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貧乏を楽しむ

お金が嫌いなわけでは全くないのだが、ない中で暮らすことに、ある種の豊かさを感じる。お金を好きに使って楽しいのは当たり前。それよりも、ない中でどう工夫して暮らしていくか考えを巡らせることの方が、人間臭さを感じて好ましい。いや正確には、楽しみ方にはお金を使う方法と使わない方法の二種類あると思っているって感じ。
誤解を恐れずに平たく言うと、貧乏を楽しむということ。そういう描写がある作品がこちら。

大東京ビンボー生活マニュアル

大学を卒業して就職もせずプラプラしている男が主人公。文学作品に精通してそうなので、小説家志望か何かなのかな?執筆している気配はまるでないが…。そしてこの主人公、彼女がいて、周りの人に恵まれまくっているからこそ、貧乏ながらも楽しい暮らしが成り立っているような。時代背景として、ひと昔前の、隣近所の近い日本の良さも相俟って。

ヒモっぽい感じなので、一部ではクズと評されているみたいだが、この主人公の誰からも愛される感じ、分かるなあって思う。人畜無害というか、打算がなくて、接してる方はそれを感じ取るのだよ。愛されるってのはそれだけで才能だし、無意識でもそれを活かして生きていて凄いなあと。

ない中で楽しむって書いたことと矛盾してしまうけど、お金がないから楽しめないって思ってるだけで、本当はお金なんてかけなくても、気持ち次第で人間は楽しいんだってことを思い出させてくれる。天井のシミから想像を膨らませて楽しむ話とかあって、確かに子どもの時とか、スマホなんてなくても、何も持っていなくても、発想次第でいつでも楽しかった気がするよ。

そういう発想次第なところに、物を捨てることよりも何よりも、一番のミニマムさを感じる。物質的に何がある、ないではなくて、想像次第でどうとでも工夫できるじゃんって状態が、一番柔軟で身軽だ。

まあそんな生半可なことを言えるのは、私が本当の貧乏を知らないからだとは思うが。


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