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オンラインでイマーシブとミステリーとゲームの融合"Sherlock Holmes: An Online Adventure"(イギリス)

コロナの影響でリアルイベントが実施できないのは世界各国どこでも一緒です。海外のESCAPE ROOMもZOOM等を使ったオンラインバージョンをプレイできるようになってきました。

これらのコンテンツは基本的にはリアルコンテンツが先にあり、代替手段としてオンラインバージョンがあります。元々はリアルコンテンツでオンライン用に作られていないため、一部が省力されていたり、本来楽しめる仕組みを体験できなかったりしていました。

このような状態でしたがコロナの影響が長引いた結果、最初からオンラインでの運用を想定したコンテンツが作成されてきています。今回紹介するのは、シャーロックホームズをテーマにしたミステリー系のコンテンツSherlock Holmes: An Online Adventure"です。

Sherlock Holmes: An Online Adventure

"Sherlock Holmes: An Online Adventure"はロンドンでイマーシブシアーター系コンテンツを実施している Les Enfants Terribles Theatre Company & Les Petits Theatre Company が提供しているコンテンツです。

このコンテンツについて

予約は時間枠そのものを押さえる"PRIVATE"と、1名で予約して同じ時間に予約した他の方と一緒にプレイする"PUBLIC"の2種類があります。

参加費は"PRIVATE"は6名まで参加で£105(約16,000円)、"PUBLIC"だと£17.5(約2,700円/1名)です。ゲーム時間は約90分。面白いのは予約枠は24時間対応、毎時00分から時間が枠があります。ちょっとすごいですね。

内容はシャーロックホームズの行方不明の中でのワトソンからの依頼から始まり、現場を捜査、情報の収集、容疑者への質問と多岐にわたる内容です。

情報量も盛り沢山。シャーロックホームズをすごくリスペクトしていて、おまけ要素的な仕込みもたっぷり。本編に関わりない要素も多いので、答えを出すゲームとしてみると迷走するかもなので難易度は高くなりますが、ああでもないこうでもないと議論を楽しむイベントとして考えるとむしろ楽しいです。

ただ制限時間があり情報量が多いため、英語力がかなり問われます。容疑者の尋問等、参加者毎にルートを振り分けられるシーンがあるため英語ができないとちょっと厳しいです。

言語ハードルが高いため気軽に参加は難しいかもですが、現状のオンラインコンテンツとしてはかなり良くできた設計となっていました。

オンラインコンテンツとして発展させた特徴

さてこのコンテンツ、内容も面白かったのですが仕組みとしても洗練されていました。いくつかご紹介します

・24時間公演枠あり

予約枠をみると毎時00分開始、なんと24時間枠があります。つまりロンドンで深夜の時間帯でもプレイ可能。日本とイギリスの時差は8時間あるので、予約をするのがかなり楽になっています。

オンラインコンテンツは距離の壁がなくなりますが、時差の関係で案外予約時間が合わないことがあります。それが24時間対応なので、距離だけでなく時間的にも参加がやりやすいこんてんつになっています。

・運営人数は最小限

これは24時間公演枠設置を可能にしている理由でもあると思いますが、公演中の運営スタッフの人数を最小限になるような設計となっています。それでいて体験要素も低くならないように作られている。webアプリケーションや映像を上手く使うことで面白さを損なわないなっています。

最初からオンライン公演として練り込んで作られているんだなと感じました。マネタイズとしても継続可能な形を模索した結果のように感じます。

・体験要素は強く

運営人数は最小限ですが、プレイヤーと直接やり取りするワトソンに役者をあてて当意即妙のやり取りがなされます。参加者全員に話を振り、登場人物として違和感なくいま何をするれば良いかを伝えてくれるのです。

もともと演劇集団である強みを活かして体験要素を高めつつ、操作パートで役者がいなくなってもうまくwebブラウザのシステムを使い物語に没入できる仕組みとなっていました。

おわりに

"Sherlock Holmes: An Online Adventure"はある意味において、コロナのある世界だからこそできたコンテンツなのかも知れません。

没入という観点でリアルとオンラインを比べると、リアルの方が良いとどうしてもなってしまうでしょう。ですがオンラインだからできることというのもあると思います。視点を変えてみれば、海外の公演を日本にいながら参加できるというのもオンラインの利点ですね。ゲーム会場となる部屋を用意しなくても良い=固定費が押さえることができるというのもあると思います。

そもそもコロナの影響でリアルで実施できないという中、どのようにコンテンツの灯を絶やさないかという観点ですごく考えられて作られたコンテンツだと感じました。

さてこのコンテンツですが、最終日は現地時刻の5月16日だそうです。

もうあまり時間はありませんし英語ハードルも高いですが、ご興味ある方は是非やってみてください。


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