孤独じゃない

いつもより嗄れた低い声で
自分が自分に話しかける
大丈夫だよと声をかけて
無理をせず休むように促す
褒める 慰める 励ます そのすべてのことを
自分は自分に的確に行う
姿を思い描く事はない
明確に己は一人だと自覚している
けれどぶつぶつと小声で会話をしている
ひとりなんだから演じているとすら思っていない
会話形式の独り言だというだけだ
自分には自分がいる
どんなになっても最後までいる
だから大丈夫だ どんなときも 自分だけはいる
そう思って 乗り越えてきた
自分の声を聞く ひとりでずっと話している
さみしくなどない 苦しくなどない そう言い聞かせる 心地いい 否定のない空間
自分しかいなくても何ら困らないのだ
誰もいなくて構わないのだ
自分の耳をそっと塞ぐ 手があたたかい 頷く
自分には 自分が ずっとずっと いる

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