ひとりで沈む

吹き出した苦しみ。過去と今をないまぜにして、深く暗い色をしたそれは、私をずぶりと沈める。
急にあらゆるよろこびが遠のき、暗くつめたい痛みがみぞおちを刺し貫く。世界が恐ろしくなり、涙で視界が歪んでいく。助けを呼びたい。怖い、と、話をしたい。何が辛いのか、誰かに縋りたい。

でも、そうはいかない。
私は一人で沈んでいく。自分をいたぶる自分の内へと、ひとりで歯を食いしばって沈んでいく。
誇り高い自分は痛みを声に出さない。他者は救いではないと冷静に理解している自分は、己の感情を分配して楽になろうなどと考えない。孤独。大いに結構。誰も傷つけまい。

…自分に言い聞かせた。誰も信じられないだけだ。誰に言っても助けてくれないと、不満に思っているだけだ。誰かに言ってもし、倍傷つけられたらどうしようと怯えているだけだ。あんなに傷付けてきた人にどうして今更頼れようかと、恥じ入っているだけだ。誰も都合よく消費したくない。そんな心でいたいと、理想を高く掲げたフリをして、自分は縮こまっている。誰も彼もが怖くて、救いを願いたいのに誰にも手を伸ばせない。本当はそこに、差し出された温かい手があるのかも、と一瞬考えて気持ち悪くなって怖くなって震えた。涙が出る。誰もいない。いないと思っていなければまた、傷つくことになる。信じてはいけない。怖い。恐怖が自分を蝕んでいる。こんなもんだ。自分なんて。つまらない。凡人だ。しかももう心の壊れた凡人。
壊れた、とふと腑に落ちてもう悲しくて悲しくて、ベタな言葉で言うと胸が張り裂けそうで。なぜこんなになるまで放っておいたのだ。そしてなぜここからも、放っておかなければならないのだ。自分が剥がれていく感覚が止まらない。

ほんとうはもっと、君と話したいことがあった。

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