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劇症型溶血性レンサ球菌感染症の患者数、過去最多の977人に

 「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」の患者数が、6月2日時点で977人となったことが国立感染症研究所より発表されました。

 STSSは免疫不全などの重篤な基礎疾患を保有していなくても、突発的に発症する場合があります。また、子供から大人まで幅広く発症する可能性がありますが、なかでも30歳以上の発症率が高いことが特徴として挙げられます。
 腕や足の痛みや腫れ、発熱、血圧の低下などから始まり、劇症化して手足の壊死や肝不全、腎不全などの多臓器不全となり、数時間で全身の状態が悪化します。その致死率は3〜7割と極めて高く、重症化のメカニズムは解明されていません。初期症状のサインは医師でも見分けがつきにくいそうです。

 発症した場合、適切な抗菌薬の迅速な投与、緊急手術による広範囲の病巣除去、集中治療室での全身状態の管理による治療を施す必要があります。現在、劇症型溶血性レンサ球菌感染症に有効なワクチンはありません。
 1999年に統計を取り始めて以来、過去最多だった昨年の患者数941人を超えていることもあり、感染の疑いがあれば早めに医療機関を受診するよう専門家が呼びかけています。

 STSSの要因となる溶連菌は咽頭炎などを引き起こす細菌で、免疫をもっている人も多く、新型コロナウイルスのようなパンデミックはないと言われています。
 しかし、海外で急速に広まっている「M1UK株」という病原性の高い株が増加傾向で、昨年から日本でも相次いで確認されています。

 新型コロナウイルスの次はSTSS、と感染症に翻弄される日々ですが、人流が活発になった今、免疫力を下げないことが一番の自己防衛なのではないかと思います。(H. S)                                                                                                                                  

参照:日本経済新聞(2024年6月12日付)
日経電子版(2024年6月12日付)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1185G0R10C24A6000000/
厚生労働省HP:劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137555_00003.html
国立感染症研究所HP: 劇症型溶血性レンサ球菌感染症とはhttps://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/341-stss.html
NHKクローズアップ現代HP:急拡大・致死率3割「劇症型溶連菌」 原因は?対処法は?
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4901/