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【関帝連覇】Naya Lands構築概論【土地単】

割引あり

こんにちは、べーす(@Dull04)です。
この度第18期関西帝王戦レガシーで優勝し、第17期からの連覇となりました。久々のLandsということでデッキ紹介をしようかとも考えたのですが、2ヵ月後のMH3で全てが崩壊するのが目に見えています。そこで今回は用いたNaya Landsの構築過程を紹介します。ここに焦点を当てた記事は珍しいかと思いますので、考え方の参考になれば幸いです。

なお、第17期で使用したのは《豆の木をのぼれ》コントロールです。誇大広告と言われたら全く反論できませんのでご容赦下さい。

最新リスト。《吹きさらしの荒野》3枚を散らした形です。

■環境理解

さて2024年4月現在、環境はUB Scamとリアニメイトの相の子、通称UB Scaniの1強となっています。次点に各種デルバー、ゴブリンや赤単のストンピィ、《豆の木をのぼれ》コントロールが続くといったところでしょうか。
そんな中、UB ScaniにLandsが有利という下馬評を聞き、リストに依るものの実際に有利そうだという感想を抱きます。
ということで、今回の構築理念は下記の3点からスタートです。

・UB Scaniに有利を取る
・ストンピィデッキに大きな不利をつけない
・《豆の木をのぼれ》コントロールへの勝ち筋を残す(後述)

デルバーは意識せずとも微有利以上がつくため考慮しません。カウンターの無いLandsがコンボに不利なのと同様ですね。大枠として《豆の木をのぼれ》コントロールについては、BUG型には微有利。《聖カトリーヌの凱旋》型は有利。但し《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《一つの指輪》まで取った重コントロールのタイプは不利です。偏に《進め、エオルの家の子よ!》が重いです。これに対し、何かしらのプランを練る必要があります。

■雛形の選定

さて現行のLandsは数種のタイプがあり、それぞれに特徴があります。
共通して《ウルザの物語》を4枚積んでおり、各種アーティファクトスロットを割いた"Saga Lands"が主流となっています。

メインから《抵抗の宝球》を4枚取り、《ウルザの物語》と合わせて早期に殴り切る"Spehere Lands"。最も流行っているタイプではありますが、私個人としての評価は非常に低いです。何といっても後手の弱さが際立ちます。《悲嘆》+2ハンデスや《秘密を掘り下げる者》の返しに《抵抗の宝球》などを置いている場合ではありません。このデッキはLandsという皮を被ったストンピィでありながら、プレッシャーと再現性、そのアーキタイプにおいて最も重要な2点が他のストンピィに劣っています。唯一継戦能力についてはやや優れていますが、それを求めるなら他のデッキを使うべきでしょう。また"Saga Lands"はおしなべてアドバンテージ源を《ウルザの物語》と《壌土からの生命》に依存するため、他の形と比較したときにゲームレンジを短く取れる点は好印象です。

《天上都市、大田原》と《上天の呪文爆弾》を取り、《残虐の執政官》への一定の回答を確保した青緑型。現環境では《水流破》が非常に強力であり、そこに加えて対コンボへのカウンターが取れるのがポイントです。
一方で青マナ源のカウントは僅かに8。《天上都市、大田原》は手に持ちたいため実質的には7と狂気の域。またこれらのバウンス除去はテンポが非常に悪く、恒久的な解決とならないため、このリストでは《罰する火》のスロットも取られています。器用ではあるものの、パワー不足が否めないという感想です。なお古来より伝わる《アカデミーの廃墟》+《仕組まれた爆薬》パッケージは、まず間に合いません。

そして今回のリストのベースになったのが、この緑白Landsです。《抵抗の宝球》の枠が追加の《エルフの開墾者》や《剣を鍬に》といった汎用性の高い強力なカードに振られており、バランスが良いのが特徴です。何より、UB Scaniに有利という要素がこのリストに詰まっています。

■構築開始

それでは、いよいよ構築開始です。
まずはLandsというデッキの根幹となる部分。必須となる部分ですね。

多少前後するカードもありますが、凡そこの32枚が現状で色に左右されない必須枠になると考えています。今回は緑白のカラーは確定していたため《Savannah》1枚が内定しており、ここは色によってデュアルランドの枚数、種類を調整します。また《ウルザの物語》の枚数にも依りますが、《マリット・レイジ》コンボの2種は3枚+2枚の計5枚が下限になると考えています。それでは、ここから肉付けをしていきましょう。

●UB Scaniへの有利をつける

各種リアニメイトへのカウンターとなる《ボジューカの沼》、そしてそれをサーチする《エルフの開墾者》と、再利用する《残響する深淵》。《ウルザの物語》からサーチでき、最低限のアドバンテージ源にもなる《魂標ランタン》。このデッキは墓地対策をメインから無理なく取れるのが魅力ですが、これだけでは対策として不足です。
まずは最序盤から《悲嘆》の攻勢に晒されることから、ハンデスの能力に関係なくライフを維持できる《イス卿の迷路》は必須。Scani、デルバーには当然《不毛の大地》が4枚入っているため、それを《壌土からの生命》と合わせて上回るよう3枚の採用です。
その上でScaniに優位を取るに絶対に必要なカード、それが《剣を鍬に》です。《残虐の執政官》の能力が《イス卿の迷路》を貫通するため、除去カードは必須です。リアニメイトカードの存在から追放除去、最低でもバウンスが必要なものの、青いカードは全般として力不足。ここから《剣を鍬に》の採用が決まり、枠の都合で2枚の採用としています。

●ストンピィへの耐性をつける

どうあがいても不利になるため、サイドボードでしっかりと意識を割く必要があります。肉壁となりつつ早期の《マリット・レイジ》プランに貢献する《エルフの開墾者》は何枚あっても良く、3枚目を追加します。またゴブリン、イニチアシブ相手には最序盤の《倦怠の宝珠》を回答とするべく3枚搭載+《古えの墳墓》を採用。土地はメインボードに持っていけるため、サイドボードの枠を節約できるのがメリットです。追加の除去として《剣を鍬に》を計4枚取り、置物全般の対策として《活性の力》を3枚。追加となる《機能不全ダニ》は《一つの指輪》を触れる唯一のカードでありながら、最低でも《ウルザの物語》でサーチ可能な1/1/1 2点ゲインとして使える良カードです。順番が前後しますが、《時を超えた英雄、ミンスクとブー》は赤緑カラー最強のPWです。捌いた後に速やかにゲームを切り返せること、《血染めの月》下でもプレイしやすいのがポイントです。《オークの弓使い》に弱くやや評価を落としている昨今ですが、このデッキにおいてはサイドアウト候補筆頭となるため、他のマッチにおいても強力に扱えます。

●《豆の木をのぼれ》デッキと戦える構成にする

緑白型のLandsで常に悩まされるのが、リソース源です。《壌土からの生命》はサイド後に対策されやすく、《ウルザの物語》は《不毛の大地》されると後続が続きません。何なら《ウルザの物語》を削ろうとしている現状、他の"Saga Lands"より更に細くなってしまっています。ここで定番となるのが各種PWになるのですが、緑白カラーに現行スペックのPWは存在しません。あらゆるカードを検討しましたが、結局は《森の知恵》が最高というのが結論です。但し現環境では《オークの弓使い》が幅を利かせており、ここに《剣を鍬に》を当てている余裕はありません。そこで後腐れなく使える除去であり、マナ基盤も兼ねられる《罰する火》スロットを採用し、3色目となる赤の登板を決めました。除去の総枚数のバランスから《罰する火》の枠は2枚が限界。そのため《燃え柳の木立ち》も3枚に削っています。リソース源が必要で、赤を触ることが決まったならあのカードの出番です。そう、《ヴァラクートの探検》ですね。《死者の原野》を加え、デッキ全体としてもゴールが決定です。

またLandsというアーキタイプにおいて、《商業地区》は非常に強力なカードです。土地だらけの手札での"諜報1"は1ドローと同義であり、《エルフの開墾者》や《輪作》で墓地へ送れば《壌土からの生命》で再利用することも可能です。タップインは初手や序盤において相当なデメリットではありますが、《Taiga》1枚を差し替える価値は十分にあります。

《進め、エオルの家の子よ!》の対策は、結局《不毛の大地》+《壌土からの生命》を序中盤のゲームプランに据える程度に留まりました。増やした墓地対策から《神秘の聖域》での再利用を防げるため、相手目線でもやや大きな値でプレイすることが必要です。これは相手が《不毛の大地》を取っていない前提になりますが、《オークの弓使い》は簡単に処理でき、その他のクリーチャーが全て伝説のためですね。《カラカス》と《イス卿の迷路》で完封することが可能です。テンポが悪いのが難点ですが、《演劇の舞台》でX=0の《爆発域》を用意しておくことでも回答となります。これも《不毛の大地》があると瓦解するものの、その場合はデッキ自体が鈍重になりがちでストンピィに轢かれるだろう、との判断です。

●途中経過

ここまでで57枚が内定しました。逆に言えば、半必須と呼べるカードやユーティリティの枠が殆どありません。では、一旦候補となるカードを全て入れてみましょう。デッキ枚数は勿論60枚に収めることがベストですが、1と0の差が大きく、サーチカードが多いこのデッキにおいて総枚数は二の次です。

●さて、ダイエットのお時間です

二の次とは言ったものの、69枚は到底許容できません。
この段階で追加したのは所謂Lands常連枠であり、特定のマッチアップやシチュエーションにおいて、あれば便利なカードばかりです。
逆にサイドボードの枠は余っています。コンボ全般をUB Scaniが強烈に押さえつけているため、最低限の枚数で良いという認識です。
それでは、ここからカットされたカードの解説に移ります。

・《Savannah》《Taiga》2枚目
単純にマナ供給しか役割の無いカードが多く、これはフラッドに直結します。元来デュアルランドの枚数は2枚が適正であり、ここを是正した形です。但し白マナ源の枚数が限界水域に達するため、対策が必要となります。

・《幽霊街》
基本地形に乏しい《豆の木をのぼれ》コントロールに有用なものの、例えばデッキ内に2枚あるならば有効活用するまでにセットランド権を2回消費します。《進め、エオルの家の子よ!》の対策を《不毛の大地》と捉えている今回、ゲームプランと矛盾するため不採用としました。

・《耐え抜くもの、母聖樹》2枚目
同上です。白い除去が《虹色の終焉》から《力線の束縛》に変わったことで各種置物の信頼性は微増しました。このカードやサイドボード後の《活性の力》で取り返せるのは、間違いなく相性改善に寄与しています。一方で土地1枚を与えてしまうため、《不毛の大地》プランに逆行します。出番が増えるのは緊急時、もしくは中終盤と考えたことから2枚目の優先度を下げました。1と2の差より、0と1の差の方が大きいということもあります。

・《ウルザの物語》2枚目
《抵抗の宝球》が無いためプレッシャーとして弱く、《死者の原野》+《ヴァラクートの探検》プランとの相性も今一つ。サーチ先のアーティファクトも+α枠が《魂標ランタン》しか取らないため1枚に。

・《Glacial Chasm》
対ゴブリンを完封する1枚。エルフが死滅しており、デルバーも2番手に留まる今、有用な場面は減っています。《ヴァラクートの探検》も2枚しか無く、扱い辛いカードであることは間違いないため削りました。

・《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》
緑マナを安定させるものの、緑緑を要求するカードは現状0枚。緑マナ源も15枚を確保できており、これは十分な枚数と言えます。《暗黒の深部》起動が早まるメリットもありますが、この目的においても今回は《古えの墳墓》が《輪作》の受け先として用意できているため、優先度はかなり低いです。

●そして完成へ

そしてこれが、今回使用したリストになります。枠が足りず61枚です。
先にも挙げた欠点として、白マナ源が9枚しかありません。《不毛の大地》が激痛のため、これを踏まえて《吹きさらしの荒野》を3枚としています。これはフェッチの被りを見せることで、デッキ内の《平地》を匂わせるのが目的です。自作リストのため情報が出ておらず、これが肯定できると考えていたものの、《死者の原野》を失念しておりました。見えづらいブラフよりもゾンビ1体の実益の方が遥かに大きいです。絶対に散らしましょう。

サイドボードの空き枠には、何故か一定数いるSnT対策として《封じ込める僧侶》を。最序盤にプレイできるか不安が残りますが、2/2/2の壁として対ストンピィにも最低限の役割を持てます。
《夏の帳》は本来《紅蓮破》の3枚目とする枠です。しかし環境から《濁浪の執政》が減っており、代わりに《悲嘆》をはじめ黒いカードが幅を利かせています。また《残虐の執政官》への《剣を鍬に》など、絶対に通す必要があるスペルが増えているため、お試しも兼ねての1枚です。この3枠は一考の余地がありますので、より良いカードがあれば教えて頂けると幸いです。

以上が、今回の構築にあたっての思考プロセスでした。
各マッチにおけるゲームプラン、焦点を捉えておく必要があるため、いつでもできる構築手法ではありませんが、何かしらの参考になれば幸いです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。

そして、ここからはボーナストラックです。
実はこのリスト、枚数に関してはもう少し細かくバランス調整を施してあります。思考のもうちょっと先まで踏み込んでみたい、という方はどうぞ。


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