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猫色の日々 4 〜周年に思う

また桜の咲く季節がやってきた

WBCの準決勝に沸いた祝日
わたしは動物病院の待合室で
岡本選手のホームラン級のフライを
口を開けてながめていた

傍のキャリーバッグにはエル

先月は連れてくるのに失敗をしたので
やることが溜まっている

アレルギーの経過観察
ワクチン接種
爪切り
数日前から続く片目の涙目

本ニャンは大いに不満そうで
短い鳴き声を繰り返している

祝日は午前中診察なので
混むかと思っていたが誰もいなかった
みんな出かけているのか
それとも試合を見ているのか

そうだ、それで1年前は病院探したんだ

ちょうど1年前
一級河川で溺れていたエルを
オットたちが助けてきた

開いている病院を探して
電話して連れて行ったんだ

ワクチン接種後の
何もしない休日のはずだった
セブンイレブンの冷やし中華を食べて
カープのレジェンドマッチを見るつもりだった

パステルカラーのようだった猫色の日々は
二猫によって色が濃くなり
ゴリゴリな猫色の日々になった

ほぼ1年前

食べるのが大好きな甘えん坊の子が
5日間飲まず食わずで
近づくたびに威嚇していたから
すごく不安だっただろう

今は見る影もないほど
元気で甘えん坊で食欲も旺盛だ

元の飼い主さんに
この日に連絡することは
少し憚られた

私たちにとっては
エルが我が家に来た日だけれど
飼い主さんにとっては
猫を脱走させたという
痛恨の日なのではないか
 

迷ったが
ひさしぶりの病院だったので
健康状態の報告をした

優しい元飼い主さんは
体調が良いことを喜びながら
やはりこの日を思い出すと胸が痛いようだった

布団に入ってきてぬくぬく

大切にお世話します
楽しく過ごします
健康に留意します

元飼い主さんの後悔を
軽減できるとも思えないけど

それしか言えない

とにかく
託してくださって
ありがとうございます

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