計画的偶発性: 予想外のキャリア機会を構築する / Planned happenstance: Constructing unexpected career opportunities

※本記事は、森が日々頑張って読んでいる論文を、頑張って英語でまとめ、それをさらに日本語に翻訳した記事です。
https://medium.com/@KazukiMori/read-planned-happenstance-constructing-unexpected-career-opportunities-ebadb5439294

Planned happenstance: Constructing unexpected career opportunities, Mitchell, Kathleen E; Levin, Al S; Krumboltz, John D(1999)を読みました。

この論文は、キャリアパスにおける偶然と機会(Chance and oppportunity)に価値を見出しています。その目的は、従来のカウンセリングが「個人の興味やスキルを、特定の職業にマッチングさせる」ことに重点を置いていたことを指摘し、カウンセラーがクライアントに「計画的偶発性理論」の道筋に沿って探索的な活動を行うように指導することを提唱することです。

「計画的偶発性理論とは、キャリアカウンセリングを拡張し、予定外の出来事を学習の機会に作り変えていくことを含む概念的枠組みです。」
"Planned happenstance theory is a conceptual framework extending career counseling to include the creating and transforming of unplanned events into opportunities for learning."

この理論の本質は3つの要素に集約されます。

- 予定外の出来事は、自分のキャリアに大きな影響を与えます。
- 予定外の出来事に直面するためには、行動と努力が必要になります。
- クライアントは、他人に主導されるのではなく、自分で行動を起こすべきです。

Krumboltz氏は、カウンセラーがクライアントに以下の5つの要素を身につけるように促すことを提案しています。

1. 好奇心 Criosity: 新しい学習機会を探求する
2. 持続性 Persistence: 挫折しても努力する
3. 柔軟性 Flexibility: 態度や状況を変化させることができる。
4. 楽観性 Optimis: 新たな機会を可能なものとして捉え、達成できるようにする。
5. 冒険心 RiskTaking: 不確実な結果に直面しても行動を起こす

また、計画的偶発性の4つのステップは以下の通りです。

Step1: Normalize planned happenstance in the client’s history.
自分たち自身が、計画的偶発性に影響されてきたことに気づく
Step 2: Assist clients to transform curiosity into opportunities for learning and exploration.
好奇心をまなびと探索の機会に変えることをサポートする
Step 3: Teach clients to produce desirable chance events.
望ましい偶然の出来事の生み出し方を伝える
Step 4: Teach clients to overcome blocks to action.
アクションのためのブロックを乗り越える手助けをする

*

この論文の重要性は、"偶発性 happenstance "の価値に着目したことにあります。この論文の中でクランボルツは、アメリカでは「キャリアは計画された論理的な道筋をたどるべきだ」とされがちであると指摘しています。この常識のもとにありながら、彼は非論理的、非計画的なキャリア育成を提唱しているのです。

一方で、この論文では、カウンセラーとクライアントの二項対立の関係にのみ焦点を当てていることを指摘しなければなりません。この尺度では、キャリア形成の責任は、自己責任論に還元されます。

「クライアントは、他者によって導かれた経験の中をたださまよい、「ドアがノックされる」のを受動的に待つべきではありません。チャンスを生み出し、見つけるために行動することを学ぶ必要があるのです。」
"Clients should not merely meander through experiences initiated by others while passively awaiting a "knock on the door." They need to learn to take action to generate and find opportunities."

もちろん、自己努力の重要性を否定することはできません。しかし、彼の提案は事実上、「好奇心と柔軟性を持った人がキャリアで成功し、そうでない人は成功しない」ということを意味しています。

好奇心や柔軟性、リスクを取ることが苦手な人は、どうやって成功するのでしょうか?人間は単なる物体ではなく、複雑なネットワークであるという認識論に基づいて、どのようにしてすべての人々を包括することができるのか?

これらの問いに関連して、クランボルツはヤングとロジャースを参照し、「目撃者 witness」の役割を指摘しました。


「彼らの研究では、目撃者とは、他人の才能を観察し、その才能や興味を伸ばすように励ます人のことを指しています。このような励ましは、時に短い出会いであったが、この交流によって参加者はリスクを取ることができるようになった。」
"A witness in their study was a person who observed a talent in others and encouraged them to develop the talent or interest. This encouragement was sometimes a brief encounter, yet the exchange left the participants willing to take risks."

これらの文章から派生して、私は、このようなインタラクション、探索活動、無意識の自己変革を社会にもたらす"システム"に注目しなければならないと確信しています。

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