葬式

埋葬
あしたから
私は私でないのかもしれない、というあり得ない妄想が

自分の死体を思い描く
閉じられたまなこ以外なにひとつ正しく想像できない

これから薬を飲む
お医者さんに処方された薬を
用法用量使途時間 すべて守ってしっかり飲む
明日の私は救われるだろうか

でも今日までの私
薬に頼ることなく不安で夜を超えてきた
ただ目ばかりを光らす私は
今夜で 死んでしまうかもしれないのだ

明日の私はほんものだろうか
そもそもどちらがほんものだろうか

世界との齟齬に苦しみもがいている己を
そっと肯定してあげたかった
けれど 薬を飲んだら
そもそもの違和感を減らせるかもしれない
それは、
それは、

今まで苦しまなくても良かったってこと?あの煩悶には意味がなかったってこと?薬で叩いて直さないと、私の居ていい場所はないの?
私のままでは、だめだった?

ごめんなさいママ 私を たった一人ありのままで愛してくれているママ ごめんなさい あなたの大好きな娘は死んでしまうかも あなただけが 私のほんとうを知っている人になってしまうかも ごめんなさい そのままで本当は生きていたかった あなたの好きな私以外私いらなかった 世間なんて知らなくてよかった 言葉のきれいで素直な 傷つきやすく騙されやすい 生き物が好きでお話が好きな あなたの大切な娘 それをここまで粉々にしてしまって ついには薬まで飲まないと 寝るのもうまくできないくらい害ってしまって ごめんなさい ごめんなさい
あなたの大切な私を 私のままで生かせない私で


こんなに思い詰めるのも
眠っていないせいだろうか?
思考や意思に意味なんてなくて
ただ脳の代謝
感情は塵

ただ命を的確に支えるために
わたしは薬を飲まなければいけない
目が覚めて笑える自分のことを思うほど涙が出る 不安な自分に酔っているの?救われたくないの?人を傷つけたいんだね 聞こえない声をいくつも脳裏に浮かべる 傷つけられる前に傷つける 深い色が見える


睡眠薬、飲むの怖いなぁ。

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