【EDH】『MTG初心者』用EDHデッキを作るぞ!
普段EDHを遊んでいるグループとは別に、同窓会気分で年1回集まって遊ぶグループがある。一昨年そこにボードゲームとTRPGを布教し、無事ボードゲームが定着した。
つまり、時は満ちたということだ。
私はまさにこのルートで構築済みデッキを買うこととなり、EDHを知った口だ。”MTGを知った”というより”EDHとかいう面白いボードゲームを知った”という認識だった。
そんなEDH布教チャンスが今私に訪れている。
しかし、いくつか条件や思うところがあった。
・MTGどころかTCG初心者が半数(ドミニオンを遊べてはいる)
・年1回の集まりで構築済みを買ってもらうハードルが高い
・昨今の構築済みデッキにいろいろ思うところがある
(新能力がスポットされ複雑・勝ち筋が不明瞭etc)
・私のデッキも少々分かりにくい上に貸して遊ぶと手元に残らない
(あと英語カードが多かった)
構築済みを遊んでいた頃は本当に1ゲームが長かった。拡張性等を意識して構築がなされているのだろうが、一貫性が無く、「勝ち筋」を意識できるようになるまで非常に苦労したように思う。(直近の部族は強かったね)
などと当時の事を思い返し
分かりやすいカードだけで
勝ち筋のシンプルなデッキを
押し付けられる程度の価格で作ってしまおう!
となったわけだ。
今回はそんな経緯で発生した『MTG初心者』用EDHデッキ構築&布教企画について紹介するものである。
「初心者向けの統率者」って何だろう
まずは統率者を決めねばならない。
数ある統率者の中で「初心者向け」かどうか判断する時、基準になるのはやはり「ある程度強い」ことと「動きがシンプル」なことだろう。
可能な限り単純な動きが勝利に直結することが望ましい。
とはいえそれだけではまだ無限に選択肢があるため、今回は”マナシンボル”の説明を省くためにも『単色の統率者』でデッキを作ることにした。
ついでに”色の役割”も若干意識しつつ、動きがシンプルであることを優先して選定を行った。
加えて構築の方針だが、金額制限以外のデチューンは特にせず”ぶん回ればちゃんとそのまま勝てる”ように調整することにした。これはもちろん考えあってのことだ。
理由は2つあって、最初は勝ち筋が明確なデッキを遊んだほうが分かりやすいのではないか、と思ったのと、勝てないまま長く遊ぶのは疲れるから、である。
個人的見解なのだが、EDHからMTGを始めた身としては、始めたばかりの頃ほど勝つべく練られたデッキを遊んでみるべきだと思っている。
100枚ハイランダーで”勝ち筋を意識して構築&プレイする”はそう簡単にできるものではない。
今でもできているとは恐ろしくて言えないが、採用カードのシナジーや、勝つために必要なマナ加速・ドロー・妨害の枚数や割合について意識できるようになったのは、経験者のデッキを借りて何度か遊んでからだったうように思う。
自己流にアレンジするにせよ、考え方の参考となるデッキが手元にあると役に立つのでは、という考えからだ。
後者は読んだ通りで、盤面が膠着してなかなか勝てない展開は疲れるからだ。さくっとぶん回って「あぁ、あれは通したらだめなんだな。」ともう1回遊んだほうがEDHというゲームを理解できるのではと考えたわけだ。
あとは安く作ること。「とりあえずこれあげるから!」と押し付けられるような値段にしておきたい。
とまぁ、あれこれ考えて統率者を選定した。
以下が候補に挙がった統率者達だ。ある程度は納得していただけるのではないだろうか。
白:《王の摂政、ケンバ/Kemba, Kha Regent》
《輝かしい聖戦士、エーデリン/Adeline, Resplendent Cathar》★
青:《空召喚士ターランド/Talrand, Sky Summoner》★
《全能なる者アルカニス/Arcanis the Omnipotent》
黒:《ロークスワインの元首、アヤーラ/Ayara, First of Locthwain》
《不死の援護者、ヤヘンニ/Yahenni, Undying Partisan》★
《最後の血の長、ドラーナ/Drana, the Last Bloodchief》
赤:《猪の祟神、イルハグ/Ilharg, the Raze-Boar》
《原初の嵐、エターリ/Etali, Primal Storm》★
《朱地洞の族長、トーブラン/Torbran, Thane of Red Fell》
緑:《原初の飢え、ガルタ/Ghalta, Primal Hunger》★
《背教の主導者、エズーリ/Ezuri, Renegade Leader》★
《カル・シスマの恐怖、殺し爪/Goreclaw, Terror of Qal Sisma》
最終的に★のついた統率者でデッキを構築した。
6人集まる可能性があったためデッキは6つ。
最終的な選定は「身内に作ってくれる人物がいたから。」で決まった。
完成したデッキリストとコンセプト
【輝かしい聖戦士、エーデリン/Adeline, Resplendent Cathar】
Magic Factory デッキリスト : 輝かしい聖戦士、エーデリン
http://www.magic-factory.net/file/df320872/
エーデリンは白ウィニーのイメージでデッキ構築がなされている。遊び方は『並べて削り、エーデリンの強化や全体強化でトドメを刺す』だ。
『先出しできるクリーチャー』『アドバンテージ』『優秀な全体強化or単体強化カード』が主な搭載カードで、順に出していけばかなりの速度で対戦相手を削ることができる。
試運転ではエーデリン本体が一瞬で3パンサイズになり、一度回避能力がついてしまうと手を付けられない状況だった。復帰も早く、能力もEDH向けで非常に強力な印象だった。
【空召喚士ターランド/Talrand, Sky Summoner】
Magic Factory デッキリスト : 空召喚士ターランド
http://www.magic-factory.net/file/df320869/
説明不要の青単コンバット統率者。
『キャントリップ』と『バウンス』で致命傷を排除しながらクロックを増やしていく。最低限のカウンターは入っているが、ターランドはバウンス等で守っていくイメージだ。
試運転では金額を抑えた関係でキャントリップがちょくちょく止まるイメージだが、ちょうどよくデチューンされているようにも思う。それでもタイマンになれば勝つのは容易い。
【不死の援護者、ヤヘンニ/Yahenni, Undying Partisan】
Magic Factory デッキリスト : 不死の援護者、ヤヘンニ
http://www.magic-factory.net/file/df320868/
『流して残ったヤヘンニで殴る』黒らしさと”全除去”というわかりやすい脅威が組み合わさったデッキだ。私の卓では”全除去は必要悪”という認識のため1つはあからさまなデッキを用意することにした。
『ヤヘンニの相棒』『除去』『ヤヘンニの強化呪文』が主で、相手を減速させながら勝利に近づく動きが自然とできるようになっている。
全除去を自分だけ回避した時の爆発力は圧倒的で、余裕で2パン統率者に成長するためほぼ目に着けた対戦相手を退場させることができる。隙を見せない戦い方や、攻め時を見極める能力も身につくのではと期待している。
【原初の嵐、エターリ/Etali, Primal Storm】
Magic Factory デッキリスト : 原初の嵐、エターリ
http://www.magic-factory.net/file/df320870/
赤は混沌を生むエルダーダイナソー。やれることが分かりやすく、「攻撃するとメリットがあるんだから殴ろう!」と戦いを膠着させずかき回すことができるのを期待した。
初心者に使わせるということで、絶対にエターリがキャスト(再キャスト)&攻撃できるように『マナ加速』『アドバンテージ』『速攻付与手段』が潤沢に採用されている。
残りは安い中でカードパワーの高いフィニッシャー達だ。まぁあとは対戦相手のデッキから強いカードを捲ってはちゃめちゃすれば勝てるだろう。
エターリで得られるアドバンテージは圧倒的だ。
【原初の飢え、ガルタ/Ghalta, Primal Hunger】
Magic Factory デッキリスト : 原初の飢え、ガルタ
http://www.magic-factory.net/file/df320862/
『統率者で2回殴れば相手は敗北する』
大変わかりやすく強力な統率者だろう。
作って感じたのだがフリー枠が大変に広い。マナレシオの良い優秀な緑クリーチャーを好きなだけ採用できる。マナ加速は『マナクリ』主体で、アドは『パワー参照ドロー』で稼いでいく素直なもの。
全除去に対しては脆弱なはずだが中型クリーチャー1体で『ガルタ』が帰ってくるため全く侮れない。
試運転ではぶん回りすぎたためいくつかデチューンを施した。特に『ブーツ』や『すね当て』を引いてしまうと全く止められないため最初は抜いたほうが良いかもしれない。相手をする側が非常に勉強になる統率者かもしれない。(主に目を付けられない能力が身につくw)
【背教の主導者、エズーリ/Ezuri, Renegade Leader】
Magic Factory デッキリスト : 背教の主導者、エズーリ
http://www.magic-factory.net/file/df320865/
緑単といえばこの統率者、と言われるレベルの強ジェネラル。
しかしながらサーチや無限マナを抜くとイメージほどの脅威ではない。逆にデチューンしすぎて再度強化した統率者だったりする。
『マナクリ(エルフ)』『唱えるたびドローするパーマネント』『全体強化』で構成されている。展開力は”さすがエルフ”と言ったところで、そのまま『エズーリ』にマナをぶち込んでやれば1人削り切るのは容易い。
しかしながら当然のごとく一瞬で息切れする。加えて『エズーリ』が信じられないほどマナを食うため、展開を誤ると攻めることも守ることもできなかったりする。アドバンテージをしっかり稼ぎ、十分なマナを確保する必要がある、熟練者と遊ぶ時にはなかなか難しいデッキの印象だった。
とは言え最初はなんも考えずに順番に展開していけば良いだろう。初速はあるし展開しただけ打点は上がるためいずれ勝てるはずだ。
いざ、布教へ
最強の布教手段は『目の前で楽しそうに遊ぶ』に違いない。『一緒に遊びたい!!』と思わせれば布教は成功したも同然だ。
しかし今回は”新しいボードゲーム”として紹介するため、少しアプローチが異なる。『布教』を成功させる秘訣は何よりも「第一歩のハードルを下げること」だろう。
必要なことは
1.できるだけ完結に(必要最低限の)MTG&EDHルールを説明し
2.統率者ごとの勝ち方を(サクッと)イメージさせ
3.可能な限り本人にプレイさせる(初心者用デッキになってるはず)
それだけだ。
布教とはなんと難しいのだろうか・・・
そして迎えた当日・・・集まったのは私を抜いて5人。
経験者が混ざるのは良くないと思い5人1卓で。
いざ尋常に!!
結論から言うと布教は失敗した。
(ここから反省文が続く)
メンバーがとにかく協力的だったおかげで、なんとか布教に必要な上記の1.2.を成功させることができた。
しかし3でつまづいてしまった。
一応1.2の状況に触れておくと、単に「とにかくゲームを始めねば分かるまい」と勢いで走り切っただけである。
「EDHとは端的にいうと4人で遊ぶMTGなのでMTGのルールを知ってもらう必要がある。」と切り出したところでそのハードルにおののいたものの、
「呪文を唱えるためにマナが必要(タップする)」
「マナは土地や特定のカードから出る」
「自分のターンに1枚土地を出せる」
「クリーチャーで攻撃して相手のライフを削りきったら勝ち」
「唱えたカードは戦場に残るか墓地に行く(カードタイプ等は省いた)」
「攻撃はブロックできる。パワー分ダメージを与え、タフネス以上のダメージを受けると死亡する。」
と、これだけで納得してもらった。
2.では文字通り、統率者が何をするのか、どうやって勝つデッキなのか端的に説明した。(順に回して見せる余裕は無いように思った)
そしていざゲームとなったわけだが、最初は右も左も分からないため、手札オープンで遊んでもらった。土地を出し、マナ加速呪文を唱え、シナジーカードを展開していく段階で違和感に気づいた。
「ゲームが全く私の手を離れてくれない・・・」と。
理由にはすぐに思い至った。
初心者用デッキのカードチョイスが”まだ”高度すぎたのだ。
相手はTCGすら初めての初心者だ。キーワード能力すら分からない。体感では、テキストが3行を超えたぐらいからもうついていけない雰囲気だった。PWなんて論外。シナジー的に強かろうが複数のカードが絡むような能力は全くついていけそうになかった。
これはモチベーションの問題でもあると思う。
デッキは自分で用意したものではない。基本ルールを知ったばかりで、次々知らないカードが出てくる状態なのだから無理もない。端的に何が起こるのか書いてあるカード以外はほとんどピンと来ていない様子だった。
そして何より「説明をしている余裕が無かった。」
これが2つ目の問題点だった。
今回の敗因は大きく2つで、もちろんデッキが初心者向けとは言い難かったのは大きいわけだが、5人で遊んだのが非常にまずかった。
5人はつまり本戦だ。1枚1枚説明しながらでは1周の時間がかかりすぎた。最初は多くても3人。いっそ2人や1人回しでいいから試しでサクッと回してみてもらうべきだったように思う。
「後ろに4人控えているプレッシャーの中でテキストの効果を問われた時、端的に説明できそうな効果のカード」が今回の採用基準だったわけだ。
休憩を挟んで後半はできるだけ発言を控えるよう試みた。
引いたカードは複雑であれば無視してもらい、シンプルなカードも「どう相手のライフを削ることにつながるのか」を意識して説明を続けた。
それでも5人のためしばらく膠着したが、『エズーリ』が1人退場できるようになって動いた。
『エーデリン』のおかげでぶくぶく太った『ヤヘンニ』が空を飛んで優勢だったものの、『悪行の大悪鬼』を出したことで『エズーリ』がプレイヤーの排除を決め、結果4人となった。
同タイミングで『エターリ』の『マナ噴出』を『ターランド』が『対抗呪文』し(タラちゃんを握ったのはアリーナ経験者)、その動きを嫌がった『エーデリン』が強くなった統率者で『ターランド』を敗北に追い込む。(タラちゃんは土地フラ気味だった)
『エターリ』はガチャを始めるも除去できず『エズーリ』に削り切られ、そこをアンブロのついた『エーデリン』が削り切り、『エーデリン』が勝者となった。
ゲーム自体は見ごたえのある内容だったが初心者のメンバーは自分で遊んでいる感は薄かっただろう。非常に申し訳ないことをした。
「さぁルールは分かったかな?!!」と言える雰囲気ではなかった。
1回休憩を挟んだもののプレイ時間は2時間強。2戦目を遊ぶ元気は誰にもなかった。肯定的な意見をくれたメンバーもいたが、申し訳なくてデッキを押し付ける気にはなれなかった。非常に多くの反省が残る結果となった。
結論を言うと、初心者用デッキの考え方は合っていたが、想定が甘すぎた結果となった。
もし近いことを考えている人がこれを読んでくれているのなら、次のことに気を付けてほしい。
1.採用カードは統率者の勝ちに直結するもののみ
2.唱えて起こることが単純明快なカードのみ
3.最初の人数は多くても3人ほどで(可能なら1人回しをしてもらう)
今回は『初心者向けにデッキを用意する』というアプローチだったが、『自分のデッキを自分で回す』という、結果的に不足する”モチベーション”の部分をうまくフォローしきれなかった。
近い挑戦をすることがあればこの反省をぜひ生かしてほしい。
おわりに
多くの反省点があるが最も残念だったのは「EDHの楽しさを伝えきれなかった」という点に尽きる。”後悔先に立たず”とはまさにこのことだ。
ひとまずリベンジの予定はないが、なにがしかの機会に挽回したいとは思う。MTGに関連するかは分からないが、チャンスがあればMTGの魅力も伝えていきたい。
もう一度自分のEDHを始めたきっかけを思い出してみた。
私がEDHを始めたきっかけはぶちゃけると”コミュニティーであぶれるのがいやだった”というだけの理由だった。
ボードゲームやTRPGを遊んでいた私達のグループに加わったS氏がEDH経験者で、彼は的確にボドゲ供給者R氏を攻略し、統率者の構築済みデッキを購入させた。
当時構築済みデッキは3000円ほどで、気づいたらグループメンバーが全員購入していたため、渋々ビジュアル重視で『アトラクサ』を買ったのを覚えている。(MTG新参者なのがばれてしまうな)
勝者は4人に1人な上、当時私には少々難しかった。全く勝てないこのゲームに辟易していた半面、ゲームが終わった時何とも言えない高揚感を感じていたように思う。
今回は初心を忘れ功を焦りすぎていた。
幸い1年の猶予があるのだから、メンバーに負担のかからない方法で、MTGの魅力を伝える方法をまた考えておきたいと思う。
(今回は特に長文だった。ただの報告日記だったにも関わらず、ここまで読んでくれた読者に感謝申し上げる。)
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