「うんこ漢字ドリル」作者の古屋雄作氏とボクのこと。

だいすけわたなべです。
沖縄にいます。

明日はGO OUT RYUKYUでライヴなので前ノリしてホテルにいます。
気候も気持ちいいしオーシャンビューだし、せっかくの沖縄だしオリオンビールでもシコタマ飲んでやろうと思ってましたが蓄積されている疲れから体調を崩しそうな予感がするのでノンアルコールのオリオンビールにしました。

最近はあまり家でテレビを観なくなってしまった。テレビとラジオが大好きで日芸の放送学科に入ったのに今はめっきりラジオばかりだ。でも滞在中のホテルでは時々テレビをつける。不思議なことにそんな時に、今の自分に必要な言葉がポーンと飛んできたりする。引き合わされたような気がする。

話題のうんこ漢字ドリルの作者の古屋雄作という人が古田新太氏と対談していた。おもしろい人たちだなぁとおもって観ていた。真剣にふざけてる大人ってかっこいいなぁと。数分後にボクの頭の中に「?」がポンと出現した。

「あれ、オレこのうんこドリルの人に会ったことあるな」

名前を改めて見て確信に変わった。

日芸の同級生のテッペイのお兄ちゃんだ。テッペイの苗字は古屋。間違いない。

でも大学の同級生のお兄ちゃんなんて他人みたいなもんだ。なのになぜボクが会ったことがあるか。それは卒業してしばらくしてからのことだった。

その前にテッペイについて少々。テッペイは小ちゃいみうらじゅんみたいな風貌でおもしろいやつだった。年齢はボクの一個上。常に斜に構えていて発言も視点もおもしろくギターもうまかったしオシャレだったから結構憧れていた。テッペイにおもしろいとおもわれたい。とかテッペイにダサいとおもわれたくない。とか結構そんな風に。彼の部屋にもよく遊びに行った。納豆チャーハンを作らせたら彼の右に出るものはいなかった。知らない音楽もたくさんおしえてもらった。

そんなテッペイから卒業してしばらくして電話があった。

「だいちゃんちょっと手伝ってくれない?」

お笑いの制作をしているテッペイのお兄ちゃんがなぜか「ストリートミュージシャンコンテスト」みたいな企画をやらなければならなくなって出演者が足りないからボクに出てほしいとのことだった。ギャラも出ると。

当時卒業してプロのミュージシャンを目指そうとおもっていたボクだったが現実は厳しく、バイトすら決まってない状況だった。焦っていた。そんなわけでお金ももらえるみたいだし人前で歌うのもチャンスだし即オーケーした。

会場は池袋サンシャインの最上階。何人かのストリートミュージシャンが出演してその場に居合わせた観客と審査員の審査で優勝者を決める、といったものだった。ボクは確か決勝くらいまではいったとおもう。記憶はおぼろげだ。他の出演者のことも全然覚えていない。でもその時に会ったテッペイのお兄ちゃんのことはおぼえている。おもしろい人だし、とてもフラットに人と接する人で感じが良かった。(漢字にかけてるわけではない)

そんなテッペイのお兄ちゃんが今、テレビの中でしゃべっていた。話題のうんこドリルで自分が信じてきたものが間違っていなかったことを証明した清々しい笑顔だった。

池袋のサンシャインでボクのライヴをたまたま観てくれたら女の子2人組がコンテスト終了後に話しかけてくれた。歌がとてもよかったです、と。大学の仲間以外に歌を褒められることが珍しかったのでうれしかった。うれしかったし2人ともちょっとかわいかったからお茶に誘った。2人まとめて。3人で池袋のファミレスかなんかでお茶をした。

そこでボクは何の気なしに「今バイト探してるんだよねー」とダサい告白をした。隠してもしょうがないことだし、とても気さくで話しやすい女の子たちだったから。すると片方の女の子がこんなことを言った。

「私のお姉ちゃんが原宿のカフェのオープニングスタッフやってるんだけど人手が足りないらしくて探してるの」

原宿、カフェ、田舎者のボクにはイメージしづらい状況ではあったが、なんとなく直感で「これだ!」とおもった。すぐにお姉ちゃんに連絡してもらって次の日に面接が決まった。

そのyoogee's cafeでボクは20代の数年間を過ごした。いろんな人に出会いたくさんのことを学んだ。少し遅れてやってきた青春時代だった。

出会いとは不思議なものだ。

友達のお兄ちゃんのおかげで知り合った女の子のお姉ちゃんのおかげでボクはバイトが決まった。ただのバイトではなくボクの人生においてとても貴重な経験をさせたくれることになる素晴らしいバイトだ。本当に感謝している。

テッペイのお兄ちゃんにはもうひとつ感謝していることがある。それは「ギャラ」だ。

彼はボクにお金をくれた。

それがボクが、人前で自分の作った歌をうたってもらったはじめてのお金だった。

今でこそ、イベントに出演したらギャラをもらい、ラジオのレギュラーでギャラをもらっている。もちろん当たり前にはおもっていないけど、あの時から考えたらすごいことだ。

たった一度のコンタクトでテッペイのお兄ちゃんはボクにたくさんのものをくれた。思い返してみると本当にそうだ。感謝だ。

うんこドリルが流行っているのは知っていたけど中身に関してはいまいち知らなかった。でもあれを作ったのがテッペイのお兄ちゃんと知っていろいろと合点がいった。

自分がおもしろいとおもうことを信じてそれをやり続けることはかっこいい。とても力のいることだし勇気のいることだ。なにより楽しんでやっていないと意味がない。

幸か不幸かボクもあの日からずっと同じことを続けている。自分が信じた言葉を自分が信じたメロディーに乗せて親からもらった声でうたっている。誰かの心に必ず届くと信じて。まだまだ道の途中だ。

帯を締めなおして明日からまた歌っていこう。

必然か偶然か。
たまたまつけたテレビにサンキューと言いたい。

そして、うんこにもサンキューと言いたい。


#dw25
#dw25_daisuke



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