4の妬み/羨望

4が囚われている感情は妬み、または羨望と云われる。一言でいうと「自分には何かが欠けており、その欠けている何かを埋めたい」と絶えず切望する気持ちのことである。他者には自分の欠けている何かが既に備わっているように思える。いつでも隣の芝生は青い。

嫉妬心をかき立てるのは、自分が味わえない満足感を他者が味わっているという思い込みである。

「新エニアグラム」ヘレン・パーマー

理想には手が届かなくて、満足感を得られずにいる。その満足感を他者は容易に手にしているように思えてしまう。ただ、4にとっての理想はずっと理想であって欲しいもの。理想に近づき過ぎるとそれは無価値になってしまう。遠くにある理想を望み続ける状況に価値を見出せるし、精を出す。
妬みという単語を辞書で調べると、「自分と他人を比べ、他人の優れた部分を羨み、憎く思うこと」とあるが、エニアグラムでのタイプ4の妬みの説明としては意味が若干ズレるので注意。
他者との比較により自分にないものを人の中に見つけた場合、いいなと羨み、なぜ自分はそれを持っていないんだろうか、なぜ自分はこんなにも欠けているんだろうと自己嫌悪する。失望する対象は自分、怒りを向ける対象も自分。他者よりも劣っている自分を憎む。
4はベクトルが内向きなので、感情は基本的には他者(外界)よりも自己の内面へ向かう。だから、他者のものを奪いたいだとか、誰かへの憎しみが湧くという外向きの感情は囚われの定義には含まれていない。もっというと書籍の健全度の描写、不健全だとしてもそのような記述は見当たらない。(どっちかというと劣等感に苛まれて自身を憎み、自死するという方向性の描写が多い。だからと言って社会や他者を憎む4がいないとは思わないが理論にはなさげ)
ただ、生得本能がセクシャルの4の説明には自分が特別だと感じる人限定で、羨むと同時に憎しみが湧くとは書いてある。特別で好きだからこそ憎しみが湧く?明らかな嫉妬があり、それを原動力にするというようなこともセクシャル優位ならやる。でもそんな嫉妬があることは絶対にバラさない、態度には出さない。

仕事を手に入れれば、恋人が欲しくなり、恋人ができれば、一人になりたくなる。しかし一人になってしまうと、仕事と恋人が欲しくなる。意識のサイクルは自分が持っていない一番よいものに向けられ、それに比べ、すでにあるものは退屈で無価値なのである。

「新エニアグラム」ヘレン・パーマー

努力の末、理想が現実化したとしても、その状況から更なる欠けているものに意識が集中してしまう。既にあるもの、手にしたものでは魅力不足で、そこにないもの、自分から遠く離れているものに惹かれる。

4のモットーとして「半分しか入っていないコップを一杯にする。」と表現した本があったが、この文章は4の妬み/羨望を表していると思う。自分自身を一杯にしたいと強く望んでいるが、いつでもそのプロセスにあり、その状況を知らず知らずのうちに4自身も望んでいるんだろうと。

参考
「新エニアグラム」ヘレン・パーマー
「エニアグラム 職場で活かす『9つの性格』」ヘレン・パーマー/鈴木秀子
「性格のタイプ 増補改訂版: 自己発見のためのエニアグラム」ドン・リチャードリソ/ラス・ハドソン


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