響します。目標を持った公的部門の賃上げを行うことで民間企業の賃上げを積極的にリードしていくべきと考える。こうした取組を地域の労働者の賃上げの呼び水として地域活性化を図ることこそ、今、真に求められている取組ではないでしょうか。
 次に、特別職給与法改正案は、総理大臣や国務大臣などの月例給、ボーナスを引き上げる法案であり、これにより総理大臣の給与は年間約四十六万円の賃上げとなります。これを返納するというのなら、最初から除外した法案を提出すべきとして、反対をします。
 また、経費の膨張が続く大阪・関西万博に反対する立場から、万博政府代表の給与引上げは認められません。
 最後に、政府は法案提出後に世論の批判を受けて給与増額分を国庫に返納するとしています。しかし、政府は閣議決定を経て法案を提出しており、真に国民の信頼を得て給与引上げの見直しを行うのであれば、返納というその場しのぎの方策を取るのではなく、法案そのものを修正して改めて提出すべきと考えます。
 以上の理由から両法案には反対することを述べ、討論を終わります。

○委員長(大野泰正君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(大野泰正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(大野泰正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(大野泰正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十二分散会

参議院本会議委員長報告
↓発言URL

○議長(尾辻秀久君) 日程第一 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案
 日程第二 特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長大野泰正君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔大野泰正君登壇、拍手〕

○大野泰正君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案は、本年八月の人事院勧告に鑑み、一般職国家公務員について、俸給月額、期末手当及び勤勉手当等の額の改定並びに在宅勤務等手当の新設を行うとともに、フレックスタイム制を活用した勤務時間を割り振らない日を設ける措置の対象となる職員の範囲を拡大しようとするものであります。
 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案は、一般職国家公務員の給与改定に伴い、特別職職員の給与額の改定を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、特別職国家公務員の給与改定の在り方、賃上げ促進の観点による国家公務員給与の引上げの意義、国家公務員の働き方改革推進の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民杉尾委員、日本共産党井上委員より一般職給与法等改正案に賛成、特別職給与法等改正案に反対、日本維新の会片山委員、れいわ新選組大島委員より両法律案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

○議長(尾辻秀久君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。石垣のりこ君。
   〔石垣のりこ君登壇、拍手〕

○石垣のりこ君 立憲民主・社民の石垣のりこです。
 会派を代表しまして、国家公務員一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案には反対の立場から討論をいたします。
 憲法第十五条第二項は、全ての公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないと定めています。使命感と倫理観及び職務にふさわしい能力をもって国民、日本に住む全ての人々のために職務に当たるべき基本的責務を有する公務員が、生活の不安なく職務を遂行できるに十分な給与が保障されることは、国民生活の維持安定、また質の向上にとっても必要不可欠です。
 しかしながら、特に小泉政権以降の行政改革によって、自治体や省庁では人員削減が著しく、近年はコロナ禍も追い打ちを掛け、現場は非常に疲弊しています。実際、およそ二十年前、小泉改革以降の二〇〇二年度と二〇二二年度を比較しますと、地方公務員の数は三百二十二万人から二百八十万六千人と、およそ一三%の減少、国家公務員に至っては、百十一万四千人から五十八万九千人と、およそ五三%、およそ半数まで大幅に減少しています。
 人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較では、フランスが九十人、イギリスは六十八人、アメリカ六十四人、ドイツが六十人であるのに対し、日本は三十七人です。どのような仕事であれ、作業効率を上げ、生産性を高めることは必要ですが、公務員の仕事は必ずしも生産性や効率性を最優先にできないからこそ、公、行政が担う業務であるはずです。
 岸田総理は所信表明演説で、コストカット経済からの歴史的転換を図ると述べられましたが、行き過ぎたコストカット経済を推し進め、行政の現場を疲弊させてきたのは、まさに岸田総理を生んだ自民党政権であり、まずはその反省から始めるべきではないでしょうか。
 また、政府は声高にデジタル化による行政の効率化を叫びます。しかし、マイナ保険証の混乱に象徴されるように、現場を顧みないデジタル化を推し進めた結果、業務量は減るどころか、むしろ現場に余計な負担を強いているのが実情です。デジタル化が悪いのではありません。一部の業者や関係者だけが過剰な利益を得るような制度設計で進められるデジタル化によって、政府が一部の奉仕者に成り下がり、全体の奉仕者でなくなってしまっているのが問題なのです。
 今後、行政需要はより一層高度化、多様化、複雑化すると予想されており、社会情勢の変化に対応できる優秀で多様な人材の確保がますます必要になります。しかしながら、かつては人気の職業のトップクラスだった公務員は、少子化の影響を考慮しても、公務員受験者数の減少に歯止めが掛かっていません。
 国家公務員総合職において、二〇一二年度に二万五千百十人だった受験者数は二〇二一年度に過去最低の一万七千四百十一人に、コロナ禍の影響から昨年度は一旦増加に転じたものの、今年度は一万八千三百八十六人と低い水準が続いています。
 また、総務省、地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要等によれば、地方公共団体における受験者数は、二〇一一年度のおよそ六十一万九千人から二〇一九年度には四十四万人とおよそ三割減少し、二〇二〇年度に四十六万九千人とやや回復傾向が見られたものの、受験者数の下げ止まりの傾向は、中途採用試験の増加など採用形態の変化によるところが大きいと分析されています。実際、翌二〇二一年度には四十六万五千人と再び減少に転じてしまいました。
 さらに、公務員は、民間企業に比べ離職率こそ低いものの、民間の離職率の変遷が横ばいであるのに対し、公務員は増加傾向にあります。それもそうでしょう。行政文書を捏造したと自らの責任を部下に押し付けるような大臣の下では、真面目な職員であればあるほど職務を継続することが難しくなってしまうことは想像に難くありません。
 こうした逆境ともいうべき現状にあっても、全体の奉仕者として使命感をもって行政を支える自治体や省庁の現場で働く職員の皆さんの給与を民間と同じように引き上げることは当然のことであり、賛成です。そして、本来であるならば、特別職も公務員として全体の奉仕者たることに違いはなく、特別職の給与も同様に上げてしかるべきでありましょう。
 しかしながら、今回、総理大臣を始め政務三役が該当する特別職に関しては異議を申し立てないわけにはまいりません。
 目下の経済状況を鑑みれば、物価の上昇率は第二次オイルショック以来の伸び率を記録、物価高という言葉を耳にしない日はなく、食品を始め生活必需品から電気、ガス、ガソリン代と、今生きるために必要なものがどんどん値上がりしています。
 ところが、物価高対策として政府がようやく示した四万円減税はいつ届くのでしょうか。来年ですか、それとも再来年ですか。そもそも、税増収分を還元するとした減税政策は、財務大臣に増収分は既に支出していると否定される始末です。
 さきの通常国会で数の力任せにさっさと決めた防衛増税は先送り、待ったなしと言っていた少子化対策予算の倍増はおよそ十年後まで先延ばしという無責任ぶりには驚き、あきれます。
 無責任といえば、第二次岸田内閣の政務官一人、副大臣二人が任命から僅か三か月足らずで辞任に追い込まれました。それも、文科大臣政務官は女性問題で、法務副大臣は公選法の問題で、さらに、財務副大臣は税金の滞納です。岸田総理が言い訳がましく繰り返す適材適所は、まるでブラックジョークのようではありませんか。
 本来ならば、大臣であろうとなかろうと、他人の給料が上がることに対して文句を付けるようなことはしたくはございません。しかしながら、他の先進国はおおむね賃金の上昇傾向が続いているにもかかわらず、日本は過去三十年間にわたり一人当たりの賃金はおおむね横ばいで推移するという異常事態が続いています。
 大幅な円安が追い打ちを掛け、若い世代を中心に、海外で仕事をした方が日本の何倍もの収入が得られるということで、こぞって海外に出始めています。こうしたゆゆしき事態を招いてきた現在の最大の責任者は、岸田内閣にほかなりません。
 また、特別職には、二千二十五年日本国際博覧会政府代表、すなわち大阪万博の政府代表も該当します。大阪の万博の予算は、当初の千二百五十億円から一・五倍の千八百五十億円に、そして現在は何と一・九倍の二千三百五十億円まで膨れ上がっています。驚くべきことに、今後更に予算が増える可能性について、政府は否定していません。
 ずさんな見積りで多額の税金を無責任に投入し、国民の身を削りに削る万博の実施に対し、見直しの声は日に日に大きくなっています。このような状況にあって、万博開催の責任者たる政府代表の給与の増額を素直に認めることは難しいと言わざるを得ません。
 ちなみに、とある大阪の自治体では、公務員に無償労働を半ば強要し、ボランティアと称する劣悪な行政慣行がまかり通っています。立憲民主党は、そのような民間では通用しない非常識な労働環境を断じて許容しません。立憲民主党は、徹頭徹尾、働く人の味方です。
 このようなていたらくな行政運営を続けている現岸田内閣を、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないと認めることは困難です。真面目に職務に専念している一般の公務員と同等の処遇を受けることに対して、もろ手を挙げて賛成することはできません。
 そして、私たち行政監視の役割を担う野党の国会議員は、このていたらくな現政権を厳しくただしつつ、その政治の責任の一端を担う立場にある者として、今回の議員期末手当の引上げを肯定することもまた控えるべきであると考えます。
 以上の理由から、国家公務員一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案には反対する次第です。
 他人の給与を上げるなではなく、自分の給与をもっと上げよと声を上げて団結し、互いに賃金アップを実現していく、そうした健全な資本主義社会を実現するために、私たち立憲民主党は今後も働く人の立場に立って仕事をしていくことをお誓い申し上げて、討論を終わります。(拍手)

○議長(尾辻秀久君) 片山大介君。
   〔片山大介君登壇、拍手〕

○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。
 私は、会派を代表して、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論いたします。
 今国会は対決法案がないと言われてきましたが、突如大きな関心を呼ぶことになった今回の給与法の改正案。このうち、焦点となった特別職の給与法は、改めて公務員の給与制度の課題を浮き彫りにしました。それは、一般職の給与が人事院勧告を踏まえて改定されるのに準じて、最高権力者の内閣総理大臣を含む全ての特別職にまで連動させて給与が増額されていくという、信じられない、到底受け入れられない慣習です。
 昨日の内閣委員会の質疑で河野大臣は、公務員全体のバランスが大事で、公務員給与の体系自体が崩れないよう総理などの給与もアップしたと述べました。でも、そんなことを言っていたら、公務員の給与体系はいつまでたっても能力主義にはなりません。
 また、与党議員との質疑で、各国首脳の給与との比較が紹介された際、給与は職務と責任から決められるべきと述べましたが、一般職に準じて上げていくこととは関係ありません。それに、他国との比較なら、まず、この三十年間停滞し続けた経済成長や平均賃金、まさに総理が言及したコスト型、コストカット型経済の現状を比較すべきだと思います。
 総理の月六千円アップを始め、一見するとたかだか数千円のアップのように見えるかもしれません。しかし、年単位で見ると、ボーナスを含め、総理は四十六万円、大臣は三十二万円増えることになります。
 また、同じ月単位の六千円でいえば、介護職員の賃金を月六千円引き上げるための関連経費が、先週決定した補正予算案に盛り込まれました。これだってやっと実現するわけですが、それでも介護職員の給与は全産業の平均に比べて低くなっていることに思いをはせているのでしょうか。
 過去には、経済情勢などを鑑み、総理の給与引上げを見送ったケースもあります。それは今から十六年前の平成十九年のことですが、そのときの状況と比べると、経済状況は今の方が厳しいのではないでしょうか。その意味でも、今回は慎重さが明らかに足りなかったと言わざるを得ません。
 国民の批判が相次いだことで、政府の対応は途中で変わりました。当初は、既に総理は三割、大臣は二割の給与を自主返納しているからと意に介していなかったものの、国民の不満が爆発すると、政府は今回のアップ分も自主返納すると方針転換。そうするぐらいなら、法案を見直して最初から給与自体を上げないようにした方がよっぽど潔いと思います。
 また、国会議員のボーナスもこの特別職の給与法に盛り込まれており、どさくさに紛れて国会議員全体の給与がアップされることも、我々維新にとっては絶対に看過できません。
 今回の焦点となった特別職は、昭和二十三年に制定されました。その後、対象が増え続け、今では七十を超える官職が特別職に規定されており、中には総理や政務三役などの政治家も入っています。そして、総理を筆頭に七段階に分けられ、先ほども言ったように、バランスという慣習によって一般職から特別職まで連動して昇給が行われていくのが今の公務員給与体系の実態。維新は、この給与体系の在り方、中でも、総理始め政務三役など究極の特別職の職責、能力に応じた給与の在り方がどうあるべきかを検討していて、今後法案にして提出したいと思っています。そして、今回のような国民をがっかりさせることがもう起きないようにしたいと思っています。
 一方、一般職の給与法案については、苦渋の決断で反対しました。この法案が単に公務員の給与を上げる、下げるということだけを規定しているだけ、ものではないという判断からです。
 この法案は、公務員の評価制度の根幹であり、行政組織全体のパフォーマンスに大きく関わるものです。従来の日本型の雇用慣行である終身雇用と年功序列からの微修正を繰り返している今の公務員制度は、様変わりしている民間企業の人材採用マーケットから取り残された存在となっています。
 だから、我が党は一貫して、現在の公務員制度を抜本的に改革し、能力・実力主義でめり張りの利いた人事制度を導入すべきと主張してきました。高い専門性を有する人材をフレキシブルに採用する、欧米では当たり前のジョブ型雇用の働き方に追い付いていかなくてはいけません。
 例えば、イギリスでは、事務次官に該当するポジションが、省庁内だけでなく、民間含め広く公募されています。日本では考えられないことです。さらに、公募で決まった事務次官は一つの省庁にとどまることは少なく、三か所、四か所と省庁を縦断しながらポジションに就くそうです。
 日本では、大阪市で区長の選出を、職員からではなく民間を含む公募で採用しています。自治体でできる行財政改革は日本全体でも実現できます。我が党が自治体で実現してきた実例を政府も参考にしながら公務員制度改革を進めてほしいと思います。
 霞が関が率先して年功序列制度を壊していくことが、日本を変えていくセンターピンになると考えています。公務員の待遇改善にも、我々はこれまで様々な提案を出してきました。前例主義から脱却し、公務員が働きがいを感じることのできる制度改革を目指し、これからも建設的な提案を続けてまいります。
 そして、最後に、我々は、公務員制度改革に加えて、国会改革も訴え続けていることをお話しさせていただきます。
 今国会も会期末まで一か月を切りました。去年決着を付ける約束をしていた旧文書通信交通滞在費の問題、使い道の公開や残金の返金は、一体どうなっているのでしょうか。国会議員の定数削減や国会議員の歳費二割削減の継続、こちらも直ちに実現すべきです。
 国民は、こうした課題に対し、国会が本気の姿勢を見せているかどうかを注目していることを改めて述べさせていただき、本法案への反対討論とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾辻秀久君) 井上哲士君。
   〔井上哲士君登壇、拍手〕

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 私は、会派を代表して、国家公務員の一般職給与法等改正案に賛成、特別職給与法等改正案に反対の討論を行います。
 激しい物価高騰に国民生活が深刻な打撃を受ける中、特別職給与法改正で岸田総理や大臣などの給与を引き上げることに国民の怒りの声が広がっています。
 三十年に及ぶコストカット型経済を進め、非正規雇用を拡大し、日本を賃金の上がらない国にしてきた自民党政治の責任は重大です。岸田総理は、その反省もなく、国民が最も望む消費税減税には背を向けて、軍拡増税や社会保険料の負担増を押し付けようとしています。その一方で、賃上げの流れを止めないために必要だなどとして、首相自らの給与を引き上げるということなど、到底国民の理解は得られません。
 国民の怒りが広がる中で、引上げ分は自主返納するとしていますが、余りにもこそくです。返納するならば、なぜ法案はそのままなのか、国民は納得しておりません。特別職の給与引上げの法案は廃案にすべきであります。
 賃上げの流れを止めないためと言いますが、日本の賃上げは一体どうなっているのか。実質賃金は、一九九一年から二〇二二年の三十年間で、アメリカは一・四八倍、イギリスは一・四六倍、フランスは一・三三倍、ドイツは一・三〇倍です。ところが、日本は一・〇三倍にすぎません。この十年間だけで見ると、実質賃金は増えるどころか、年間二十四万円も減っています。世界でも特異な国になっています。
 今年の春闘でも、民間の賃上げは物価上昇に追い付いていません。公務は民間の水準にも届いていません。その下で、七日に発表された勤労統計の九月速報値では、実質賃金は前年比でマイナス二・四%でした。十八か月連続でのマイナスです。今必要なのは、経済政策を抜本的に転換し、政治の責任で賃上げと待遇改善を進めることです。
 一般職の給与法案は、給与を引き上げるものであり、賛成としますが、僅か一・一%の賃上げで、全く不十分な内容です。国家公務員の給与は、保育士の公定価格や地方公務員、民間企業の賃金に直接影響を与え、地域経済にも広く波及します。賃上げの流れを止めないと言うならば、公務から率先して物価高を上回る抜本的な賃上げを実施し、賃上げの流れをつくることこそ政治の責務であります。
 ところが、実態はどうか。初任給は引き上げられますが、高卒初任給の時給は九百二十二円で、都市部の八都府県では地域別最低賃金を下回ったままです。地域手当の非支給地域では、大卒で七千円、高卒で三千円、民間より低いままです。民間の賃上げの足を引っ張りかねない事態です。直ちに改善が必要です。
 全労連などの調査でも、最低生計費は全国どこでも同水準であることが明らかになっています。にもかかわらず、不合理な賃金格差を生じさせている地域手当も問題です。
 埼玉県に自宅のある国交省の職員の方のお話を聞きました。地域手当一級地の東京の職場から地域手当非支給の栃木県の事務所へ異動となると、地域手当や超過勤務手当割増し分がカットされ、一年間の激変緩和措置後、同じ住まいから通勤しているにもかかわらず、月給はそれまでの四分の一を超える八万二千六百円も減ったとのことでありました。
 そうした下で、職員の中では、地域手当不支給の地域の事務所は地域手当が出る地域の事務所よりも格下であるかのように感じさせて、人事異動への不公平感も生まれ、若手職員のやる気をそいでいるとも述べられておりました。
 級地区分の大くくりや支給割合も含めて見直すとの答弁もありましたが、見直しでは格差をなくすことはできません。地方の低賃金構造を固定化し、地域間格差を拡大している地域手当は廃止をすべきです。
 新設される在宅勤務等手当は、テレワークの実態に合わない低水準のもので、職員の自己負担は解消されません。政府は民間準拠と言いますが、在宅勤務に関わる費用は、民間であれ公務であれ使用者負担とすべきです。
 定員合理化計画の下で、公務の職場は、長時間労働、超過勤務とサービス残業が蔓延しています。これが放置をされたままフレックスタイム制による労働時間の弾力化が進めば、行政サービスの停滞、職員負担の更なる増加になりかねません。人員体制の拡充、勤務時間の適正管理、努力義務にとどまらない勤務間インターバル制度を優先して実現することを求めます。
 国家公務員の四分の一を占める非常勤職員の賃金は、常勤の半分と言われています。非常勤職員は、一年度限りの臨時的に置かれる官職とされているにもかかわらず、実際には恒常的で専門的な業務も担っています。公務員定数削減の下で、人件費抑制のために労働者が使い捨てにされているんです。
 一方、今年の人事院、公務員人事管理に関する報告では、近年、有効求人倍率が上昇し官民問わず人材獲得競争が熾烈になる中、非常勤職員の人材確保も厳しさを増しているとの意見が一部府省から寄せられている、本院は、各府省が引き続き行政サービスの提供を支える有為な人材を安定的に確保することができるような環境を整備することが重要と考えており、実態等を把握しつつ、非常勤職員制度の適切な在り方について検討を行っていくとしています。
 この中でも大きな問題が、非常勤職員がどんなに知識と経験を持っていても三年目には公募に応じなければならないという、三年公募要件と呼ばれる運用ルールです。
 厚労省のハローワークでは、労働相談員は全て非常勤の期間業務職員となっています。本来、常勤職員が担うべき恒常的な業務を担っています。ところが、このルールにより、失業された方の相談に当たるなどしている豊かな知識と経験を持つ非常勤職員が、自らの雇い止めの不安の中で仕事を余儀なくされています。公募になれば、職場の同僚とも競わされることになって職場のチームワークに影響もあります。蓄積された経験や専門性を全く考慮せず、面接結果のみで採否が決まるとされています。これらのことから、メンタル罹患される方も少なくありません。
 人事院総裁は質疑の中で、三年公募要件の在り方も検討してまいりたいと述べ、現場の職員からも直接意見を聞くことを答弁で約束されました。速やかに検討し、このような弊害を持つ三年公募要件は撤廃すべきです。
 常勤職員と非常勤職員との間にある休暇制度や手当制度の格差解消を図り均等待遇を実現をすること、多くの省庁で民間よりも格差の大きい男女賃金格差の是正も急がれます。
 公務・公共サービスを拡充し、公務の労働条件を改善をするために、定員合理化計画を撤回し、総人件費抑制政策を廃止することを強く求めて、討論とします。(拍手)

○議長(尾辻秀久君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────

○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────


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朝刊1面を読もう
2023年4月14日 7:00

2023年4月14日の日本経済新聞朝刊1面に「国家公務員、週休3日拡大」という記事がありました。人事院は今夏に出す国家公務員の働き方に関する「人事院勧告」に、育児や介護といった事情がなくても「週休3日制」を取得可能にする法改正を盛り込む検討に入りました。どのような背景があるのでしょうか。

ここが気になる
自衛隊員などの特別職を除く29万人ほどの一般公務員の休日は土日と定められています。現在は育児・介護などの理由でフレックスタイム制を活用する場合に限り、休日を1日増やすことができます。この規定を変えて、他の理由でフレックスタイム制を使う人でも、週休3日を取得できようにする検討が始まりました。

背景には、長時間労働などにより霞が関に人材が集まりにくくなっていることへの危機感があります。2023年度春の国家公務員総合職試験への申込者数は約1万4000人で過去2番目に少ない水準。21年時点でのフレックスタイム制の利用者は全府省平均で7.7%。週休3日制を浸透させることで人材を集める狙いです。

長時間労働の要因は国会対応による部分が大きいです。昨年の臨時国会会期中、各省庁が答弁案を作り終えた時刻は平均して当日の午前3時。国会議員からの質問通告が遅いことなどが主な原因です。国家公務員の労働環境を改善するには、長時間労働の原因となっている国会対応を含めた働き方の見直しが必要です。

人事院、公務員給与引き上げ勧告へ 注目のポイントは

2023年8月7日 5:00 [会員限定記事]
人事院は一般職の国家公務員の待遇に関する勧告を国会と内閣に近く提出する。2023年度は月給とボーナス(期末・勤勉手当)をともに引き上げるよう勧告する見込みだ。勧告の影響は国家公務員だけにとどまらない。注目ポイントをまとめた。

・人事院勧告とは?
・どうなる月給・ボーナス?
・制度面での改善は?

(1)人事院勧告とは? 国家公務員28万人が対象、官民の給与水準を一定に

人事院勧告は「人勧(じんかん)」と...

国家公務員の「週休3日」導入を勧告 “官僚離れ” 解消なるか
2023年8月7日 20時01分

国家公務員の「週休3日」導入を勧告 “官僚離れ” 解消なるか
国家公務員のなり手不足が課題となる中、人事院は「週休3日」の働き方を可能とするよう、内閣と国会に勧告しました。休みを取った分は、ほかの勤務日に働く時間を長くすることで、総労働時間は維持するということです。
国家公務員 東大生のイメージは
国家公務員をめぐっては、いわゆる「キャリア官僚」となる「総合職」の来年春の採用に向けた試験の申し込み者数が、過去2番目に少なくなるなど、人材が集まりにくくなっていて、なり手不足が課題となっています。

キャリア官僚のイメージについて、国家公務員「総合職」の合格者数が例年もっとも多い東京大学の学生に聞きました。

(学生)
「休みもそんなにしっかり取れていないのかなと。漠然としたイメージで」
「公務員は選択肢に入っていませんでした。大学の先輩から残業が多い、大変だって話を聞きます」

志望者数の減少に加え、採用されたあとの離職者数も増加傾向にあり、総合職のうち採用後10年未満で退職した職員の数は、3年連続で100人を超えています。
「週休3日」の働き方とは
こうした状況を受けて人事院は、フレックスタイム制を活用して、週に1日を限度に、土日以外に休みを取り、「週休3日」の働き方を可能とするよう内閣と国会に勧告しました。

休みを取った分は、ほかの勤務日に働く時間を長くすることで、4週間で合わせて155時間となっている総労働時間は維持するということです。

これまで、こうした働き方は、育児や介護を行っている職員などに限定されて認められていましたが、希望するすべての職員を対象にすることで、人事院は、国家公務員の多様な働き方を拡大させたいとしています。

人事院は、再来年、令和7年4月1日から施行できるよう、必要な法改正などを実施するよう求めています。

人事院総裁 “人材確保は依然厳しく危機的状況”
人事院の川本総裁は、記者会見で「人材確保は、応募者の減少や若手職員の離職の増加などにより依然として厳しい、危機的とも言える状況にある。『ブラック』というイメージがなかなか払しょくされず、こうした状況を打開しないといけないことは、霞が関の共通の思いだ」と述べました。

そのうえで「この国の利益や生活を守り、世界最高水準の行政サービスを提供し、活力ある社会を築くため、国家公務員がいきいきと働けるよう、制度や運用の面から、よりよくしていくことが人事院の役割だ」と述べました。

そして、今後の働き方改革の具体的な内容として、
▽職員の健康を確保するため、次の勤務までに一定の休憩時間を設ける勤務間のインターバルを確保することや、
▽職員の成長や組織力の向上につながる兼業の在り方などについて、検討を進める考えを明らかにしました。

霞が関の働き方改革について提言を行ってきた専門家は導入にはメリットも大きいと指摘します。

(働き方改革のコンサルティングを行う小室淑恵さん)
「週休3日制というのは、取得の理由を問わず、家庭的な事情以外の人でも使えるようになる休みで非常に意味があります。来年の春に効果があるような単純なことではないですが、新しい働き方ができるようになったらそこで働きたいと思うのでは」

国家公務員の「週休3日」導入を勧告、総労働時間は変えず
#働き方改革

池田 真隆 (オルタナS編集長)
2023/08/08

記事のポイント
人事院は国家公務員向けに「週休3日」を認めるよう、内閣と国会に勧告した
総労働時間を変えずに、土日以外にも1日休める働き方を求めた
2025年4月1日からの施行を目指す。民間企業にも波及しそうだ
人事院は8月7日、2025年4月までに勤務時間法を改正し、国家公務員が「週休3日」で働くことができるよう、内閣と国会に勧告した。総労働時間を変えずに、土日以外にも休日を1日選べるようにする。政府が6月に閣議決定した「骨太の方針2023」でも「週休3日制度の拡充」を重要施策に挙げており、民間企業でも同様の動きが広がりそうだ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

岸田文雄首相は7日、総理大臣官邸で人事院の川本裕子総裁から人事院勧告を受け取った。人事院勧告とは、国家公務員の給与など勤務条件の見直しを国会と内閣に求める制度だ。

給与については、平均で月給を0.96%(3869円)増、ボーナス(期末・勤勉手当)を0.10カ月増やし、年4.50カ月とするよう国会と内閣に勧告した。月給とボーナスのどちらもプラス改定は2年連続だ。

働き方改革については、「選択的週休3日制度」の拡充を勧告した。土日に加えて1日休日にする週休3日制は、育児や介護を抱える国家公務員に限り認めている。勤務時間法を改正し、その制度の対象を、2025年4月から一般の国家公務員に広げることを求めた。

フレックスタイム制を活用し、総労働時間を変えずに、土日以外に休める日を1日設ける。国家公務員の所定労働時間は1日当たり7時間45分だ。平日に1日休むことで、残りの4日で7時間45分分働くことができるようにする。

勤務時間法の改正については、今年の臨時国会か来年の通常国会で審議する。

■退職者、2018年度から3年連続で100人超

若手キャリア官僚の退職が相次ぐ。人事院が2022年5月に公表した若手キャリア官僚の退職状況を調べた調査結果では、2018年度から3年連続で退職者は100人を超えた。

退職する主な理由は、「超過労働」だ。内閣人事局による、2022年の臨時国会における官僚の働き方の実態調査では、国会議員の質問案を受けて、官僚が答弁資料を作成し終えた時間は平均で「午前2時56分」だった。

こうした事態を受け、人事院は昨年4月に長時間労働をなくすことを目指した担当部署を設置した。各省庁が勤務時間を適正に管理しているか調べ、指導を行ってきた。

人事院の川本裕子総裁は7日に行った会見で、「人材確保は、応募者の減少や若手職員の離職の増加などにより、危機的とも言える状況だ。霞が関が『ブラック』と言われる状況を打開しなければいけない。霞が関共通の思いだ」と話した。