#1 「いってらっしゃい」
この言葉をかけられることが稀になることを知らない僕は 母への返答もいい加減に、
家まで迎えに来てくれた友人のもとに急いでと向かう
外に出るとまだ少し冷たい風が吹き、辺りには散った桜の花びらが揺れていた
車に乗り込むと、そこにはトシキとマリがいた
「まさかコウタが東京に就職するとは思わんかったなぁ、」
手本のような安全運転をするトシキは、一時停止線でしっかり止まり、僕に言った
「ほんまやでコウタのことやからすぐ東京に染まりそうやわぁ」と、笑いながらマリが言う、そして歯が白い
「