見なくていいもの



お湯のDJをしないといけなくて
自分が
どうしてとかは然して問題じゃなくてね
やらなきゃいけないんですよ
その場に居合わせたらやらなきゃいけなくて
義務に近いからどうしてとかはほんとにいい
それでもどうしてもどうしてとかそんなことに疑問を持ってしまうかしこい僕はサイゼの天井の宗教画でも考察しとくべきでしょうね
言い切りますけどそうするべきですよ
やっときゃいいやっときゃ自分はその間にお湯のDJしとくから
お湯のDJ
だってお湯のDJしなきゃいけないんだから
お湯のDJを区分けするとしたら強いて区分けするならそれは本来する必要のない労働ですよ
自動ドアなのにちょっと触らんと開かないやつですよあんなのちょっと触った瞬間に手動みたいなもんなのに
自動化の波っていうのは時に危険をうみますよ
苦労することに美学があるような気がするのもわかります
その美学に感動したりするでしょう人間ですから
それでも
それでもね
お湯のDJは本来必要ないんですよ
あんなのに美学も感動も宗教の考察もないあそこにあるのは怒りと不愉快だけです
この前もねお湯のDJしないといけなくて嫌々やったんですよ
そもそも自分はお湯のDJ下手なんですよ
なのにやらされるの意味わからないじゃないですか
こんなのもう冷やかしですよね
お湯だけに
誰ですか今の
彼は湯田くんといって
お湯のDJの先輩DJです
お湯のDJはこの人からお湯のDJ教わったわけですけど
湯田くんはメガネを輪ゴムでとめる人なんですね
最近見なくなった頃ですけど先輩であるとはいえ時代に逆らいたい年頃の人間ではあります
お湯のDJするにはこれがいいでやんす
言ってました
まあ先輩が言うならそうなんでしょうそういうことでいいです
それは別にいいんですよメガネの事情は人それぞれあっていいですからいいんですけどその湯田くんの横顔見ると輪ゴムのせいで目尻から耳にかけて横に倒れたしずく型に跡がついてるんですよ
だからそこまでそこまでねお湯系というか水の系統を模さなくても体現したりとか背負いすぎじゃない?そんなそんなねえ?って思っちゃうもんだから未だに湯田くんの顔ちゃんと見れないんですよね
もし街中ですれ違ってもえへっ!えへへ!ああ!えっ!へ!みたいなって知り合いぽいから歯でも見せとこってなりつつ誰だこれってなるでしょうけど目尻からのしずくの跡が見えた時初めて湯田くんの顔を真正面から見れるんでしょうね
この前お湯のDJしてきた話ですよ
お湯のDJはお湯のDJ下手なもんだから湯田くんに教えて貰いながらやってたんですよ
湯田くんはたぶんお湯のDJの顔見ながら教えてくれるんですけどお湯のDJはしずくの跡のせいで後頭葉しか見れないからまあそのおかげで結果的に集中できてスムーズにお湯のDJのね知識を染み込ませてたんですよ
でもねそこはお湯のDJやっぱり下手だからミスするんですよ
そうするとクレームがくるんですよ
必要ない労働なくせにクレームはくる
まだクレームのほうが必要あるもんな
DJはやるせないよ
クレームがねこう管を通ってさラピュタの飛行船のなんか管から管で遠くに話しかけるやつで来るんですよ
そうDJ対面接客じゃないんですね
対面じゃないけどクレームは管から直接くるから拍車かけますよね
バカ野郎火傷しちまうだろ
ちゃんとDJしろよ
DJ必要ねえだろ
DJお前DJって何だよ
説明責任とか知らねえのかよ
必要ない労働を他に回すとか考えろよ
無駄すぎるだろ
サイゼの考察の方が有益だろ
って
まあ毎回大体きまって言われる訳です
やるせないですよお湯JだってやりたくてDJやってる訳じゃないやらなきゃいけないからDJやってるのにね
でもその日はね湯田くんが励ましてくれたんですよ
俺たちよくやったでやんすよ
お湯のDJが減ってくれれば世の中にとってもわしらにとっても1番良いでやんすがそうはならないものやでしかし
あっしはそう思うで
それでもお湯のDJが減るそれまではわいらでお湯のDJ支えようや
って言ってて
あ僕じゃないんだ
やんすで俺ってあんま聞かんけど僕じゃないのか
って思ったら多分湯田くんも話しながらそう思ってたみたいで
人間最初がブレちゃうと最後までブレるんだって思いました
そのブレとかDJの最前線というか最後線をお湯J許すべきなんだろうなと思ってというかお湯Jなら許せるんですよ
許して欲しいなって気持ちで給湯機の温度いじってみたらなんか40って数字が出たんですよ
Don't touch!!
って書いてあったけどね
その日ひとつのお湯のDJが終わったわけです
触るなって言われてるものは一回触ってみましょう

ありがとうございました

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