縮むバスタオル

スマホで音ゲーをやっている最中、ふと目を上げると干してあるバスタオルが映った。
なんだか変だ。裾がうにうにと動いて少しずつ上へ上がっていく。…そんなわけ。
そんなわけがない。怪現象にもほどがある。しかしたしかにそう見えるのだ。緞帳が上がる様よろしくバスタオルの裾が視界の中で上方向に移動していく。…ように、見える。
よもや幻覚、やっと私もそこまできたかと目を瞬く。やっぱりなんか少しずつ裾が縮み上がっていっている。音ゲーに戻り、また見る。やっぱり動いている。
しかし私は冷静である。これがおおかた目の疲れからくる錯覚、タオルの模様がしましまだから起こりうる錯視のたぐいと検討はついているのだ。まかり間違っても霊現象だとかではない。ましてや幻覚などでもない。自分は非常に落ち着いているのだ。うにうに、もぞもぞ、と動いているタオルを凝視する。黄色と青のストライプ…いや向き的にボーダーなのか…?わからない、タオルの縦横とは…そんなことはいい、縞模様のバスタオルは静かに吊るされているだけだ。部屋は無風で物音もないし、嫌な気配的なものもない。視線を下げてタオルの裾を見ると…なんだかやっぱうごめいているように見えるんだけれども、確実に錯覚だ。本当に縮んでいるとして、このペースならばさっきの半分ほどの大きさになっていなければおかしいはずなのである。
面白いものを見たな…と思いつつ、目を休めないと、と思う私なのであった。

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