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その2 三ツ寺能面少女が鉄仮面になるまで

さて。
小説家になろうで細々と、それでも楽しみにご覧下さっている方がいてくれる幸せな作品であったヨシダさんシリーズが1冊の本になるということで。
単行本に収録する作品を選定することと、それぞれのエピソードにも細かな修正や調整が必要になってきました。
まず、担当編集Fさんが単行本に収録するお話をウェブからピックアップして下さいました。なかでも「廃校であった怖い話」は、このヨシダさんシリーズを初めて読んだときから一番怖かったと言って下さっていて、今回もいの一番に候補に上がりました。
それに加え幾つかの短編と、後半からは能面の出現を端緒とした、いわゆる「完結編」になだれ込む。そんな感じになりました。また単行本では5つほどにまとまったサブタイトルも、小説家になろう版では倍の12話ぐらいにわかれており。これも、小分けにするよりだんだん引きずり込まれていく構成が良いのではないか?と担当編集Fさんが提案してくださったものです。結果、実は完結編の最終回…長年書き続けた物語を一旦締めくくった回のサブタイトルは
MOTHER2
でした。この本は私にとって「ぼくだけのMOTHER」を自負しており、最初はこのMOTHER、そしてMOTHER2という並びを残すつもりでおりました。
が、まあ、あまりといえばあまりにまんまなのと、やはり区切りの良いところであって、さらに言えばタイトルもシンプルかつ異質なMOTHERとだけしたほうがいいだろうと思い直して、こちらも削って一つにまとめました。

私としては完結編の中にある「二十一世紀の聖域」との整合性のため、二十世紀の聖域を収録したいとリクエストしました。
これはヨシダさんの過去に向かってのオデッセイ(おっ、装甲騎兵ボトムズ)を最初に書いた作品で、そこから時を経て完結編に突入する最初のサブタイトルが二十一世紀の、に変わるというところがとても気に入っているからでもありました。
ヨシダさんの過去に焦点を置くことで、よりヨシダさんという人物像に近づき、彼の過去に触れる物語への布石になるのではないか。ということです。
ただその結果、正直に言うとJさんの登場がやや唐突になってしまったかなと反省が残りました。これは校正さんからも指摘があったのですが、収録候補からJさんの登場作品がものの見事にこぼれてしまっていたのですね。で、何処かで身の上を明かそうにも予算ギリギリの増ページを経てもまだ足りない、削り込みを繰り返すなかで断念。
結果、急に出てきてファミコンを用意するお坊さん、という…。
ただこれでJさんの素朴というか、なんとなく冷静沈着かつ世話焼きで博識、というキャラが一旦はわかってもらえたかな?と思います。
私や担当編集FさんはJさんとも付き合いが長いので、この書き下ろしエピソードで事実上の初出となる実感がなく、しれーっと登場したのでありました。
Jさんの登場する作品は是非Webで!などとのたまってみる。
もしくは続編・新作希望のお便りを是非、宝島社まで…!(切実)

それと、もうひとつが
三ツ寺鉄仮面少女。
この話も私のリクエストで収録された話でした。
非常に思い入れがあり、またヨシダさんとカズヤ君の関係性を端的に表した場面も多いため、お願いして入れさせてもらいました。…なんかヒワイ?
(セクハラ、ダメ絶対!! by担当編集F)
ただ一つモンダイが。
Web版をご覧下さった方はおわかりかの通り、この作品に出てくるキーアイテムは
能面
でした。
当然ながら完結編に向かう合図とも言える、あの能面とは全くの無関係な別もの。

なぜなら、あの能面とコッチの能面は、全く別の発想で生まれた物語だったからです。

今なろう版を読み返してみると、最初に「能面」の話を書いたのが2016年。そこから紆余曲折を経て完結編となり、無事?に完結したのが2018年12月31日。この時点で2年以上かかっている。
最終回とラス前も半年ぐらい間隔がある。
さらに、三ツ寺能面少女(Web版)がアップされたのは2019年。
ココでも数ヶ月かかっている。
この数ヶ月の間に、もっと言えば完結編シリーズを書いている2年ぐらいのあいだ、私は大阪でよく遊ぶようになってて。
特に日宝三ツ寺会館がお気に入りで、開くのが早いプカプカさんから他のお店に向かうのが常でした。ダイゴローさんに小説の話をしたのも、お店と御本人の出演に許諾を頂いたのも、この期間。

なので、ヨシダさんのよくいる場所がいつの間にか蒲田から大阪になっている。
特にシーズン2では具体的に生野区桃谷、となっている。
これはこれで私に土地勘が付いた理由があるのだが、さておき。

この三ツ寺会館で飲むようになって、お店やバーテンさん、よく飲んでいる人とTwitterで繋がることも増えました。
で、その中にいらしたのが尻神(しりがみ)さん。
読んで字の如く、神がかったお尻を持つ人、である。女性。既婚。

https://www.instagram.com/sukipi_korosu/

で、この方がよくポートレートや遊びの写真を撮るのに、能面をかぶっていて。
それで賑わう夜の交差点や、三ツ寺会館の廊下、お店の中と、あちこちで撮っているのを見て
これだ!!!!!!!!
と。
もちろんお尻も素晴らしいのですが(これを書いている人は尻フェチ)、それ以上に能面と、それ以外はむしろ派手な髪型、髪色。露出度の高い装い。
なによりスタイルと佇まいの良さ。これが絶品でした。
で、是非モデルとして書かせてほしいとお願いをして、お許しを得て書いたのが
三ツ寺能面少女
でした。なので、初単行本ということで是非!と鼻息荒く担当編集F氏にリクエストしたのですが
「いいけど、完結編と能面かぶってね?(要約)」
とのこと。
ほう、能面だけに「かぶってる」とな。
なにか変わりのモチーフは無いものか。
スケキヨみたいな顔、デスマスク、覆面、獣神サンダー・ライガーさんのマスク、と色々考えたのですが、三ツ寺会館ならライガーさんのマスクかぶってはしゃいでる奴フツーに居そうだし新日本プロレスの許諾が難しそうなので、やめて。
鉄仮面になりました。

ナニがタイヘンって、それが決まるやいなや文中の能面を全部「鉄仮面」にプチプチプチプチ書き換えるんだよ!もうねーー1984の真理省が歴史の改ざんするのに新聞記事を全部、修正してるみたいな気分だったね。
めんどくさいのはNO!
NOめんどくさい!
NOめん、能面…。

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