2024年7月21日(日)

案の定、午前中はお腹を壊していた。一通り壊し終わったら喫茶店へ行ってホットケーキを食べた。石川文康『カント入門』と千葉雅也『デッドライン』と穂村弘『本当はちがうんだ日記』を次々に読んだ。カバンにはプルースト『失われた時を求めて』の岩波版第1巻も入れていた。

バスに乗った。バスではプルースト。割とすぐに夢中になった。乗り過ごしそうになった。今年の2月くらいに頭の方だけ読んで、中断してそのままだったのだが、今続きから読み始めると面白くてぐいぐい読まれる。

古本屋で森茉莉『甘い蜜の部屋』を買う。耽美なものも読みたい気分。なんだかんだ森茉莉は読んだことがないので本当に耽美かはわからないがタイトルと表紙とあらすじは耽美っぽかった。

鴨川を眺めに行く。ほとりにはボディービルみたいな体つきの男性が二人いて、片方は完全にボディービルダーが履いている例のTバックみたいなやつしか身につけていなかった。見ているとボディービルみたいなポーズをとり始めた。彼は明らかに異質だった。鴨川でこんな感じの人はいない。ビーチではないので。風景から浮き出て見えて、何ほどか破廉恥なものを見てしまったような気分にすらなった。さっき読んだ『デッドライン』の冒頭も思い起こされた。

 暗闇に目が慣れてくる。ほとんど真っ暗な通路の奥へと歩いていく。左右には、やはりほとんど真っ暗な部屋、というか窪みのような、トイレの個室ほどの空間がいくつかある──蟻の巣みたいに。目が慣れてくると、パンツ一枚の男たちの顔がぼんやりとわかってくる。比較的筋肉質の若い男ばかりだ。一人の男が暗闇の奥へ消えていくと、別の男がその後に付いていく。さらに別の男がその後から付いていく。男たちは連動する。車間距離を測りながら走る車のように、あるいは、群れなして回遊する魚のように。

千葉雅也『デッドライン』(新潮文庫)、p.5

丸善に行くと、豊永浩平という人がデビューしたとポスターが貼ってあった。群像新人文学賞。21歳の現役大学生、私と同い年。写真の当人は大人っぽい人だった。アイドルやスポーツ選手が同い年だというのとはちょっと違う感じに襲われた。別に私は小説家になりたいとも思わないし小説を書いたことも書こうとしたこともない。が、それでも、心の変なところにショックを受けた。それは同い年で同じ身分の豊永という人がデビューしたことに衝撃を受けたのではなく、同い年で同じ身分の人があんなに大人っぽくかっこよく、それでいてアイドルのようなアイコン性を帯びず、こちらを見据えて写真に収まるということに衝撃を受けたのかもしれなかった。

映画でも観ようかと思ったが疲れてしまった。もう少し古本屋を回って帰る。帰りのバスでもプルースト。ぐいぐい。

コンビニで今年最初のスイカを買った。大河ドラマを観ながら食べたが、あまり美味しくなかった。

明日は面接があるのだが、そしてその企業はどうやら今のところ第一志望なのだが、準備をする気になれないまま現在午前1時半である。このまま本当に追い詰められたら頑張れるのか。元々追い詰められなければ何もできない傾向があり、ギリギリまで何もしないで過ごしてギリギリで取り組み始めて、でも嫌々やってるから頑張るとかもない。結局最低限のクオリティでそれなりに済ます。それが通用しないのが就活なのである。

こういうことをひっきりなしに考えているから、気分が緩やかに落ち込んでいる。ちょっとくらい、1日家から出ずに過ごしても良いのかもしれない。焦って色々やるのがよくない。でも家にいたら憂鬱なことを考えてしまうからね。どうせ日がな一日アイドルを眺め続けるに決まっている。それもいいが、本を読んだ方が時間がゆっくり進む。今の私に必要なのは、時間をゆっくり進めることだろう。

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