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夫へ

結婚記念日だった。夫と出会って20年が過ぎた。

私と夫は、会うこと二回目に「彼女にしてほしい」という私の言葉で付き合いが始まり、四回目に会ったとき「結婚しませんか」という夫の言葉で夫婦になった。
超のつくスピード交際&結婚だと思う。

結婚にいいイメージはなかった。
仕事は続かず、家事育児は全て母に丸投げして、毎晩、呑み遊ぶ父。
父の代わりに家計を支え、家事育児を全て引き受ける母。ひたすら我慢し耐えている母の姿は、結婚は男に搾取されるだけの地獄なのだと私に思わせた。
母みたいになるなら、一人で生きていきたいと思っていた。

結婚したとき、私は夫とどんな夫婦になりたいんだろうと考えた。
全く何も浮かばなかった。
「あんな夫婦にだけはならない」というモデルはあっても、こんな夫婦になりたいというモデルはなかった。

それでも夫と夫婦になってよかったと思う。
いまだに理想的な夫婦って何だろう?と首をかしげるが「人生で最も幸せなことは?」と問われたら「夫と夫婦になれたこと」と言いたい。

そんな夫に感謝を込めて書き綴りたい。

一、私を認めてくれてありがとう

家族がお互いを認め合うなんて当たり前じゃないかと思われるかもしれないが、案外難しいと思う。
少なくとも、子供時代の私は親に認められていないとずっと思っていた。
大きな社会ならまだしも、家族というたった数人で構成される小さな社会のメンバーから認めてもらえないのは、とても辛い。
私にとって、親に認めてもらえなかった子供時代は本当に苦しい年月だった。
夫婦も同じだと思う。

特に私の低すぎる自己肯定感は、とても危険だ。ともすれば、出会う男性によってはひどいDVを受けていただろうし、最後は結局「一人で生きていく」という自分から抜け出せなかったかもしれない。

だから、夫が私を認めてくれること、肯定してくれることは本当にありがたいのだ。
それは私に大きな自信と安心を与え続けてくれている。

一、余裕をくれてありがとう

私は専業主婦だ。家事育児は得意だし大好きだ。
専業主婦は私の天職といっていい。
共働きの家で育ったので、家のことは小さい頃からよくやっていたというのもある。
でも私が専業主婦を楽しめるのは、私が家事育児が好きという以上に、お金の不安なしに家庭に専念できる環境であること、夫に充分な経済力があるからだと思う。
夫の仕事が私の仕事を支えているといっていいだろう。
感謝している。

一、私の仕事に敬意と感謝を示してくれてありがとう

夫の経済力のおかげで私は専業主婦を楽しんでいると書いたが、夫の経済力以上に大事なことがある。
それは、夫が私の主婦の仕事に対して敬意と感謝を示していることだ。
夫の経済力があるから私が主婦の仕事を楽しめるように、夫は自分の経済力は私の専業主婦の仕事によるものだと考えている。

よく専業主婦であることを肩身が狭いと考える方もいるらしいが、私はそんなふうに思ったことは一度もない。
夫がこれだけ高年収であるのは、私が家を守り、多忙でめちゃくちゃになりがちな夫の生活を私が整えているからだ。
夫が私にそう教えてくれた。

一、私にかけがえのない男友達を与えてくれてありがとう

私には夫以外に頼れる男性の友人が数人いる。
何度か記事にも書いたけど、彼らとの付き合いは随分と長い。
友人に「そういう男性って貴重だから大事にしなさいね」と言われたことからも、おそらく珍しいパターンなのだと思う。

ある友人に「私も凜ちゃんみたいに旦那以外にもそういう男性の存在がほしい」と相談されたことがある。
思わず「今のあなたはやめたほうがいい」と口にしてしまいそうになった。言わなかったけど。

男性の友人と良好な関係を築くにはある条件がある。

旦那さんへの絶対的な信頼と愛情、だ。
心に少しでも「寂しい」という気持ちがあったり、伴侶への不満があるのならおすすめしない。
そんな状態では、彼らと対等な関係になるのは難しいからだ。
下手すれば、安易に彼らと不倫になったりして、簡単に失ってしまうことになる。

彼らは私と対等な関係であり、大切な友人で、ある一面ではパートナーだ。
彼らは決して家庭の不満のはけ口ではないし、寂しいときの拠り所でもない。

私が彼らと良好な関係でいられるのは、夫の存在が大きいのだ。

一、私の過去を美談にしてくれてありがとう


自分の恋愛記事を読み返して思うが、面白いぐらいに美談にしている。ドロドロしてるところもあるし、修羅場みたいな面もあるけど、どことなく私はキラキラしている。
思わず、自分で書いたものにぷっと吹き出してしまいそうだ。

だって、当時の私はどう思い返してもボロボロだったからだ。

みっともないぐらい泣いたし、みじめだったし、頭の悪い女でしかなかった。
実際、そういうふうに書いているところはあるものの、やっぱり記事の中の私はどこかキラキラしてる。
私は自分をキラキラに書き盛っているのだ。自分を幸せな人間だと思う。
これが俗にいわれる「痛い」ってやつかもしれない。

私が今、そんなふうに痛くてキラキラしてる記事が書けるのは、夫がいるからだろう。
もし夫との今がなければ、私は過去の恋愛を美談にはできなかったと思うのだ。

私の脳内にある過去の恋愛を全てキラキラな記憶として塗り替えてしまった夫の存在は、やっぱりすごいと思う。