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【EDH】あなたの好きな部族は?5KEDH ハールーンの将軍、セスロン

 MTGの歴史の中には非常に多くの部族が登場するが、EDHで部族デッキを目にしたり、構築したことはあるだろうか?

 エルフスリヴァーなどEDHでも非常に強力な統率者は存在するし、ドラゴンなどの超人気部族は多くのショップでプレイヤーを見かけることだろう。統率者2017で登場した威光統率者達も強力だ。

 しかしEDHではまだまだマイナー構築と言わざるを得ない。
 なかなか部族デッキを見かけないのは、3人のライフ120点を削り切るには強力なシナジーやコンボ・爆発力が必要不可欠だからだろう。

 では多くの部族ファンたちは構築をあきらめているのか?
 そんなことはない。彼らは潜んでいるだけに過ぎないのだ。部族デッキは、部族の数だけ存在するということを忘れてはならない。(忘れてもいいか?)
 その部族を信じる者たちは、新カードとのシナジーを探し続け、常に部族構築の可能性を模索し続けているものなのである。

 前置きが長くなったが、今回は5KEDHを「部族活躍の戦場だ!」と言わんばかりに部族デッキばかり作っているO氏の一押しデッキを紹介する。
 待望の部族ロード、『ハールーンの将軍、セスロン』率いるミノタウルスデッキだ!!

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5KEDH ハールーンの将軍、セスロン (2021.5~)

【統率者】
280円《ハールーンの将軍、セスロン/Sethron, Hurloon General》
【ミノタウルス】 12枚
  15円《変わり身ののけ者/Changeling Outcast》
  10円《自在自動機械/Universal Automaton》★
  10円《節くれの傷皮持ち/Gnarled Scarhide》
  10円《蓋世の英雄、ネヘブ/Neheb, the Worthy》
  10円《憤怒売り/Ragemonger》
  10円《悪魔の皮の石化使い/Felhide Petrifier》
  20円《怒血のシャーマン/Rageblood Shaman》
  50円《順応する自動機械/Adaptive Automaton》
  20円《牛のやっかいもの/Taurean Mauler》
  10円《クラグマの戦呼び/Kragma Warcaller》
350円《永遠衆、ネヘブ/Neheb, the Eternal》
  50円《アクームの怒り、モラウグ/Moraug, Fury of Akoum》
【バフ】 6枚
  40円《朱地洞の族長、トーブラン/Torbran, Thane of Red Fell》
  20円《オーガの戦駆り/Ogre Battledriver》
252円《分かち合う憎しみ/Shared Animosity》
170円《溶鉄の残響/Molten Echoes》
  60円《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
105円《パンハモニコン/Panharmonicon》
【サーチ・勝ち手段】 7枚
300円《アンデッドの大臣、シディシ/Sidisi, Undead Vizier》
  10円《魔性の教示者/Diabolic Tutor》
  10円《ラザケシュの儀式/Razaketh's Rite》
  30円《高まる野心/Increasing Ambition》
150円《闇の誓願/Dark Petition》
  20円《来世の警告/Behold the Beyond》
100円《死呻きの鬨の声/Deathbellow War Cry》
【アドバンテージ】 9枚
    9円《胸躍る可能性/Thrill of Possibility》
    2円《安堵の再会/Cathartic Reunion》
  10円《骨読み/Read the Bones》
  80円《蛇の契約/Pact of the Serpent》
  30円《種の専門家/Species Specialist》★
315円《忘却の偶像/Idol of Oblivion》
510円《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》
  18円《前哨地の包囲/Outpost Siege》
  30円《ニンの杖/Staff of Nin》
【リアニメイト】 5枚
    8円《犠牲/Victimize》
  10円《戦慄衆の指揮/Command the Dreadhorde》
  10円《墓入りの妨害/Thwart the Grave》★
  79円《憑依の航海/Haunting Voyage》
    6円《火山の幻視/Volcanic Vision》★
【妨害】 7枚
  29円《激しい恐怖/Crippling Fear》
    8円《屍術淘汰/Necromantic Selection》★
  50円《最後の生き残り/Last One Standing》
150円《焦熱の合流点/Fiery Confluence》
108円《汚損破/Vandalblast》
  30円《力ずく/By Force》
  10円《群衆の掟/Mob Rule》
【マナ加速】 19枚
100円《太陽の指輪/Sol Ring》
135円《秘儀の印鑑/Arcane Signet》
  49円《ラクドスの印鑑/Rakdos Signet》
  30円《精神石/Mind Stone》
  30円《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》
    9円《虹色のレンズ/Prismatic Lens》
    4円《緋色のダイアモンド/Fire Diamond》
    4円《炭色のダイアモンド/Charcoal Diamond》
  44円《摩滅したパワーストーン/Worn Powerstone》
100円《連合の秘宝/Coalition Relic》
  10円《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot》
    2円《統率者の宝球/Commander's Sphere》
150円《スランの発電機/Thran Dynamo》
  10円《面晶体の記録庫/Hedron Archive》
100円《金粉の水蓮/Gilded Lotus》
    6円《発生器の召使い/Generator Servant》
  70円《煮えたぎる歌/Seething Song》
  30円《創案の火/Fires of Invention》
  50円《アイレンクラッグの妙技/Irencrag Feat》
【土地】 34枚
    4円《統率の塔/Command Tower》
140円《竜髑髏の山頂/Dragonskull Summit》
  50円《燻る湿地/Smoldering Marsh》
  70円《凶兆の廃墟/Foreboding Ruins》
160円《偶像の石塚/Graven Cairns》
    2円《無限地帯/Myriad Landscape》
《山/Mountain》 18枚
《沼/Swamp》  10枚
4973円

※O氏が直近価格にリストを修正してくれた!こいつは”今”組めるぞ!!

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デッキコンセプト

 「・・・ミノタウルス少なくない?」だって?
 まぁ待ってほしい。まずはこのデッキリスト完成の経緯を語らせてほしい。

 『ハールーンの将軍、セスロン』はファン待望の「ミノタウルス部族」にスポットを当てた伝説のクリーチャーだ。過去に『蓋世の英雄、ネヘブ』などがあったが、ハンデス付与というヘイトの高さに対し能力は大人しいため、非常に難易度の高い統率者だった。

 対してセスロンは、CIPでトークンを生成しマナを使ってパンプするシンプルかつ王道の部族ロード。しかも”気を利かせました”と言わんばかりの2色。Wizardsが狙ってデザインしであろうことが容易に想像できる。
 O氏はこの挑戦に受けて立った。

 O氏はまずバニラミノタウルスまでかき集め、素直にミノタウルスてんこ盛りデッキを作った。トークンを含むミノタウルス軍団をセスロンでパンプし勝利を狙ったのだ。O氏は私にリストを送る時こう言った。

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「めっちゃ弱かった・・・」と

 威迫速攻の付与はなかなかに強かったのだが、準備に時間とマナがかかりすぎる上に、バニラミノタウルスは弱すぎるとのことだった。(あまりにも悲しい・・・)
 しかし気づきもありO氏は決断した。

エース級ミノタウルスを駆使して勝とう!!
俺達には”あれ”がある!!

 そうして生まれたのが本デッキである。

 本デッキのコンセプト、それは『死呻きの鬨の声 』でエース級ミノタウルスを揃え勝つデッキである。

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プレイの所感・相手をした所感

ポイント
・静かに、そして着実にマナを伸ばす。まだ目をつけられてはならない。
・5マナ6点打点にパンプ能力。耐久力は十分にある。セスロンに守ってもらいながら、アドを稼ぎマナと手札を揃えよう。
・キルの取れない状況で喧嘩を売る必要はない。逆に中盤の威迫は実質アンブロ。殴られづらい、殴りたくなくなる戦場の構築を心がけよう。

・タイミングを見計らい『死呻きの鬨の声 』をサーチ&プレイ!!優秀なミノタウルスを揃えて勝ちをもぎ取ろう!!
・エース級ミノタウルスが死ぬと勝てない!!搭載されているリアニを活用しよう。複数リアニによる逆転の可能性も常に意識しよう。

 『死呻きの鬨の声 』は8マナで4枚ものミノタウルスを戦場に叩きつける超豪快なカードだ。そしてこれの対象カードは基本的に爆発力・突破力を持つミノタウルス達だ。勝ちまで行ける例を挙げよう。

①場にセスロン4/4+2/3トークンがいる状態で『死呻きの鬨の声 』を通す
『アクームの怒り、モラウグ』6/6(+1/+0)『クラグマの戦呼び』(速攻+2/0)『怒血のシャーマン』(+1/+1トランプル)『悪魔の皮の石化使い』(接死)を戦場に出す。2/3トークンが4体出る
③土地をプレイする。(追加戦闘フェイズ)
10体で65点接死トランプル+追加戦闘95点

 実に豪快な動きだ。『ドラゴンの嵐』もびっくりである。
打点も160点に達する上に接死トランプルが実にいやらしい。3人殺すのは実に容易いだろう。通せば勝ちとはこのことである。

(※モラウグの追加戦闘には追加メインフェイズが無いため、『永遠衆、ネヘブ』でマナが出るのは戦闘が終わってからな点に注意)

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 最後にプレイのコツに触れておく。

 困るのはモラウグ等サーチ先を引いてしまった時だろう・・・

素直に素出ししよう!

 そしてさらに困るのが、素出ししたトップ4ミノタウルスが死んでしまった時だろう・・・

大抵全部流れているので、セスロンを墓地に送り
セスロンごと重リアニで戦場に復帰させよう!!

 遊び方は以上だ。

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 相手をした所感としては、セスロンは5マナで出る打点としては十分であり、これを超えるにはそれなりのカードパワーが必要だ。
 そして(実質)威迫クリーチャーが並ぶ点が非常に厄介だ。

 ポイントでも触れたが中盤では実質アンブロである場合が多い。「ブロックするためにシスクリを使った場合、O氏の動きによってはパンプで討ち取られる可能性がある。」等、しっかりと安易な攻撃に対し反撃のリスクをつけてくる動きをしてくる。

 とはいえ冷静に見てみれば、戦場の戦力はなかなか世界(卓)を敵に回すほどにはならない。(本構築だとミノタウルスが少ないため特に。)
 ヘイトを不要に稼がない盤面構築とポーカーフェイス、最大のリターンを読み切り攻めに転ずる一手が勝利を引き寄せる鍵だろう。

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おすすめ格安カード・おされカード

〇部族デッキの心強い仲間達
①『自在自動機械/Universal Automaton』
 常に最も軽い部族としてこいつは部族デッキのスタートダッシュを支えてくれる。部族を唱えた、CIP、戦場の部族数を参照する場合こいつの評価は一気に跳ね上がるだろう。
 「1マナシンボル無し」はどんな動きの隙間にだって入ってくれる。O氏のほぼ全てのデッキで見ることができるぞ!

 部族デッキを構築する上で避けては通れぬ要素、「部族の仲間達をどのレベルまで採用するか」を決めるとき、多相の存在を忘れてはならない。
 彼らは今や無色にも存在している。どこにでもいて、何にだってなれる、本物よりも・・・。

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②『種の専門家/Species Specialist』
 見た目に反してフレイバーテキストでクスッとさせてくる犬派の彼はトークンでもアドを稼いでくれる超優秀な部族ドローエンジンだ。さらにこいつの優れた点はドロー時にライフを要求しない点だろう。

 『不気味な腸卜師』『闇の予言』と比較したとき、前者はトークンでドローできず、後者は退かし辛く終盤リスクになる可能性がある。その性能が部族構築と非常にマッチしている、ありそうでなかったクリーチャーだ。

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〇『火山の幻視』でピンチをチャンスに
 『死呻きの鬨の声』をキーカードとしている本デッキは、当然こいつが墓地に落ちてしまった時のことを想定している。
 8マナと重く回収⇒即プレイが難しいキーカードに対し、『火山の幻視』盤面アドを稼ぐことで次ターンまでの時間を稼いでくれる。そうでなくても対戦相手のみに火力をばらまけるスペルであり、動きとベストマッチしているリカバリーカードと言えるだろう。

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〇着目したカード
・『墓入りの妨害』

 こいつは非常にクールな選択と言えるだろう。
 任意のクリーチャーとパーティーメンバーを1体ずつリアニできるわけだが、セスロンを含めほぼ全てのミノタウルスが戦士であるため、ほとんどの状況で2体のクリーチャーを釣ることができる。

 しかも用途が戦場が流れた際のリカバリーであるため、パーティー側にセスロンを選択することで2体目の選択枝に困ることもほぼ無いと言ってよい。

 一見使いにくそうなこのカードを探し当て、シナジーを見抜き採用しているO氏に脱帽だ。

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・『屍術淘汰』
 黒には珍しい1体残し全体除去だ。白で最近非常に多く見る効果だが、本カードは重い分それらと明確な違いがある。
 よくテキストを読んでほしい、一度全てのクリーチャーを破壊し、その後戦場に戻している。つまりCIPが誘発するのである。
 この差は後のリカバリー速度に確かな差として表れてくる。
 
 セスロンのトークン1体で『死呻きの鬨の声 』の打点は15点変わってくる。黒のCIP持ちジェネラルとシナジーを持つ優秀なカードだ。

 余談だが、基本セット2021発売時のルール変更により統率者は状況起因処理によって統率領域へ移動するようになったため、本カードで対戦相手の統率者を奪うことができる
 頭の隅に置いておいて損はないだろう。

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エピソード:ミノタウルス激動の2020年

 これまでに7種類伝説のミノタウルスが存在していたが、2020年には新たに2種類も増加した。みなさんご存じの通り、『ハールーンの将軍、セスロン』『アクームの怒り、モラウグ』だ。
 加えて『死呻きの鬨の声』の登場も2020年であり、非常にミノタウルスが強化された年だった。
 そしてこの波紋は構築にまで影響を及ぼす

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 2020年8月に『Jumpstart』がご時世による延期を経て発売、その希少性からシングルカード価格はとてつもない高額でスタート。

 9月に入りセスロンの価格が正気に戻った頃、『ゼンディカーの夜明け』モラウグが登場
 重くカードパワーの高いミノタウルスが実装されたことで、部族を信ずる物たちはある可能性に思い至る。そして、成し遂げる。

10月、『Didgeridoo』とモラウグがレガシーで結果を残す。

 部族専用の踏み倒しとモラウグのカードパワーがかみ合い、レガシーという魔境に爪痕を残したのだ。これは非常に大きな快挙であり、部族を信ずるものたちの希望となったのは言うまでもない。
 しかしこの結果は直後に事件を招く。

11月 『Didgeridoo』 最安6480円まで高騰

 再録禁止カードが新たに結果を残したことで格好の的となってしまった。O氏は5000円EDHへの搭載を諦め、新たな可能性を探すこととなる。

 そしてO氏も見つけた。セスロンと完璧なシナジーを形成する、『Didgeridoo』を超えるカードを!

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『謎めいた門』部族専用の踏み倒しカードだ。
 もうお分かりだろう。セスロンならCIPでトークンを生成するため、手札のミノタウルスを0マナで全て戦場に出すことができるのだ!!!
 そしてO氏は私に教えてくれた。

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 「別に強くなかった・・・」と

 アド稼がんし、弱い牛出してもしゃーないし・・・。結果牛が減ると同時にいなくなったそうだ。私も泣いた。

 そんなエピソードもありO氏にとってとても思い入れのあるデッキとなった。カードやデッキについてこんな話ができるのも、MTGの魅力だと思う。

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おわりに

 「EDHにおける部族の可能性」を感じていただけただろうか?
 部族デッキを組む魅力は、好きを突き詰めた圧倒的個性派デッキで戦えることに他ならない。そしてその戦場は間違いなくEDHにだって存在する

 あなたも気になる部族がいるなら、どんなクリーチャーがいるのか一度見に行ってみてはいかがだろうか?

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