祖父母の奮闘

職場で孫にプレゼントをリクエストされた話を聞いていた。クリスマス直前に買いに行くという。私は「待てよ」と思った。プレゼントの詳細を聞くと、クリスマス商戦用の玩具らしい。
最近は転売目的で買う人もいるから、争奪戦は激化している。誰かが涙を呑まなければならない地獄だ。
「もう売り切れているかもしれませんよ」
私は会社から近い玩具屋に電話して聞いた。目の前にある分しかないときた。その人も家から近い玩具屋に電話し、「あと三個」と言われたらしい。結局、家に近いほうで一個を取り置きしてもらい、どうにか確保できた。恐らく今日でその商品は売り切れてしまっただろう。
私は私の祖父母がどんな思いで玩具を買ってくれていたのか少し分かった気がした。私が小さい時はまだ争奪戦も今ほど激しくはなかったけれど。慣れない横文字を必死でメモし、間違えないように気をつけながら頑張ってくれていたのだ。
まだ実家にあれらは残っているのだろうか。久しぶりに見て、ありがたみを感じたい。
会社の空調から澱んだ空気が流れてくるせいで相も変わらず咳き込んでいる私だが、少し和やかな気持ちになった。
余談だが、玩具屋の人も電話になれているらしく、応対はてきぱきとしていた。流石だなと少し感動した。

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