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オンラインコンテンツ:Inside Theater オンライン・パパラッチ 企業の不正を暴き出せ

1月16日に開催されたオンラインリアル脱出大パーティ。SCRAPが主催するオンラインフェスイベントの中でInside Theater「オンライン・パパラッチ 企業の不正を暴き出せ」が開催されました。

このコンテンツがとても楽しかったので、ここに記録したいと思います。

Inside Theaterとは

コロナ禍の影響でオンラインで遊べるエンターテインメントが沢山出てきました。Inside Theaterもその1つ。リアル脱出ゲームのSCRAPによる新たなゲーム。ディレクターはSCRAPのきださおりさんで、イマーシブルシアターに興味を持たれた流れから制作されたコンテンツだと思います。

もともとはリアルで企画されていたことができなくなったからこそできたコンテンツなのかもしれません。

これまでInside Theaterは Vol.1「SECRET CASINO(シークレットカジノ)」とVol.2「僕等のラストフェスティバル」の2つのコンテンツが提供されています。

今回の「オンライン・パパラッチ 企業の不正を暴き出せ」はこれまでのノウハウを用いつつ新しいものになっていました。

「オンライン・パパラッチ 企業の不正を暴き出せ」

「オンライン・パパラッチ 企業の不正を暴き出せ」はSCRAPが開催したオンラインフェスティバル「オンラインリアル脱出ゲーム大パーティー」の1コンテンツとして2021年1月16日の12時35分から14時10分のタイムテーブルで提供されました。

Inside Theaterシリーズではありますが、オンラインリアル脱出大パーティ用に作られたコンテンツのようです。そのためこの日この時間1公演だけのコンテンツです。ですのでもしかしたら、Inside Theaterシリーズの特別編とかになるのかな。

会社のお金を横領した疑いをかけられた依頼者を助けるのが目的のゲーム。社長がこの事件に関する記者会見を行う前に、真犯人を見つけ出すという内容。

てがかりは事件当日の監視カメラの映像。情報システムを管理する部門にいる社員の協力を得て手に入れた監視カメラの映像から真犯人を見つけ出すという内容でした。

ここが面白いなと思ったこと

監視カメラは5台。つまり5箇所の映像を見ることができました。そのうち4箇所は音声もついています。参加者はこの5台のカメラ(+5台の映像が同時に映っているもの)のどれかを選び、好きなタイミングで見たい映像を切り替えることができるのです。カメラ5台の映像が映っているものは音声が聞こえず映像自体も小さいため、各場所での会話やちゃんと見たい事がある場合は5台のカメラから1つ選ぶ必要がある=その時に別の場所で起こっていることは見ることができないという仕組みでした。

個人的に面白いと感じたのは、監視カメラの映像を見終わる時間とタイムアップのタイミングが同じということ。これにより映像は1回しか見られないし、巻き戻しもできないので、どこかを見ようとすると他の場所をみることができません。結果として自分が何を見たいのかを判断して選択する必要に迫られます。

これだと事件の真相は自分一人では掴みきれません。ですがこのイベントはそれで問題ないのです。なぜなら、これは個人戦でなく全体戦。イベントに参加している全員が情報共有してカメラの向こうにいる主人公を救うことができればよいのです。自分が見つけたこと、思いついたことはスクショやテキストでtwitterでどんどん共有し、みんなで真相に迫るゲームとなっていました。

そう、このゲームはSNSでリアルタイムにネタバレOKなのです

オンラインリアル脱出大パーティの中だからこそできた、虚構と現実の壁の突破

自分のTwitterで思いついたことをリアルタイムで発信できる、それは通常の謎解き系やミステリー系のイベントでは考えられないことです。なぜなら、そんなことをしてしまうのはネタバレになる=他の人がプレイできなくなってしまうから。ですが1度しか行わないのならば、この心配は無用となります。まさにオンラインリアル脱出大パーティという多くの人が集まる場所だからこそできた、お祭り要素の高いギミックだったと思います。

そしてこれは、虚構と現実の壁を取り払う、物語による現実への浸食を成功させているというように感じました。

通常の謎解き公演では、会場の中はゲームの世界、どんなにリアルに作っても会場から出てしまえばあの世界は自分達とは異なる世界だと、どうしてもそう感じてしまいます。

でも例えば、帰ったその夜に会場で出会ったキャラクターからメールが来るとか、後日お手紙が送られてくるとかしたら、あの世界ってもしかしたら本当にあったのかも、あそこで出会ったキャラクターは実在しているかもとか、ちょっと嬉しくなりますね。

おそらくそんなとき、何らかの形でキャラクターとやり取りができる(それは世界とのやり取りともいえるのかも知れません)、そんなときに現実と虚構の壁は消え、素敵な「体験」が産み出されるのではないでしょうか。

他にも、画面の向こうのキャラクターに声を掛けたら返事してくれるとか、向こうから自分の名前を呼んでくれるとか、現実と虚構の壁を取り払う手段はいろいろありますし、それはどれも素晴らしい体験を生み出します。

ただキャラクターとのやり取りには1つ問題があって、それはプレイヤー人数です。人数が増えると相対的に画面の向こうのキャラクターとやり取りできるチャンスは減少します。参加者数を絞ることができれば良いのですが、そうなると興行としては厳しくなる。

そんな中、今回の様にネタバレOK、むしろtwitterでハッシュタグ付けて情報共有しましょうという仕組みは、真相を知るための情報共有を双方向で行ってもらうことで、オンラインパパラッチとして参加しているゲームプレイヤー自体も物語のキャラクターとして取り込むことに成功しているのではないかと思います。

個人個人が日常で使っているtwitterアカウントで情報共有するということは、この行為自体が現実の延長線にあるんですよね。だから虚構の物語であったとしても、もしかしたらこれは本当に起こっているのではないかと、そして自分の発言が仲間達に見られることで、真相にたどり着きハッピーエンドにつながってとても素晴らしい体験になったのではないかと、そのように感じました。

これが最終形なのか?

さてとても楽しかったInside Theaterのオンラインパパラッチ、これは最終形なのでしょうか。

個人的には、まだまだ先はあるんじゃないかなと思います。例えば今回私がすごく好きなtwitterの使い方とそれが産み出した体験要素ですが、これはオンラインフェスの1コンテンツだから成立したことでしょう。興行という点ではいつもできる手段ではありません。1回やってそれで終わりというコンテンツは、なんだかもったいない。

監視カメラの仕組みで1人が全体の様子を把握できないでみんなと共有する必要があるのはとても良かったです。ただこれゲーム後の感想戦がはかどるやつなので、参加者限定のオープンチャットとか、あとで参加者と語れる場所があってほしかったなとかも思います。コンテンツの内容からはちょっと離れる話ではありますが。

体験的な話をすると、キャラクターとのやり取りをもっとしたかったとか、結局カメラ映像を見ているだけなっちゃいかねなかったかもとか、自分が見つけた感や遊び要素が案外少なかったようにも感じました。もちろんこれは難しい所で、今回のように大人数が参加するイベントだと下手に盛り込むと収拾が付かなくなる危険性もでてきます。

そのあたり、いろんなアイデアはあると思いますが悩ましいところですね。

おわりに

まだまだ可能性がある仕組みだけに、本当今後も期待ができるコンテンツでした。

今回色々と試行錯誤の結果でオンラインパパラッチができたのだと思います。大変なことなど沢山あったと思いますが、とても素敵で楽しいコンテンツでプレイできてとても良かったです。

ご制作された皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。今後もとても楽しみにしています。ありがとうございました!

……あ、そうだ、サブタイトルの~企業の不正を暴き出せ~とは???(笑

面白い記事を書いていけるよう頑張ります!!