2010年代映画ベストテン

**ブロガー&SNS映画レビュアーによる10年代(2010~2019)の映画ベストテン**
まだバリバリのブロガーだったころ、よくコメント、TBをいただいたしんさんからのお誘いで参加してみました。
(note初投稿)

【10年代 日本映画ベストテン】

1位『この世界の(さらにいくつもの)片隅で』
2位『ペコロスの母に会いに行く』
3位『寝ても覚めても』
4位『横道世之介』
5位『かぞくのくに』
6位『彼女がその名を知らない鳥たち』
7位『ハッピーアワー』
8位『共喰い』
9位『幼な子われらに生まれ』
10位『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし』

【コメント】
2010年代、いや21世紀に入っての日本映画ベストワンは2017年に観た『この世界の片隅に』で揺らがないと思っていた。ところが2年後、2019年の暮れになって思わぬ事態が起こる。片渕須直監督による「新作」が登場したのだ。ここに描かれているのは、いわゆるディレクターズ・カットとは異なる。前作が「時代」を詳らかにした作品とすれば、「新作」はその中で生きる「さらにいくつもの」人生の深い考察だ。すでに世評の高い作品に大胆にも自らメスを入れ、それを見事に成功させる。まさに奇跡のような映画だ。
 
日本映画10年代ベスト監督
『片渕須直』(4点)・『濱口竜介』(2点)
日本映画10年代ベスト女優
『吉高由里子』(3点)・『田中裕子』(2点)・『伊藤沙莉』(1点)
日本映画10年代ベスト男優
『光石研』(3点)・『浅野忠信』(2点)・『古舘寛治』(1点)

【コメント】
濱口竜介には驚いた。観るものを悪夢の迷路に導き、どっぷりとその中に浸からせる。映画が終わり外の光を浴びても、いまだ身も心も夢魔に囚われたまま。まるで日本のデヴィッド・リンチだ。
 

【10年代 外国映画ベストテン】
1位『マッドマックス/怒りのデス・ロード』
2位『息もできない』
3位『スリー・ビルボード』
4位『山河ノスタルジア』
5位『芳華ーyouthー』
6位『ゴーストライター』
7位『トゥルー・グリット』
8位『私が、生きる肌』
9位『フォードVSフェラーリ』
10位『50年後のボクたちは』

【コメント】
自分のちっぽけな脳みそでは到底考えもつかない、遠い遠い世界へのいざない。それこそがまさに映画の醍醐味。しかしそれには、ある条件が欠かせない。フィクションの世界を成立させるだけの作品の「強度」だ。ジョージ・ミラーしかり、コーエン兄弟しかり、アルモドバルしかり。とは言いながらも一方で、長い長い道のりの末に辿り着いた「此処」にも惹かれてしまう。10年に一度のこのベスト10選びは、そんな自分の「歳」にも向き合わされ、汗が滲み出る。

外国映画10年代ベスト監督
『ジャー・ジャンクー』(4点)・『ジェームズ・マンゴールド』(1点)・『ジョージ・ミラー』(1点)
外国映画10年代ベスト女優
『チャオ・タオ』(4点)・『フランシス・マクドーマンド』(1点)・『シャーリーズ・セロン』(1点)
外国映画10年代ベスト男優『ヤン・イクチュン』(4点)・『クリスチャン・ベール』(1点)・『ソン・ガンホ』( 1点)

【コメント】
『山河ノスタルジア』。ラスト、寂漠とした風景の中、ひとりラジカセを流しながら「Go West」を踊るチャオ・タオ。その顔には、決して戻ることのできない過去、青春の日々が去来する。『帰れない二人』。雑踏の中、虚空に向けて銃声を響かせるチャオ・タオ。その顔には、未来を諦めた女の覚悟が悲しく滲む。まさに「映画を活かす」俳優だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?