見出し画像

小3、生き恥という言葉を知る

多分母はバレエが好きなのだと思う
姉の通う幼稚園にはバレエ教室があり
姉と兄は通っていたようだ
私も幼い頃
ボリショイバレエ団の
白鳥の湖を見に行ったことがある

小学生になりバレエを習った
どっちが先だろうか
友達とバレエ教室に通うのと
バレエ漫画SWAN〜白鳥〜にハマったのと
ちなみに漫画も姉が読んでいたのだ
末子は小判鮫なのよ

(SWANは小学生にも理解できた
シェラザードは難解だった)



バレエの本(今で言うムック?)を買ってもらった
SWANに出てきた有名ダンサーが
カラー写真で載ってるので
めちゃくちゃテンション上がる本だった

なんとAmazonでは現在
17000円もするのである

今見てもきれいだなぁ

美しい写真ページを過ぎると
白黒の記事になりプロ以外の方の
バレエの楽しみ方なんかが載っていて
その広告欄に彼女がいたのであった

まさこちゃんを立体にしてみました

大屋政子さん

「生恥をかいてもいい
 オペラハウスで歌いたい」

という文言だったと記憶していたが
これを書くにあたり調べたところ

「生恥をかいてもいい
 オペラハウスが欲しい」
というアルバムレコードの
広告だったのだと思う

「生恥」

「なまはじ」とは、なんぞや

ナマハゲくらいしか知らない
妖怪大好きっ子の私は
忙しそうな母に聞くと

それは「いきはじ」と読むのだと
教えてくれた

これを書くにあたって調べたところ
古語の形容詞で「なまはずかし」
という言い回しがあるみたいです
助詞がついてるから名詞なので
この場合は「いきはじ」ですね

どういう意味か母に聞くと
洗濯物をたたみながら

「これから先、一生笑い物になってもいい、
 みたいな感じかな」

と言われた

大屋政子さんのことは
その当時イロモノ的に見ていたし
すでに笑われる人になってるけどなぁ
と私は思ったのだった

そして、オペラハウスってそんなに
すごいものなんだぁ
と本のページをめくった


それから何年経っただろう
正直に言うと半世紀ちかく経つわけだが

ここに来て「生き恥」という言葉が
身近になってきている

私は絵を描いて発表しているが
それ系の学校も出てない
専業なんて無理ゲー
上手い人を見たらキリが無い
子育ても終わり間近の
将来性のない個体であって

正直、作品を表に出すことは
生き恥を晒すことなのだ

あの絵にこんな値段だって
とか
あの技術であんなとこ顔出して
とか
ツッコミを入れようとすれば
ネタの宝庫である

だけど描くことはやっぱり好きで

ここ数日、心配事が解消されて
画材に思わず「ただいま」と言った

ただいまただいま

拙い絵を描いていると楽しい
絵を描く楽しさを与えてくれた
神様には感謝しかない

そして見て喜んでくれる人がいる
こんな幸せなことはない
本当に嬉しい

この楽しさと恥をかくことを秤にかけたら
人に笑われても描くことを選ぶなぁ
だって描くことが幸せだもの

大屋政子さんの言葉が
ふっと戻ってきて
彼女は歌が好きだったんだなと
思った

彼女はオペラハウスを作ったのだろうか?
と気になり検索すると
あの広告のレコードジャケットが出てきた

めちゃ歌ってはる

試聴できるサイトもあった
もしかしてめちゃくちゃ美声だったりして
あの声とは違うのかとなるのか?と
聴いてみた

「うちのお父ちゃんが」の声のトーン
そのままであった


彼女は国際舞台芸術振興財団の理事長をつとめ
『日本・世界バレエコンペティション』を
私費を投じて開催していたそうだから
もしかしたらバレエ愛好家のページにも
載っていたのかもしれない

コンペティション開催の
資金調達のためにテレビに出ていたのだとか
このレコードもオペラハウス設立のための
活動の一部なのですって
クラファンのない時代だからね

私たちからするとほぼ芸人枠だったけど
彼女はなりふり構わず
笑われることも、ものともせず
自分の目標に向かっていたんだなぁ

私とは規模もタイプも違う「生き恥」
もしかして人って多かれ少なかれ
あるんじゃないかな〜って
今は思う

大屋政子さんについて掘り下げると
いろいろあるので
知りたい方は調べてみてください

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?