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無料の言葉の罠について

こんにちは。

今回は、「無料」という言葉の罠について考えたいと思います。

無料、タダという言葉には私たちを行動に走らせる強力なパワーがあります。

行動経済学の書籍を読むと大体最初か前半に紹介されるのは「無料」という言葉のパワーについてです。

現代社会で何も考えていないと私たちがいかに無料という言葉にいかに惑わされるかがわかります。

この記事では「無料」という言葉について考えたいと思います。


人間社会は無料では成り立たない 

ただより高いものはない

無料で物をもらったり、理由のない好意を受けたりすると、お礼の品物に金が必要となるし、相手の無理な要求にも応じなければならぬことになって、かえって高価なものにつくことをいう。

情報・知識&オピニオン imidasより引用

私たちは、普段仕事をしてその対価として得たお金を支払うときに苦痛を伴います。

その苦痛を利用して。「無料」という言葉は世の中に溢れかえってしまいます。
私たちにお金を出すというアクションを起こすための強力なパワーワードです。

しかし、考えてみると貨幣が浸透している現代社会です。
無料で成立するものやサービスなどないことなど火を見るよりも明らかなのはいうまでもありません。

普段直接的にはお金を支払うことなく利用している道路や公園、図書館なども税金が投入されており、その中で維持がなされています。

「無料」の罠

ここからは、無料の言葉と組み合わせることでさらに強力な威力を発揮する効果について見ていきます。

保有効果

お金を直接支払うことに本能的に抵抗する一方で、一度保有したり、入会するとその価値は以前より高く感じしてしまいます。

これを「保有効果」と言います。

「無料」と「保有効果」のコラボ技が至る所で使われています。

例えば、
気に入らなければ無料で返品いたします。
入会(契約)後1ヶ月は無料、以降は契約が自動更新されます。
など

前者は、一度自分の手元に来ると価値は高まるから商品が返品されることは滅多にない(しかも返品手続きが非常に面倒なものが多い)。
後者も動画のサブスクを契約するといつかは見るかもしれないと思い、結局契約を継続してしまう具合です(無料期間を◯ヶ月として、いつから契約したかをわからなくすることで自動的に契約する方法もあります。)

私自身、返品無料につられたことはありませんが後者のサブスクに関しては無料だからとりあえず入っとくかと入会し、解約忘れなどでみてもいない動画のサービスの契約を継続してしまったことがあります。

何気なく気軽に行動し、購入したり契約しがちですが、非常に要注意です。

返報性の法則

返報性の法則とは人からの好意に対して何かお返しをしたくなるという人間の心理傾向です。

情けは人の為ならずという言葉もありますが、まさに返報性の法則のことを言っています。

人の好意に対してお返しをすること自体は悪いことではないですし、人間関係も深くなるでしょう。

しかし、セールス、マーケティングでは私たち消費者の購買意欲を高めるためのサービスとして非常によく利用されています。

例えば、スーパーマーケットやお土産屋さんでよく目にする試食コーナー。
試食サービスは、タダで食品をいただいてそのまま立ち去るのはちょっと気が引けるという心理傾向を利用しています。

アパレルショップでもよくみられます。
服選びで迷っている時に店員さんから声をかけられてお勧めされると忙しい中で自分の服選びを手伝っている店員さんがいる目の前で何も買わずに帰るのは、気まずく感じます。

コンビニのトイレもそうです。
トイレを利用させてもらって何も買わずにお店を出るのは流石に悪い気持ちになります。
故にコーヒーやお菓子などの手軽に帰る商品を購入してしまいます。
そもそもコンビニのトイレだけ利用というのは、オーナー次第では後々トラブルになりかねませんから注意が必要です。

このように返報性の法則を利用したサービスは至る所にありますから注意が必要です。

時間的選考(現在バイアス)

30分以内にご注文いただければ送料無料
今ご注文いただければ〇〇もセットになります

テレビショッピングでよく聞くフレーズです。
これは、今この瞬間に注文いただければお得ですよという限定感を出すことで我々消費者に行動を促すためのマーケティングの戦略です。

他にもホテルや飛行機、高速バスなどのの予約サイトをみるとこの料金は残り◯席、残り僅かなどのフレーズをよく目にします。

これは、人間は未来よりも今のお得感や気持ちを重視するという現在バイアスを利用した戦略です。
さらに、今ならお得ですよというプレミア感を出すことで購買意欲を高めます。

今なら無料というのは強力なパワーワードなので本当にそれ必要?という疑問をい感じる必要があるでしょう。

損失回避性

上記、現在バイアスは損失回避性という人間の心理的傾向を利用するとさらに強力になります。

損失回避性というのは、得することよりも損することを苦痛に感じてしまう心理的な傾向です。

よくみる例で
①100%の確率で100万円がもらえる
②50%の確率で200万円、50%の確率で0円もらえる

上記例では①を選ぶ人が圧倒的に多いです。
期待値だけでみると①と②はどちらも同じで100万円です。

これは、①は100万円を確実にもらえる状況に対して②だと50%を引くと100万円を損するのでそれが非常に苦痛に感じるのです。

因みにすでに損している状況では人間はリスクを取りたがるという傾向もあります。サンクスコストバイアスの罠で、公営ギャンブルなどでよく利用される非常に恐ろしいバイアスですが、ここでは割愛します。

この損失回避性を利用しているのが、現在バイアスで取り上げた送料無料です。
今注文しないと送料分を損しますよというのが、損失回避性を大いに利用していることが言えるでしょう。

他にはショッピング施設の駐車場で見られる3,000円以上のお買い上げで駐車料金1時間無料というのも損失回避性を利用したサービスと言えるでしょう。

宅配サービスも駐車場サービスも無料で維持できるわけがありませんから、無料という言葉に惑わされずに本当に必要なのか?という視点を持つことが本当に大切だと思います。

公共サービスについて

公共のサービスや公衆衛生の維持がなぜできるか

最後に公共サービスはなぜ維持ができるのかという店について考えます。

私たちが普段何気なく利用している道路やごみ収集などのサービスは直接的にお金を支払っているわけではありません。

もちろん、無料で維持できるわけではなく私たちが毎月支払っている税金が投入されています。

「ふるさと納税」は本当にお得か?

そう考えるとふるさと納税というサービスは本当にお得なのかということは考えさせられます。

もちろんミクロな個人単位で考えると実質負担額2,000円でお得な返礼品をゲットすることができるのですから、非常にお得な制度であると言えるでしょう。

実際、節約系のYouTube動画見るとふるさと納税を利用しないのは大損ということを皆さん口を揃えて発信しています。

とはいえ、返礼品や各種手続きなどふるさと納税のサービスを維持するためにもお金が必要です。

個人的には、住民税は自分の住んでる自治体で利用してほしいですから、利用してません。
そもそも自治体間で競争を煽って意味があるのかという疑念もあります。

普段何気なく利用している公共のサービスも無料ではないです。
給与明細から差し引かれている金額は小さくないですから、その辺りも考えたいですね。

最後に

無料という言葉について個人的に考えていることを記事にしました。

考えれば考えるほどタダより高いものはないという言葉は本当に深いと思います。

何も考えずに無料=お得としか考えていないと気づかないうちに無駄遣いを繰り返してしまいます。

また、私自身、普段使っている公共施設やサービスについても税金が投入されています。維持することも本当に大変だと思いますし、サービスを維持している方々に感謝の気持ちを持つことも大切だと思います。

記事は以上になります。最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。

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