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認知症薬、年内にも医療現場で実用化

 厚生労働省はエーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を正式に承認しました。アルツハイマー病の進行を緩やかにする効果を証明した国内初の薬です。また、厚生労働省はエーザイの認知症治療薬「レカネマブ」の薬価の設定に向けて議論に入りました。12月下旬までに医療現場で使えるよう薬価を定める方針です。

 エーザイは薬価算定時に介護費用の負担軽減なども考慮するよう求めていますが、中央社会保険医療協議会の委員からは「国民の理解を得る意味でも最終的に介護負担がどれだけ減ったかも重要だ」といった意見がありました。薬価が高額になった場合は「高額療養費制度」が適用され、実際の負担額は数万円程度に抑えられる見込みです。

 レカネマブはアルツハイマー病患者の脳内に蓄積する「アミロイドβ」というたんぱく質を除去するように設計された抗体医薬で、臨床試験では早期段階の患者の病気の進行を27%緩やかにする効果が確認されています。

 厚生労働省によると、日本の認知症高齢者の数は2012年で462万人と推計されており、2025年には約700万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人に達することが見込まれています。

 認知症は誰もが関わる可能性のある病気です。この薬は認知症を完治させるものではありませんが、症状を改善させる薬が登場したことで勇気づけられた人もいると思います。認知症とのよりよい共生を実現できる社会に期待します。(H. S)
 
参照:日本経済新聞(2023年9月23日付)
日本経済新聞(2023年9月25日付)
日本経済新聞(2023年9月28日付)
エーザイ株式会社HP https://www.eisai.co.jp/news/2023/news202334.html
認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)- 厚生労働省