URデルバー殲滅講座
BMO開催まであと10日。UR系デッキの勢いは一向に衰えず、Tire1の座を欲しいがままにしている。そんなメタゲームではLandsがもっと勝って然るべき…というのが所感なのだが、今一つ勝ち切った報告を見かけない。
「土地単」でtwitterを検索すると、URに敗北しているプレイヤーの方が多いくらいだ。
著名なURプレイヤー、kiyoaggro氏の戦績。Landsにも大きく勝ち越している
さて、これには大きく2つの要因がある。
1. 《ウルザの物語》型のLandsが主流となっている
2. 単純にプレイ、もしくはゲームプランが誤っている
1.の要因に関しては今年3月に記載した記事を参照されたい。
繰り返すがサーガ型LandsはURデルバーに特段有利ではなく、私に言わせれば昨今のメタゲームでサーガ偏重のLandsをプレイする理由は存在しない。しかし関東やMagic Onlineのリストを見るに、所謂純正型のLandsを使っているプレイヤーは殆どいない。アーティファクトの枚数を絞り、《サーガ》を2枚程度まで落とした折衷案のようなリストも散見されるが、これは本末転倒だ。重ねることで強力になる《サーガ》の強みが損なわれ、ただの半端なデッキに成り下がっている。また《マナ結合》に特化したタイプは、競技的な目線ではプレイに値しない。再現性が低く押しつけ力に乏しいオールインデッキに過ぎず、同じジャンルで言うならスパイやベルチャーを使った方が遥かに良い選択だ。
更に言えば、《狂乱の呪詛》のないMOで勝てないなら現実で勝てるはずがない。URに五分、あるいは負け越している方には、是非一度純正型に立ち返ってみて貰いたい。
さて、今回の本題は2.となる。
私のここ3ヵ月の対UR戦績は13勝に対し2敗。1敗はMOパンダ氏に《濁浪の執政》《不毛の大地》《不毛の大地》と連打された、古来伝わる負け筋を辿ったもの。もう1敗は《森の知恵》スタートから引きが弱く、不本意なペイライフを繰り返したもの。2ゲームで12点奢ったら勝たん。
この対URメソッドを基に、Landsプレイヤーの面々にURの勝率を下げて貰い、禁止改定を免れようというのが本記事の目論見だ。
URがコンボを押さえつけつつ隆盛し、それに強いデス&タックスやエルフが跋扈する現メタゲームは大変好ましい。
■純正型最新リスト
以前に紹介したものとほぼ同様のリストとなる。メインボードは完成しており、サイドボードのみメタゲームで微調整を入れている。現状61枚にしたデメリットを感じる場面は無く、1枚刺し含めて不要なカードも存在しない。唯一《森の知恵》が重複した場合が不快だが、引かないよりは遥かに良い。
・《サーガ》1枚
このカードの適正枚数は1枚。4枚採るとURをはじめ不利な相手が激増する。一方で《壌土からの生命》と組めば柱になれるため、オプションとなるピン差し枠でも中位に属する。中速以下のデッキが絶滅したら0枚も要検討。
・《耐え抜くもの、母聖樹》1枚
伝説である以外全てが強力なカード。稀にGGが欲しい場面で《演劇の舞台》できないのが欠点。また《幽霊街》と異なり《輪作》でのサーチから起動までに二手必要となるため、対ポストの相性はかなり悪化している。とはいえ、そもそも環境に存在しないため問題はない。
・《忍耐》4枚
対UR、DDFT、RBリアニ、GWデプスなど環境上位~中位に対し総じて有効なカード。3/3/4瞬速が単純に強く、対ジェスカイにも活躍する。後述の対UR戦でメインの勝ち筋となるため4枚必須。メインボードに入れても良いくらいだが、枠がなく《ヴァラクートの探検》ともマナ域を競合してしまう。この点でサーガ型のメイン搭載は理に適っている。
・《紅蓮破》《赤霊破》 4枚
《罰する火》で触れない《帳簿裂き》が流行りつつあるため4枚に。このカードの枚数が増えているときは、大体メタゲームが固まっている。
・《外科的摘出》 1枚
自由枠。RBリアニメイトに適正なプレイをされると本当に勝たない。プレイヤーの好みで0~2枚の範囲を推奨。
・《活性の力》 3枚
赤単ストンピィの隆盛に伴い、《無垢への回帰》は此方に統一。《鏡割りの寓話》は本当に凄い。
・《抵抗の宝球》 2枚 《倦怠の宝珠》 1枚
環境のコンボデッキがDDFT程度なので1枚散らしている。《倦怠》は他にデスタクや、アルーレンにもinできるため少しばかり用途が広い。
(2022/8/13追記)
DDFTしかいない、は当人のイメージであり誤りでした。申し訳ございません。SnTには増量した《紅蓮破》が当たりますが、スパイとANTを考えるなら《宝球》を取るべきです。関西ではDDFTの強いプレイヤーがおり、デスタクの数が多いため此方にしております。
■対URデルバー本論
さて、本論に移る。
結論から言うと、1戦目は《マリット・レイジ》の召喚、《探検》の圧殺と本筋の戦略がそのまま通用する。前者は依然として《厚かましい借り手》の裏目があるため、簡単に召喚基準を設けておく。
〇出す
・クロックが並んでおり、出さないと負ける。
・《借り手》を受けてなお継戦能力がある。
・《借り手》が無ければ勝ち。透けてる場合は当然NG。
・チャンプを強要でき、かつその後の相手クロックを許容できる。
猶予が無い場面では、《不毛》をケアしてメインで起動することも頻発する。裏目はサイドボード後の《失墜》が筆頭。他、回答が明確になるため《思案》《表現の反復》を強くプレイされる点が挙げられる。
〇出さない
・相手の場に《濁浪》+αがおり、リソース的に五分である。
・《探検》等が機能しており、焦る必要が無い。
・盤面に《イス卿の迷路》があり、コピーと合わせた枚数が相手クリーチャーの総数+1より少ない。
要は五分ならやるな、《濁浪》を通すな。この2点に尽きる。
基本的には《迷路》を量産し、固めてからじっくり勝ちに行けば良い。此方の土地は半無限だが、相手の《不毛》は4枚しか無い。
■序盤
基本的にはクロックを捌きつつ土地を並べることになる。
目安としてはクロックが1点ならマナを伸ばすこと、3点以上なら《迷路》を優先する。但し、《森の知恵》や《罰する火》といったスペルがある後手2t目は例外とする。また《罰する火》は、《秘密を掘り下げる者》には相手アップキープにプレイするが、《媒介者》は此方のメインで対処する。《目くらまし》のテンポ損が微増するが、諜報を重ねられるよりは良い。
さて、《目くらまし》が話題に出たところで1つ問題を挙げたい。
下記の場面、どうプレイするのが良いだろうか。
常識的な回答としては、下記の5つ。
是非、普段Landsを触れないプレイヤーの方々にも考えて貰いたい。
1. 《Taiga》セット、ゴー。
2. 《Taiga》セット、《踏査》から《迷路》プレイ。
3. 《Taiga》セット、《踏査》から《The Tabernacle at the Pendrell Vale》プレイ。
4. 《Taiga》セット、《踏査》から《燃え柳の木立ち》プレイ。
5. 《タバナクル》セット、ゴー。
私の選択は3.の《Taiga》セット、《踏査》から《タバナクル》プレイだ。
以前は《目くらまし》をケアしていたが、今は序盤に限り積極的にかかりに行く。今回だと土地枚数が逆転することで《迷路》《タバナクル》を置く余裕ができる。2手目には《森の知恵》と後続もある。一方、プレイしなかった場合は最低でも《思案》等から追加のクロックが出てくると考えて良い。この場合次ターンに《踏査》から《リシャポ》起動を狙うことになるが、これは6点のダメージを負うリスクがあり、《森の知恵》も抱えたままだ。《ミシュラのガラクタ》期待で《反復》を撃たれる可能性もあり、そうした序盤の相手リソースとアクションの量は、《濁浪》が出てくるまでの猶予に直結する。
なお、《踏査》が通れば《森の知恵》も7割方通るため勝勢。《意志の力》《否定の力》は、先手後手と合わせて2枚差がつくため撃たれてもOK。《デルバー》が変身するかが不確定で、ライフもまだ20なので《迷路》よりは《タバナクル》を優先する。
■中盤~終盤
いかに《濁浪》を押さえるかのゲームになる。デッキの回転速度では敵わないが、相手がリソースを稼ぐカードは《反復》しか存在しない。カウンターは1:2交換で撃たせ、《目くらまし》は必ずケアすること。《輪作》は基本的には《不毛》避けに使う。《サーガ》を展開しても《濁浪》の前には無力だし、拮抗しているなら無理に《マリット》で攻める必要は無い。五分の状況を維持しつつ《壌土からの生命》を待てば良いが、例外として《爆発域》での面処理は多用する。相手のゴールは《濁浪》+《不毛》+《カウンター》ということを意識して盤面を構築する。
■サイドボード後
in outは次の通り。
先手時は《踏査》、後手時は《暗黒の深部》をoutする。
サイド後の主役は4枚投入されている《忍耐》。《邪悪な熱気》以外に1:1交換を許さないこのカードが攻守の要となる。極端な話、適切なタイミングで《忍耐》をプレイし、適切なタイミングで《紅蓮破》を挟めばそれだけで勝ててしまう。
ということで、2つ目の問題に入りたい。
次の場面、《忍耐》はいつプレイすれば良いだろうか。
1. 自分ターン中
2. 相手アップキープ
3. 相手ドローステップ
4. 《媒介者》攻撃時
5. 相手終了ステップ
カード枚数がおかしいが、問題簡略化の措置として考えて頂きたい。
なお互いのライフと手札枚数、自分の墓地はこの問題に一切関与しない。
正解は1. の自分ターン中。一見《媒介者》の攻撃に合わせたくなるし、それは《稲妻》が無ければ0:1の最高のトレードになる。しかしこのプレイには《濁浪》召喚からの昂揚解除という最大の裏目が存在する。
こうなると《忍耐》の役割は《濁浪》のチャンプ1回分に成り下がる。一方、《忍耐》を通しておけば3点対1点のクロック勝負に持ち込めるし、諜報を加味しても《濁浪》の登場も2~3tは後になるだろう。このプレイは手札に《紅蓮破》のような除去、《迷路》といった妨害があっても同様である。重ねての説明になるが、《濁浪》の攻撃を通さないことが最優先だ。
なお、2.と3. の選択肢は上手ぶっているだけで相手の受けが広がる悪手。カウンターされても1:2となる有利なトレードだが、トップ《濁浪》を回避するためにも《忍耐》は可能な限り通る場面でプレイしたい。目安は墓地4枚。
次に《紅蓮破》について。このカードもプレイには明確な基準がある。
早速だが次の場面、それぞれ《紅蓮破》はプレイする?しない?
1. 《迷路》が無い状況の《濁浪》
2. 五分の状況の《表現の反復》
3. 最序盤の《デルバー》
またもカード枚数が適当だが、問題には寄与しないため悪しからず。
正解は1, 2, 3全ての場面でプレイする。
逆に言えば、例外を除き《紅蓮破》をプレイするのは上の3つだけだ。
順に説明すると、1. は《濁浪》を対処する場面であり、《紅蓮破》を使うか《輪作》で《迷路》をサーチするかの2択である。しかし《舞台》《深部》を引けば概ね勝つため、《輪作》の方が温存する価値が高い。
《紅蓮破》の一番の役割は、《濁浪》の除去だ。
次に、2.の場面における《反復》は明らかに負けに直結する。此方の受けも決して狭くは無いが、《反復》でリソースを稼がれるとその後の《濁浪》1枚を処理するだけでは不足である。五分の盤面を維持し、トップに期待した方が賢明だ。《思案》や《渦まく知識》ならば通して問題ない。
二つ目の役割は、消耗戦時の《反復》のカウンター。
最後に、3.の使い方は決して本意ではない。《Glacial Chasm》をプレイしたい盤面ではなく、他の除去も《迷路》も無いことによる消極的なプレイだ。URのサイドボードに定着している《狂乱の呪詛》、流行りの《発展の対価》を考えると、ゲーム序盤からライフ管理の意識を持っておいた方が良い。
最後の役割は最低限としての除去。
例外は五分の盤面の《狡猾の宮殿》や、《マリット》への《借り手》、スクリュー時の《ローム》への《否定の力》など、明らかに致死的な場面。この辺りは肌感で察して貰えれば幸いだ。
■ゲームプランについて
《忍耐》7割、《マリット》3割くらいの感覚。前述の通り《忍耐》が基本的に1:2以上の交換を要求できる。序盤~中盤は相手を消耗させ、リソースが枯れた終盤は勝ち筋として扱う。前者では基本的に攻撃せず、《媒介者》《デルバー》の攻撃+《稲妻》で対処させる。後者の場合は《罰する火》などを用いてクリーチャーとの接触はできる限り避けること。現行のサイドボーディングでは《サーガ》も《探検》も抜いており、勝ち筋そのものが細くなっている。《森の知恵》とシャッフル手段がある場合は、自身を対象に取って《忍耐》の再利用も検討できる。
なお、《忍耐》にも欠点が1つだけ存在する。それは一度使ったカードを再利用させてしまうこと。要するに相手の《不毛》や《稲妻》、《濁浪》の使用可能枚数が増えてしまう。一応は《忍耐》自身がこれら3つに対して直接、あるいは間接的な対応札となるのため、問題になる場面は少ない。
懸案事項を上げるなら、《稲妻》の多くが《熱気》に代わりつつあること。墓地掃除だけして2マナ損というのは些か割に合わない。そこで《熱気》を3枚以上確認し、かつ《稲妻》が見えていない先手のゲームは《忍耐》を抜いて《探検》プランに戻しても良い。但し、熱気の枠は相手のサイドボードの枚数で前後する可能性があり、《忍耐》プランの方が無難ではある。またこのルートは相手のクロックが早い上に《狂乱の呪詛》が直撃する。《輪作》《Glacial Chasm》を意識し、《外科的摘出》には注意すること。
■URドラゴンについて
《デルバー》が《帳簿裂き》に代わり、ゲームレンジを後ろに寄せたタイプ。タフネス3を除去し辛く、際限なくサイズが上がるため率直に厄介。除去が《熱気》に寄っているケースが多いため、《忍耐》ではなく《探検》プランを継続し、積極的に《マリット》で押し込んでいく。長期戦になると《紅蓮破》の枚数が足りず受けきれないケースも多い。《忍耐》は決して弱いカードではないが、《帳簿裂き》が2/4になると攻撃が通らず、勝ち筋としては計算できない。2枚程度は取っても良いかという印象。
正直経験不足のためプランが固まり切ってはいないが、参考までに《探検》プランのサイドのin outを置いて本文の結びとしたい。
それでは、BMOに参加される方々の健闘を祈る。
質問があればTwitter(@Dull04)まで。
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次回作が近くなるかもしれません。
おまけとして、URドラゴンで友人Landsと戦ってみた感想を置いときます。
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