【EDH】万面に成り代わり策謀をめぐらせろ! 5KEDH 万面相、ラザーヴ
『青黒といえばディミーア=策謀』と、MTGプレイヤーなら誰もが少なからず連想するのではないだろうか。
色の役割を私達が自然と連想できるのは長い間意識してカードデザインがなされてきた成果なわけだが、同時に2色の場合、各ギルドのストーリとそれを体現してきたキャラクターの印象も強く影響しているのではないだろうか。
ディミーア家のギルド指導者”自ら”暗躍だのしていれば当然である。
『ラザーヴ』は2種類カード化されているがどちらも非常に個性的だ。方やトロ子と同じ激重4シンボルで、対戦相手の墓地に落ちたクリーチャーになり替わる『ディミーアの黒幕ラザーヴ』、方や自分の墓地にあるクリーチャーにインスタントタイミングで成り代わる『万面相、ラザーヴ』。
スパイ活動に秀でたキャラクター性が存分に出た非常に個性的でクールなデザインである反面、「・・・で、どう勝つんだこれ?」と一筋縄でいかない(直観的でない)感じも構築意欲をくすぐられる。
今回紹介するのは『万面相、ラザーヴ』に目をつけたS氏の5000円ディミーアコンボデッキだ。(S氏は黒幕Verも作っていたりする)
軽くてコンボ性能の高い強ジェネラルである『万面相、ラザーヴ』だが、5KEDHに落とすことで絶妙かつ独特のデッキバランスに仕上がっている。
本デッキはコンボデッキでありながら大怪獣環境(筆者卓)で正面からリスクをちらつかせ交渉を持ちかけてくる。驚きのシナジーの数々で盤面やプレイヤーを誘引するさまをぜひ感じてほしい。
5KEDH 万面相、ラザーヴ(2021.10~)
【統率者】
70円《万面相、ラザーヴ/Lazav, the Multifarious》
【回避能力・圧力クリーチャー】10枚
10円《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
20円《変わり身ののけ者/Changeling Outcast》
20円《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker》★
45円《プテラマンダー/Pteramander》
20円《知謀の将軍 陸遜/Lu Xun, Scholar General》
7円《触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchable》
65円《サイカトグ/Psychatog》
10円《墓刃の匪賊/Graveblade Marauder》
10円《コーシのペテン師/Cosi's Trickster》
90円《地割れ潜み/Chasm Skulker》
【耐久・妨害】14枚
32円《魂の壁/Wall of Souls》★
20円《羊術師/Ovinomancer》★
10円《墓所のネズミ/Crypt Rats》☆
10円《屍の原形質/Necroplasm》★
10円《悪意に満ちた者、ケアヴェク/Kaervek, the Spiteful》★
30円《沈黙の調停者/Silent Arbiter》★
30円《周到の神ケフネト/Kefnet the Mindful》☆
70円《栄光の神バントゥ/Bontu the Glorified》
10円《奈落に住まう騙し屋/Treacherous Pit-Dweller》
300円《エレンドラ谷の大魔導師/Glen Elendra Archmage》
20円《燃えがらもやの卑劣漢/Cinderhaze Wretch》
20円《巧射艦隊の追跡者/Deadeye Tracker》
50円《塵へのしがみつき/Cling to Dust》
45円《バントゥ最後の算段/Bontu's Last Reckoning》
【コンボ】9枚
90円《謎めいた三葉虫/Cryptic Trilobite》☆
70円《ピリ=パラ/Pili-Pala》
530円《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》★
10円《弾圧する構築物/Crackdown Construct》★
120円《地獄の樹/Tree of Perdition》★
50円《地ならし屋/Leveler》★
30円《研究室の偏執狂/Laboratory Maniac》
140円《時の賢者/Sage of Hours》★
80円《生き埋め/Buried Alive》
【墓地肥やし&アド】18枚
480円《縫い師への供給者/Stitcher's Supplier》
7円《マーフォークの物あさり/Merfolk Looter》
10円《ダクラの神秘家/Dakra Mystic》
40円《セファリッドの文化破壊者/Cephalid Vandal》★
20円《ヴァントレスのガーゴイル/Vantress Gargoyle》
50円《ジェイスの文書管理人/Jace's Archivist》☆
20円《バザールの大魔術師/Magus of the Bazaar》
30円《死の神、イーガン/Egon, God of Death》/《死の玉座/Throne of Death》
380円《湖に潜む者、エムリー/Emry, Lurker of the Loch》
30円《大あわての捜索/Frantic Search》
13円《嘘か真か/Fact or Fiction》
100円《意外な授かり物/Windfall》
130円《調律/Attunement》
100円《正気減らし/Fraying Sanity》★
20円《僧院の包囲/Monastery Siege》
20円《ミラディン包囲戦/Mirrodin Besieged》
16円《綿密な分析/Deep Analysis》
13円《宝船の巡航/Treasure Cruise》
【その他シナジー】3枚
80円《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》
130円《ハートストーン/Heartstone》
170円《予期/Anticipate》
【マナ加速】12枚
10円《錯乱した助手/Deranged Assistant》
8円《夢次元の芸術家/Dreamscape Artist》
10円《ミリキン人形/Millikin》
100円《太陽の指輪/Sol Ring》
10円《虹色のレンズ/Prismatic Lens》
23円《精神石/Mind Stone》
10円《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》
30円《星のコンパス/Star Compass》
8円《空色のダイアモンド/Sky Diamond》
8円《炭色のダイアモンド/Charcoal Diamond》
10円《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot》
30円《勝利の鐘/Victory Chimes》
【土地】33枚
80円《窪み渓谷/Sunken Hollow》
24円《興隆する島嶼/Thriving Isle》
10円《溺墓の寺院/Drownyard Temple》
20円《タイライトの聖域/Tyrite Sanctum》
5円《英雄の鍛錬所/Forge of Heroes》
《島/Island》 16枚
《沼/Swamp》12枚
4316円
デッキコンセプト
本デッキは”セルフミル”と”ルーティング”でアドを稼ぎ、墓地リソースを駆使して戦う”墓地利用デッキ”だ。
そして5000円という制約を受けた本デッキはもちろんコンボは狙うのだが、『ラザーヴ』ならではの独特のギミックでもって、攻守柔軟に対応し展開を有利に進めることを基本コンセプトとしている。
本デッキには相手の攻撃を躊躇わせ、交渉を有利に進めるテクニックがいくつも存在する。立ち回りについて触れながら所々補足していく。
序盤はルーティングクリーチャーを素直に出すなどしてマナを伸ばしていく。コンボやギミック利用のためにはそれなりのマナが必要になるため、土地は確実に仕入れて着実に伸ばしていこう。
序盤に相手のクリーチャーを打ち取るようなクリーチャーは出てこないため殴られ放題な気がするかもだが、ここでさっそく抑止力となるポイント①が登場する。
”殴って死亡してしまったクリーチャーは『ラザーヴ』に変身される”
これはいざ目の当たりにしてみると大変にいやらしいものだ。
『ラザーヴ』はインスタントタイミングで墓地のクリーチャーに成り代わることができる。つまり墓地クリーチャーのあらゆる能力をインスタントタイミングで利用できるということだ。戦場に出す際にデメリットがあるクリーチャーだろうが関係ない。
これを駆使して常に都合の良いクリーチャーに変化していくのが『ラザーヴ』の基本的な手口だ。
つまり墓地対策か追放ができない限り、チャンプブロックされる状況は”『ラザーヴ』の手口を増やすだけ”なわけだ。
そして「変身されると困る」クリーチャーてんこ盛りなのが本デッキだ。基本的に戦場にいるより墓地にいた方が状況を悪くするため、対戦相手は”ただの”シスクリ相手に攻撃を仕掛けるか悩むことになる。
状況を例に挙げると分かりやすいだろう。
例えば『ラザーヴ』が『不可視の忍び寄り』を出したとしよう。
(「・・・テキスト確認いいっすか?」という方は適宜確認してほしい)
こいつは除去耐性と回避能力を持つだけで、単体では1/1クリーチャー分しかゲームを動かさない。しかし本デッキにおいては、墓地にこいつがいれば『ラザーヴ』の超強化パーツとなる。
まず『ラザーヴ』が2マナでいつでも呪禁になれる。”墓地に2マナ呪禁のクリーチャーがいる”とはそういうことだ。
そしてさらに重要なのがアンブロの部分だ。これはつまり、今後『ラザーヴ』が成り代るあらゆるクリーチャーの攻撃をブロックできないということに他ならない。
もう察しているだろうが一応解説しておく。
ラザーヴは『不可視の忍び寄り』のコピーになることで攻撃をブロックもされず、除去も受けない。しかしながらダメージステップ前にまた別のクリーチャーに成り代わることで、別のクリーチャーの攻撃を通せてしまうという寸法だ。(除去は通る)
例えそれが『触れられざる者フェイジ』だとしても・・・。
つまり対戦相手は、「戦場にいる『不可視の忍び寄り』にチャンプブロックされてしまうと、今後『ラザーヴ』が呪禁になる上に何か別の打点を通される可能性がある”と考えねばならないわけだ。
これに近いことをクリーチャーが戦場に出るたびに考えねばならない。
この思考に嵌るともう”ついで”ではプレッシャーをかけられない。複数のリソースをもって相応のリスクを覚悟するか、或いは複数人でプレッシャーをかけねば『ラザーヴ』がプレッシャーを感じることは無い。
逆に『ラザーヴ』側はその心理を利用し時間を稼がねばならない。変身のマナは重いし墓地の選択肢が増えねばリスクにならない。状況によっては早めに『ラザーヴ』を出し、「あなたの攻撃は無駄になっちゃいますよ。こんなリスクがありますよ。」と脅威をちらつかせるのが序盤の戦略だ。
そうして時間が経ち墓地が肥えるとどんどん対戦相手は手が出しづらくなる。戦場に『ラザーヴ』がいるだけで、攻撃する側は常にそれらが戦場にあるものとしてリスクと攻撃を天秤にかけなければならないためだ。
終盤はあらゆることが可能となる。相手にやばいクリーチャーの攻撃を通すことも、シナジーを駆使して相手のライフを吹き飛ばすこともできる。
抑止力となるポイント②は、特殊なシナジーによって生まれるとんでもない反撃や攻撃手段の数々だ。
本デッキの一番楽しい所とも言える。
できるだけ紹介したいがA×B×Cといった感じでパターンは無数に存在するためおすすめのみ次章で紹介しようと思う。
とりあえず今は『地獄の木』で相手ライフを1にできたり、『弾圧する構築物』が1憶/1憶で攻撃できたり『触れられざる者フェイジ』が呪禁アンブロで突っ込んできたりする、とだけ覚えていてもらえれば良い。
(全く良くない)
ここでは立ち回りに絞って触れていく。
いずれのシナジーも非常に強力ではあるのだが、数度の変身を必要とし、相当にマナを食うため終盤はこの”見えている必殺技をいつ誰に繰り出すか”が重要になってくる。
加えて攻めの動きをしてしまうと、今までできていた守りの動き(相手の攻撃に対しリスクをつける動き)が難しくなる。
というわけで初心に帰ってほしい。本デッキはコンボデッキだ。
爆弾をちらつかせて抑止力とし時間を稼ぐことができれば、それだけで勝利は近づいてくる。勝ちそうな相手にプレッシャーをかける必要がある時以外動かなくて良い。
相手が圧力を弱めたならマナは全てアド稼ぎにつぎ込んでしまおう。
とまぁ政治力・立ち回り力・シナジーへの理解力等複合的なスキルが求められるデッキだが、なんともディミーアらしく、個性的で独特な立ち回りをするデッキだ。
完全受け身のデッキではなく、いざという時は攻めることができる点も大変魅力的だ。
次はいよいよ本デッキの主力ギミックたちを紹介したいと思う。
恐ろしいラザーヴの手口大公開!!
〇『地獄の木』で対戦相手のライフは1!
『ラザーヴ』で化けた『地獄の木』の能力を使用した後、能力がスタックに乗っているうちにタフネスがさらに小さいクリーチャーに化けることで、対戦相手のライフを最小1まで削ることができる。
※コピー元が持つ能力がコピー元のカード名でそれ自身を参照している場合のルール(CR:201.4b参照)
〇『弾圧する構築物』でPT無限パンチ!!
墓地に『羽ばたき飛行機械』等の”マナコスト0”クリーチャーがいる場合、ラザーヴで無限回変身することでPT無限修正を受けた『弾圧する構築物』が爆誕する。
(『謎めいた三葉虫』のみだと即死する。変身直後のP/Tには注意しよう)
〇『時の賢者』でお手軽(?)追加ターン!
ドロー呪文に合わせて『地割れ潜み』に変身することで大量にカウンターを確保。『時の賢者』で簡単に追加ターン。
『ジェイスの文書管理人』に化ければ無限ターン。
(輪の大魔術師はちゃんと死ぬのにどうして君は何度でも打てるの?)
本デッキではかなり厳しいが『プテラマンダー』の”順応”でも無限ターンのチャンスがある。
〇『地ならし屋 』+『研究室の偏執狂』コンボ
『地ならし屋 』でライブラリを吹き飛ばした後ドロー対応で『研究室の偏執狂』に化ければ勝ち。
単純に5マナ10/10『ラザーヴ』に困ることのほうが多い。
〇『壊死のウーズ』コンボ
『ピリ=パラ』&『錯乱した助手』or『ミリキン人形』で無限ミルが成立するため全てのクリーチャーにアクセスできるようになる。
『謎めいた三葉虫』で無限起動用マナが出るため、最終的に全てのクリーチャーに変身可能。
他にも『墓所のネズミ』&『知謀の将軍 陸遜』ティムや、『燃えがらもやの卑劣漢』無限不死など可能性は無限大だ。
(『燃えがらもやの卑劣漢』はウーズコンボのサポート要員でもあるため侮れない)
プレイの所感(相手をした感想)
コンボデッキだからはやくプレッシャーをかけたいのに『ラザーヴ』が万能生物に見えて手出しができない。そして気づけばもう反動が怖くて手が出せない、というのがいつもの流れだ。
というのも『ラザーヴ』のパワータフネス、能力何もかもが信用できないためだ。まだ何者でもないのにあらゆるリスクをはらんでいる、大変に”らしい”統率者という印象だ。
何度か遊んでやっと手口が見えてきたが、最初の数回は何をされるのかすらよくわからなかった。
初めて遊んだ時なんてS氏がカードを捨てるたびに
「・・・テキスト確認いいっすか?」
となり、確認したところで
「・・・今何ができるんですかね?」
と私は正直に聞くことになってしまった。
非常に複雑で奥深いデッキだと思う。
上でも書いたが、序盤はせいぜいキーワード能力をもつ程度なわけだがそれでも十分煩わしい。墓地リソースを使ったシルバーバレット戦術の結果、1回のプレッシャーだけならほぼ対処できてしまう点が最初の一歩を踏みとどまらせる。
除去にも苦労する。
不死持ちクリーチャーに変化し全除去を逃れるなどは序の口で、『ラザーヴ』を排除するのはなかなかに骨が折れる印象だ。2マナと軽いのもいやらしい。
「統率者とはいえ2マナのクリーチャーに接死で打ち取られるのは嫌だなぁ・・・」なんて考えていたら『ラザーヴ』の思うつぼで、墓地がこえてくると接死ブロッカーどころではなくなり、逆にこっちにプレッシャーをかけてくるようになる。
パーツがそろいシナジーが生まれ始めると、かなり厄介な反撃が可能となるため、圧をかけた側が致命傷を負いかねないのだ。
もちろん1度変身ギミックを使えばほとんどマナを使い切ってしまう。3人の攻撃を捌きるほどの性能は無いわけだが、そこはEDH。誰も”ファーストペンギン”にはなりたくないものだ。
余談だが本デッキにはほとんどサーチが入っていない。これは前回同様S氏のこだわりなわけだが、にも拘わらずしょっちゅうシナジーが成立する。
原因は未だ解明されていない・・・。
おすすめカード・おされカード
〇屍の原形質/Necroplasm
かゆい所に手が届くマナコスト指定クリーチャー除去。本デッキが苦手とする横並び戦術対策の1枚。
フェイズ移行前に他クリーチャーに変化してカウンタの数をごまかすことで、自死を回避し中堅クリーチャーにまで圧力をかけられる。『ラザーヴ』は無限に強化される。
終了ステップに3マナでトークンを全て吹き飛ばせるだけでも強いのに『ラザーヴ』の強化としても利用できる。非常に使い勝手の良い1枚。
〇意に満ちた者、ケアヴェク/Kaervek, the Spiteful
強力な全体修正でシスクリやトークンに圧力をかけられる。本デッキが苦手とする横並び戦術対策の1枚。
クリーチャーを並べない本デッキでは素出しで強く、当然インスタントタイミングで変身して強い。
横並び戦術の打点ががっつり下がるため彼のおかげで耐えられることがある。
〇沈黙の調停者/Silent Arbiter
対戦相手の攻撃とブロックを強力に縛ることができる。本デッキが苦手とする横並び戦術対策の1枚。
本デッキは1体なら対処できることが多い。対処しずらいマッチアップを対処しやすい形に矯正できる高相性カードだ。
そしてインスタントタイミングで変身できるということは、誰かの攻撃時にブロックだけ縛ることも可能ということだ。
本デッキはこんな感じで、ポーカーフェイスで思わぬ所から致命傷を与えてくる。そしてそれらは気づいたときには手遅れなことが多い。
見えているはずの致命傷に足をすくわれた時の驚きとショックは非常に大きい。
私から言えるのは”しっかり墓地対策を積もう”ということだけだ。
〇セファリッドの文化破壊者/Cephalid Vandal
青の強力なセルフミル生物。時間をかける本デッキでは最終的に非常に効率よくライブラリを削ってくれる。
対戦相手はこれに除去を打ちたくないが対処せねばならない。そして墓地にあってもラザーヴで利用できる2段構えで隙がない。
書物をぼりぼり貪っているイラストが名前とマッチしていて大変良い。
〇正気減らし/Fraying Sanity
”墓地肥やしの色は青”と言わんばかりの最強クラスのミルエンチャント。他のミル手段やアド源との相乗効果で、一瞬でライブラリを落とせる。
もちろん対象は自分。正気は失われる。戦場もさすがに3体1となると思って終盤最後の加速に使用しよう。
〇羊術師/Ovinomancer
初見で「誰だお前?」からの「ふざけんなよ!お前!!」のコンボが聞けるふざけたクリーチャーその1。
3マナでラザーヴを逃がしながらクリーチャーを除去できる。タップ1つで攻守を両立する非常に高相性な1枚。
コピーした場合既に場に出ているためデメリット能力は誘発しない。手にした能力を本人より上手く使う感じが非常に『ラザーヴ』らしい。
〇魂の壁/Wall of Souls
初見で「誰だお前?」からの「ふざけんなよ!お前!!」のコンボが聞けるふざけたクリーチャーその2。
ダメージを反射する壁。これが墓地にあるともう怖くて攻撃できない。
今すぐ誰かを退場させねばならない場合、対戦相手に『ラザーヴ』の攻撃を全クリーチャーでブロックしてもらうことで、”2マナで打点分顔面を焼く”ことができる。
勝手に自爆特攻された側は渋面になることしかできない。
これらは氷山の一角に過ぎない。なぜならこれらは本デッキのリストで発生するシナジーでしかないためだ。
本デッキを気に入った方はぜひ、お好みのディミーア策謀術を模索しギルドのクリーチャー達を精査してみてほしい。
そこにはまだ見ぬシナジーが眠っているに違いないだろう。
おわりに
『ラザーヴ』の策謀デッキ、いかがだっただろうか。
動きが複雑で解説も過去最大ボリュームになってしまった、端的にまとめられず申し訳ない。
あとちょっとだけ語らせてほしい。
今回記事で伝えたかったのは、本デッキが”トリッキーでかつ致命的でありながら、終始ディミーアらしくて超クールだ”ということだ。
記事にするに際しデッキを考察した結果、”ディミーアっぽい!””ラザーヴらしい!”と非常に強く感じる点がいくつもあった。コンボにさえストーリ性が見えてくる本デッキに”Vorthos”である私は嫉妬したほどだ。
脅威は見えているにも関わらず、どんな策謀が繰り出されるのか受け手が悩み、圧力を躊躇うと着々と準備を整えられてしまう。
『ラザーヴがアンブロ呪禁クリーチャーに化けて正面から堂々と侵入し、さらに致命的なクリーチャーに化けて喉元に致命傷を刻む』なんてストーリーでありそうである。
一方でプレイヤー側に十分な理解が無いと、ラザーヴらしく策謀で勝利を掴めないのも本デッキだ。選択肢が指数関数的に増えいく中、最適解を選べなければ物量や強力な個体に簡単に蹂躙されてしまう。
本デッキは個性的であり、同時にプレイヤーに対して十分な理解と習熟を要求するかなりプレイ難度の高いデッキであるとも感じている。
しかしこれはS氏のコンセプトでもあり、あえてこの形になっている。
”墓地版シルバーバレット”といったイメージのスタイルで臨機応変に立ち回るのがS氏の狙ったプレイスタイルで、それがストーリーともマッチしたわけだ。
そんな個性的なデッキが輝くのも5KEDHならではだと私は考えている。
というのも『ラザーヴ』は非常に強力な統率者で、ぶっちゃけ全力でコンボに寄せれば他人に絡む必要はない。ライブラリを全て吹き飛ばし対応で『タッサ』に化ければ勝ちである。
しかしそれはS氏の遊びたかった『ラザーヴ』ではなかったわけだ。
カジュアルデッキで遊びたいプレイヤーにとって、やはり金額制限構築はマッチしているだろうと感じている。弱めの統率者でも対等に戦えるし、今回のように”強ジェネラルでカジュアルに遊ぶ”こともできる。
金額制限は個性や自由度を容認する大義名分にうってつけだ。デッキレベルの調整にも利用しやすくカジュアルデッキで接戦を繰り広げることができる。
とまぁ本デッキを考察していて感じたもう1つはそんなところだ。今後も個性的なカジュアルデッキがEDHで活躍することを願っている。
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