コロナに対抗する体験型イベント~Prison Escape Online~

前説(読み飛ばしても大丈夫)

コロナ禍によってソーシャルディスタンスの必要性が高まり、いわゆる"3密"を避けなければならない事態になっています。その影響は大きく、仕事・生活・文化等々あらゆる分野にわたり、行動変容が求められ、結果としてこれまでと同じでは立ちゆかない事態となっています。

体験型イベント系の分野もその影響は大きく、そもそもその場に来て見て触って人とふれあう楽しさを提供するのが主な分野ですから、正直何もできない=座して死を待つばかり? そう思いかねない事態です。

ですが、この業界もそんなに諦めの良い人達ではないようです。その場に集まれなければ、参加者が自宅に居たままでできる物を作ろう!そんなコンテンツが、2020年3月下旬ごろからチラホラとリリースされています。

本項では、そのような体験型のコンテンツについてご紹介していこうと思います。

Prison Escape Online(今回紹介するイベント)

ブレダ刑務所から無実の男を脱獄させろ!
君のPCの画面にいるその男だ!

・公式サイト(英語版):https://prisonescape.nl/online/en/
・主宰団体:Real Life Gaming(オランダ)
・初回:2020年4月24日
・プレイ時間:45分(30分前にアクセスすること)
・プレイ人数:1チーム2名以上7名まで
・プレイ料金:1チーム€109.95-(約12,800円)+税
・推奨環境:
 - デスクトップパソコン or ラックトップパソコン
 - webカメラ・ヘッドセット・マイクロフォン
 - ネットワーク:下り:2Mbps以上・上り:0.5Mbps以上
 - ソフトウェアの事前インストールの必要はなし

 Prison Escape Onlineは、その名の通り監獄(Prison)からの脱出(Escape)を目指すゲームですが、プレイヤーは囚人ではなくハッカー。
謎の人物から依頼を受けて、オランダのブレダ市にある刑務所に捕らわれている無実の人物 Yuri Koblenko の脱獄を目指すゲームです。
 限られた時間で脱獄をさせるために、限られた状況の中で情報を集め、時には尋問し、時には工作して目的達成をめざします。

 ネットワークとPC、ヘッドセット等があればプレイできるので、テレワークできる環境ならプレイに問題ないと思います。
 オランダの団体なので、アクセスすると最初にオランダ語のページに飛んでビックリするかも知れませんが、英語のページもあるのでご安心。
 英語力がどれくらいいるかなのですが、尋問ってワードがでてきていますね、ある程度の会話力は必要ではないかなと思います。実際プレイはしていないので現時点では不明ですが、これから挑戦しますので続報をお待ち下さい。

PRISON ESCAPEとは?(そもそも実施されていたイベント内容)

 Onlineになる前のPrison Escapeは、プレイ時間3時間、元々本当に監獄だった施設(今は市民センターになっています)を貸し切って、参加者はそこに無実の罪で捕らわれた囚人となります。一度に200~300名の参加者が脱獄を目指すゲームで、基本的には個人戦です。

 こう聞くと、遊園地等で行われているスタジアム型の脱出ゲームをイメージすると思います。ところがこのゲーム、日本の脱出ゲームとは全然違いました。

・ゲーム開始(どころかチケットをもぎった以後)からGM・黒子等スタッフ的な存在が全く登場しない(全てキャスト)。
・チケットをもぎられた後は囚人扱い。施設の周りを歩かされ、囚人服に着替え、照明写真を撮られる。
・いわゆる冊子とか、分かり易いパズルのパネルとかはほとんどでてこない。でてくるのはそこにあっておかしくないものばかり
・情報は非対称。あるプレイヤーの囚人服のポケットに最初からコインが入っていたり、白い粉が入っていたり、部屋のゴミ箱に謎のメモがあったりするけれども、どれもランダム。
・参加者は他の囚人と情報交換したり、怪しい看守を追跡したり、掃除のおばちゃんを手伝ったり、いろいろやりながらなんとかして刑務所からの脱獄方法を探す。もちろん暴力や物理はだめ(その時ばかりは運営が出てきてゲームを止めるらしい)
・脱獄方法は20種類以上(正確には教えて貰えなかった)

このようにある意味、囚人シミュレーターなコミュニケーションゲームの様相を呈していました。ヘタをすると、何して良いか分からずオロオロしている間に全てが終わりかねないゲーム。

 しかしそこは運営も手慣れた物で、このゲームキャストを80名以上使っているんですよね(+ドーベルマン的な犬もいます)、彼らが囚人をとがめる感じで上手く誘導していたりして、なんとなくやることが見えてくる秀逸な設計になっていました。私も最初プレイしたときは分からずオロオロしていて、声を掛けてくれた掃除のおばちゃんの後をついていたら気付いたら脱獄成功していたという、ハリウッドで酷い目に遭いながらなぜか最後生き残っている3枚目キャラみたいな体験をしました(もちろん途中いくつかミッションを課せられました)。

 いまだ日本で見たことがないタイプのゲームで、自分も企てていますのでその時が来たらご支援お願いします。

 それはさておきましても、このリアルコミュニケーションゲームをどうオンラインに持ってきたか、興味が尽きません。幸いなことに素敵なメンバーに巡り会えて本日プレイすることができるので、大丈夫な範囲でレポートできればと思います。

Prison Escape Onlineのマネタイズについて考察

 避けては通れないお金の話。まだ十分情報を集めきれていないのですが、現時点での考察です。

 Prison Escape Onlineはイベント参加費(1チーム当たり€109.95-)を主なインカムとして運営していると思われます。
 同時間に2グループまわしており、1グループ1公演と計算すると、1日当たりですと金曜日36公演、土日が50公演で、1週間で136公演の計算です。
 そこから最大値を考えると€109.95×136公演=€14953.2-(約1,740,000円)
 これを4週繰り返すイメージです(厳密には異なります)。
 なお、これは100%売れた場合です。

 ひとつ気を付けないといけないのは、オンライン版は本来のPrison Escapeができない代わりに実施されていること。予約日程を確認したところ、もともとは通常版Prison Escapeの予約が行われていた日程がPrison Escape Onlineに変わっているように見えます。通常版Prison Escapeですと、平日1公演、週末3公演くらいで、各回200名程度のプレイ人数、一人当たりの参加料が10,000円くらいだったかな(こちら確認中です)。売上げ面でいうと、正直厳しくなっているようにも思います。

 とはいえ、何もしなければ何も起こらない中、Online版を作られたことにクリエーターとしての意地を感じます。まさに本日が処女公演となります。日本からでも良い感じに参加できないか、ぜひぜひ見極めたいなと思います。

面白い記事を書いていけるよう頑張ります!!