名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿(2/29復活)

長文系コーナーがまとめて復活ということで、その長文系第一弾である「名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿」を載せようと思います。

「名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿」は、ネントロンチャシティに住む名探偵ポヨンチョポンポンが、助手のガルンチョルンルンやライバルのサロンゾバイバイとともに、難事件を解決する物語です。

ポヨンチョは、別口で各話ネタごとにあげて、マガジンに綴じてますが、あちらは記録として、極力自分の投稿採用分を網羅しようとしてます(まだ途中ですが)。こちらは投稿の足し、聴く時の予備知識になりそうなのを選って載せます。

なお、「投稿の足し」前提ですので、投稿時に伊福部さんに読んでもらう時にスムーズになるよう付けてた振り仮名や、台詞前の登場人物の明示等は、当時のままにしておきます。

ちなみに『長文系』と一括りにされていますが、ポヨンチョのコーナー当時の基本構成は「導入部あらすじ」+「名シーン」であり、一話ほぼほぼ全記述するようになった後継シリーズより、文章量は少ない傾向にありました。

ただこの形式だったことを覚えてる人はポアロさん含めほぼいないでしょうから、新作を投稿するときは一話全記述としたほうがいいかもしれません。コーナー終了後の手前勝手に投稿していた分は基本全記述でしたので、それらも後半に載せておきます。

※あわせて『名探偵ポヨンチョポンポン』データベースもご参照ください。


以下、作例です。


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第27話

『西村京太郎サスペンス・ケチャキタ本線殺人ルート

 ~乗り換え時間3分の殺意・潮騒(しおさい)運ぶ憎しみの数え歌~』


ケチャキタ本線、各駅停車の車両連結部から、不動産業を営むザ☆ネッポネポの死体が発見された!

最有力の容疑者は被害者の弟、ジ☆ネッポネポ。

しかしザ☆ネッポネポが乗っていた各駅停車が始発駅を発車した時、ジ☆ネッポネポは全く別の場所にいたことが確認されていた。

「ふむ、典型的な時刻表トリックだね。まかせたまえ」

自信満々のポヨンチョだったが、早々に行き詰まる。

丸三日、時刻表と、にらめっこをしていたが全く謎が解けない。

憔悴(しょうすい)しきったポヨンチョの前にあの男が現れた!

「無様だなぁ!ポヨンチョ!!」

「貴様はサロンゾバイバイ!?」

「まだ気づかないのか!愚か者め!それは阪急バスの時刻表だ!」

「えぇーー?!うわっホントだー!!」

「まったく…ほら、この時刻表を使え」

「すまない、サロンゾ。よーしこれで解決だ…って、これJALの時刻表じゃねえか!」

…28話、後編に続く!



第28話

『西村京太郎サスペンス・ケチャキタ本線殺人ルート

 ~乗り換え時間3分の殺意・潮騒(しおさい)運ぶ憎しみの数え歌(後編)~』


前回のサロンゾとのやり取りを、助手のガルンチョに見られ、

「何コントだ!?」

と吐き捨てるように言われて、心に深い傷を負ってしまうポヨンチョ。

一方の警察、捜査一課では着々と捜査が進んでいた。

「夏限定の臨時急行『オシャッシャブーンッ!』号に、弟のジ☆ネッポネポが乗れば、死亡推定時刻より前に、兄のザ☆ネッポネポ乗った各駅停車に追いつくことができるな。

これでアリバイは崩れた。さっそくジ☆をしょっぴくぞ!」

(ポヨンチョ)

「待ちたまえ!諸君らは大きな勘違いをしている!」

現れたのは、心の傷から立ち直り、また一歩成長した名探偵ポヨンチョポンポンだった!

より一層理論的になったポヨンチョの名推理が炸裂(さくれつ)する!

「いいかね、先に出発している兄の乗る各駅停車。

 これが、ある時刻にいた地点。これを地点Aとしよう。

 弟の乗る急行がA地点についた時、地点Aにつくまでにかかった時間分だけ、兄は先に進んでいて、地点Bに達している。

 弟が地点Bについたころには、やはりその時間分だけ兄は進んで、地点Cに着いている。

 弟がCに着けば兄はDにいる。

 これがずっと繰り返されるのだから、弟の乗る急行は、兄の乗る各駅停車に永久に追いつけないのだよ。

 よって弟は兄を殺せない!」


<2006年8月21日送信>


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第37話『見た目は子ども。頭脳は心配』


謎の黒服に薬を飲まされ、子供にされてしまったポヨンチョポンポン。

さっそく発生した殺人事件。犯人の目星(めぼし)はついた。

とはいえ、子供が推理を滔々(とうとう)と語るわけにはいかない。

そこで麻酔針を打ち込む相手を探すが、小五郎ポジションのおっさんが見当たらない!

しかし、そこはポヨンチョポンポン。こんなことではくじけない。

不屈の探偵魂が、この問題を解決させるのだった!

「いいや、犯人に直接、毒針刺しちゃえ」

ものかげに隠れ、誰にも気づかれること無く、見事に容疑者を射殺することに成功するポヨンチョ。

それから20分後、ポヨンチョの推理を完全に否定する証拠が発見された。

しかし、そこはポヨンチョポンポン。こんなことではくじけない。

不屈の探偵魂が、この問題を解決させるのだった!

「じゃあ、真犯人はこっちの人かなあ?」

そういって毒針の狙いを定めるポヨンチョ。

こうして事件は謎の連続殺人事件へと発展していくのだった。


<2006年9月18日送信>


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第105話『てこ入れ3』


ネントロンチャシティにあるペソソ・ペソソ教会の尖塔(せんとう)にチョールチョール・チョールチョル市長が串刺しにされた状態で発見された。

教会の屋根は、傾斜(けいしゃ)が急で、足場が悪く、人をかついで歩くことなど出来ない。

塔は高く、複数人で死体を投げたとしても届くはずが無い。

この不可能殺人に、人々は「悪魔の仕業(しわざ)」と恐れおののいた。

「悪魔などと、そんな非科学的なことがあるものか!」

そこに現れたのは我らが名探偵ポヨンチョポンポンである。

「諸君!科学的に考えたまえよ。答えはおのずと導かれるだろう。

 そう!チョールチョール市長は巨大ロボットに持ち上げられ、串刺しにされたのだよ!!」

シカトする民衆。

しかし、その中でただ1人、違った反応を示す者がいた。

「さすが、名推理だなポヨンチョポンポン!」

人ごみの中から現れたのは、ネントロンチャシティ随一の天才科学者マモンペ・ウチョッソだった。

大地が割れ、マモンペの作り出した巨大ロボット、モツヌル・ヌルピョヌルピョが現れる。

(マモンペ)「行けぃ!モツヌル・ヌルピョヌルピョ!

 ネントロンチャシティを火の海にしてやるのだ!!」 

大暴れする巨大ロボット、モツヌル・ヌルピョヌルピョ。

(ポヨンチョ)「くそう、このままでは街が…ッ!!」

しかし、一探偵ではどうすることも出来ない!

と、そこへ謎の人物が声をかけてきた。

「ネントロンチャシティを守りたいかね?」

声の主はネントロンチャシティが誇る天才発明家、エドペック・ミョンニシだった。

「お前にその気があるのなら、手助けをしてやろう」

エドペックからブレスレットを渡されるポヨンチョ。

「このブレスレットは、わしの開発したメカを呼ぶことができる。

 お前の仲間4人にも同じ物を渡した。

 それぞれの呼んだメカが合体すると『五体合体ペンペロ大帝ヌル』が誕生するのだ!」

ポヨンチョは仲間と協力して、ペンペロ大帝ヌルをあやつりマモンペの野望を打ち砕くことができるのか!?

探偵戦隊ポヨンジャーの戦いが今、幕を開ける!!

                     つづく


◎ポヨンチョポンポン玩具CM

超合金!『五体合体ペンペロ大帝ヌル』登場!!

ライオン・サイ・消防車・サイ・サイの五つのメカに完全分離!

そして合体!!ペンペロ大帝状態で背中のボタンを押せば、劇中の名シーンを完全再現!! 

口のまわりにクリームをつけたまま「ボク食べてないよ~」

君もペンペロ大帝を体感せよ!

サロンゾバイバイがあやつるサイ型支援メカ、アナルデ・ババーーン!も近日発売だ!買い逃すな!!


<2006年10月23日送信>


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第85話「ダメ!ゼッタイ!!」


警察から連絡をうけ、殺人現場に急行するポヨンチョ。

しかし、その場所は警察は居るものの、事件の形跡が全く見当たらなかった。

不思議に思っているポヨンチョの前に見慣れない男が現れた。

「はじめまして。この事件から現場の指揮を取ることになりました。

 警部のシャチョッコ・ビンビンです。よろしく」

そう言って差し出された手には「ごはんですよ」がべったり。

その「ごはんですよ」まみれの手で、ポンチョに痛くない往復ビンタを食らわせながらシャッチョコ警部が説明を始める。

「被害者は「翼の折れたエンジェル」。

 男性。45歳。

 職業はゴムゴムの実。

 見てお分かりのように好きな食べ物はジュース。♪ペプシマ~ン

 現場は、ここ、おでん牧場。

 つまり密室殺人です。

 秘密結社「おばあちゃん」から犯行声明が届いています。

 読みましょうか?

 『東の空にピザをかかげよ!南の海にごめんなさい。

  サロンパスはまるで魔法のじゅうたん。

  どこまでもどこまでも腕立て伏せ』

 以上です。どう思われますか?ポヨンチョさん。

 私はクリームソーダが欲しいんです。一刻も早く。

 おや?伝書バッファローですか?まさか!?」

死体なんて無いし、ここはただのせまい路地裏だし、犯行声明を読み上げると言った時、警部は何も見ていなかった!

そう思っている間にもシャチョッコは存在しない警察犬におびえて

漏らしたウンコに金箔(きんぱく)をはっては

「アイ・アム・ショーグン!ヨシミツ・アシカガ!!」一点張り。

―――この殺人事件はシャチョッコ警部の脳内だけで発生している!!

明らかにサジ加減を間違えた極端すぎるキャラクターの登場に、さすがに引いてしまうポヨンチョ。

そんなことはお構いなしに、シャチョッコ警部は、理不尽な捜査にやる気を見せない捜査員達相手にわめき散らす。

「犯人を探す気がないなら、この場から去れ!わが息子たちよ!

 しかし、去った者は犯人とみなして、ストローで咽喉(のど)を突く!」

ストローと言っているそれは明らかに日本刀。

絵に描いたような何とかに刃物。

―――これは、逃げられない。

途方にくれるポヨンチョの前にあの男が現れた!

「無様だなぁポヨンチョ!」

「サロンゾ~、何とかしてよ~」

「しょうがないなぁポヨンチョ君は……」

ジャジャジャジャン!

「『ホームズも好きだった薬』!

 さあこれを使って奴と同じ土俵にあがるんだ!」

「ありがとうサロンゾ!」

【名シーン】

(ポヨンチョ)「なるほど凶器は?」

(シャチョッコ)「肉ばなれ」

(ポヨンチョ)「死亡推定時刻は?」

(シャチョッコ)「四分(よんぷん)」

「その間になにをしたの?」

「木星旅行に行って来ました」

「つまり犯人は?」「お前だ!」

「そしてご飯は?」「耳にギッシリ!」

「どうして?」

「人間は同じあやまちをくり返すから」

「だったろ踊ろうよ!」

「そうさ踊りつづけるのさ!」

「モアイ像を耳飾にして踊るのさ」

「青い毛むくじゃらがいうとおりになったね」

「毛むくじゃらだけどいい奴さ。

 クリスマスにはプレゼントを配る」

「それでは聞いていただきましょう。

 センチメンタルバスで小田急ロマンスカー」

「『バス』なのに『カー』!?」

「でも『ロマンスカー』は電車なんだよ!」

「「あははははははははははははははははは」」


<2006年12月4日送信>


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※注釈

上記の12月4日送信分が採用され、同時にポアロ御両名から、称賛とも非難とも罵声ともつかないお言葉をいただき、そして「次で最終回」と言い渡されました。

↓が最終回としての投稿です。

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最終回「さらば師匠!ハレップヒョイヒョイ暁(あかつき)に死す」


ネントロンチャシティの市長、カポンピッピー・ニョロニョロ氏が何者かに殺された。

87話のベボバ・ネノノンモノーン氏、105話のチョールチョール・チョールチョル氏に続き、短期間に三度も市長が殺されたことになる。

そして今回も犯人が捕まらぬまま、市長選挙が行われる。

こう立て続けに市長が死んで、そのいずれもが未解決では候補者も少ない。

探偵としての名声からポヨンチョの師匠筋に当たる恩人、ハレップ・ヒョイヒョイまでもが、まわりから推されて出馬していた。

「このままで、もしハレップさんが当選したら、命が危ない」

そう考えたポヨンチョは、かつてハレップのもと、ヘッポロ荘で下積みをともに過ごした探偵仲間達と共に捜査への協力を申し出るのだった。

警察と探偵たちの全力をあげてのネントロンチャシティ史上、最大規模の捜査が開始された。

いつもどおり、警察関係者や仲間の探偵、あるいは全く無関係の一般人、さらには市長選の数少ない候補者を、うっかりむやみに犠牲にしていくポヨンチョ。

しかしながら、他のまともな警察や探偵の努力によって、事件の核心へと迫っていく。

そして意外な人物が容疑者として浮かび上がるのだった。

【名シーン】

ポヨンチョ

「まさかあなたが犯人だったなんて・・・」

ゆっくりと口を開くポヨンチョの恩人、市長選候補者ハレップ・ヒョイヒョイ。

「君達も知っていることと思うが、このネントロンチャシティは、犯罪発生率、そしてその未解決率が高い。異常と言っていい。

 私はその原因を考え、一つの推理にたどりついた。

 名前には不思議な力が宿るという東洋の概念、『言霊(ことだま)』だ。

 ・・・そう、すべての原因は・・・変な名前だ。

 (※急にテンション上がって)

 なんだっ!ネントロンチャシティって!?

 ザ☆ネッポネポ!?そんな変な名前の奴は、そりゃ死ぬよ!!

 解決する側だって、ウードッホ!?

 ネノ畑ニヌナヌ郎!?

 そしてポヨンチョポンポンだと!?

 悪ふざけかっ!?

 教授がサロンゾバイバイ!?

 友人のゲババーッ・ケフッケフッ!?

 意味がわからない!!

 先週のシャチョッコ警部とか自分で聴いてて引いたわ!!

 こんな変な名前ばっかだから、殺人事件はいっぱい起きるし、解決しないんだ!!

 (※急に冷静になって)

 ・・・そして私は心に誓ったんだ。

 どんな手を使ってでも、この街の市長になろう、と。

 そしてネントロンチャシティを山川市とか、そういうありがちな名前に変える。

 住む人々の名も、もっと無難(ぶなん)なものに改名する条例を作り上げる。

 そのときはポヨンチョ・ポンポン。君も佐藤学とかに改名するんだ。

 君がいつものよくわからないに理屈で、他の候補者をバリツの餌食(えじき)にしてくれたでおかげで、生きている候補者は私一人。

 明日は投票日。ここまで来たからには、誰にも邪魔はさせん!」

「そうはいくかっ!俺は死ぬまでポヨンチョポンポンだー!!」

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※新番組予告

「名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿」を長い間応援ありがとう!

来週からのこの時間は「名探偵佐藤学の事件簿」が始まります!!

山川市を舞台に、名探偵「佐藤学」とその助手「高橋明(あきら)」が、小林誠一教授らを相手にくりひろげる名推理・大活躍をお楽しみに!!

佐藤学

「あれ!?なんで俺、名前変わってんの?

 最終回でハレップヒョイヒョイは死んだんじゃないの!?」

「愚かだなあ、佐藤学!!」

「貴様は小林誠一!?どういうことだ!?

 サブタイトルには『暁に死す』と確かに・・・」

「ふふふ、サブタイトルは、思いつかなくて苦し紛れにつけただけだ!

 サブタイトルと内容が一致しなくてはいけないという法律でもあるのかな?」

「は!!ということは、これはまさか・・・?」

「そう。その、まさかだ!」

2人、声をそろえて

「「これが叙述(じょじゅつ)トリックだー!!」」

助手の高橋明

「違うわーっ!!あーもうっ、なんも変わってねーコレ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・めでたしめでたし


<2006年12月18日送信>


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※注釈

これでコーナーとして「ポヨンチョポンポン」は終わったのですが、

私は勝手に新作を「ポアロBBS」に送って、読んでもらったりしました。

以下は、かわいそうな象フォーマットがBBSで流行ったときのものです。

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『かわいそうな象と名探偵』


昔、日本が戦争をしていたころ。

動物園の動物たちが次々と死んでいるという情報を入手し、その原因を突き止めるべく現場に急行する名探偵ポヨンチョポンポン。

さっそく、動物園の飼育係、大ピヌソ!ヌッソペヌソペに聞き込みをしてみると「軍部の命令によって、自分を含めた飼育員たちが、動物たちに毒入りのエサをあたえている」という証言を得ることができた。

そこから、動物たちの死因は毒物によるものだと推理するポヨンチョ。

しかし、肝心の犯人の手がかりが無い。

さらに大ピヌソ!を問い詰めると、驚くべき事実を口にした。

なんと象だけは毒入りのエサを食べないのだという。

そのことを聞いて、ポヨンチョの明晰な頭脳は即座に犯人を特定した!

「毒を入れた犯人自身が毒をあおぐはずはない。つまり犯人は、象だ!」

動物たちの仇(かたき)とばかりに、象にバリツを繰り出すポヨンチョ!

真っ二つになるエレファント!

と、その象の中から驚くべきものが現れた!!

「見事だ!ポヨンチョポンポン!!」

「き、貴様はサロンゾバイバイ!」

ポヨンチョの永遠のライバルサロンゾバイバイ教授が象の中から転がり出たのだ。

「空襲で檻(おり)が壊され、中の象が逃げ出して街が大変!に見せかけて、空襲の日に檻を壊して、この象ロボットに入った私が街を大変にするという秘密の作戦をよくぞ見破った!

 今日のところは退く(ひく)としよう…。

 そこのお前!帰るからタクシーを呼べ!」

タクシーを待つサロンゾ。

一方ポヨンチョは象ロボットの残骸(ざんがい)を丹念に調べ始めた。

「飼育員諸君、見たまえ。よくできた偽装(ぎそう)だよ。

 中はかなりのスペースが確保されているね。

 ほら、ここにはロッテ「パイの実」がぎっしりだ。

 サロンゾは空襲の日まで、この「パイの実」でしのぐつもりだったのだろう。

 やつは美食家なのさ。つまり、毒入りだから食べなかったんじゃない。

 それ以前の問題、「パイの実」ではなかったから食べなかったんだよ!

 さあ、謎は解けたことだし帰らせていただくよ。

 タクシーを呼んでくれたまえ」

 タクシーを待つポヨンチョ。


しばらくして、動物園の門を破ってタクシーが園内に進入。

待っていたサロンゾを躊躇無く(ちゅうちょなく)はね飛ばし、いきおいポヨンチョを甘轢き(あまひき)して停車した。

「なんだこの話っ!論点がぶれてて気持ち悪いわ!!」

そう叫びながらタクシーから出てきたのはポヨンチョの助手ガルンチョルンルンだった。

「動物園で動物が死んでいる原因を調べに来たのに、なんで『象が毒入りエサを食べない理由』を偶然突き止めて、めでたしめでたしなの!?」

「え?えーと、じょ叙述トリックだから?」

「またかっ!まだわかんないのかアンタは!?」

「愚かだなあポヨンチョ!これは叙述トリックではなくアンチミステリーだ!」

「サロンゾうっさい!意味を知らない言葉を適当に出すな!

 今回は他のおかしなところ優先してるけど、本来なら象ロボットも最悪だからな!

 ポヨンチョ、何でわからないの?動物園で動物たちが死んでる原因。

 開始早々に言ってたでしょ?読み返そうか?

 「軍部の命令によって、自分を含めた飼育員たちが 動物たちに毒入りのエサをあたえている」って言ってたでしょ!!

 本文の3文目で飼育員の大ピヌソ!ヌッソペヌソペさんが言ってたでしょ!

 大ピヌソさんが!!大ピヌポが!!」

「あっ!あーあー、わかった!!わかったよガルンチョ!」

「わかってもらえましたか!!」

「うん、そんな変な名前の人、日本にはいない!」


<2007年11月19日送信>


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※注釈

次のもBBSに送ったやつです。

この時、私の頭の中でポヨンチョ第2シリーズが始まったそうです。

知るか。

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『ぞく・名探偵!ポヨンチョポンポンの事件簿』

第3話 死出(しで)の旅路の一里塚(いちりづか)


「ポヨンチョどの~、一大事でござるよ~」

そう言ってやって来たのは、オピソソ幕府三代将軍 ノメチ・4・ノムチにつかえる武士、モ・毛(け)・ピィー。

ノメチ・4・ノムチに、ポヨンチョをすぐ連れてくるように命じられたのだという。

それを聴いたポヨンチョの推理が冴える!

「ははあん、今週は一休さんネタだな!」

さっそく『屏風(びょうぶ)の虎』対策に、本物の虎を、『このはし渡るべからず』対策に、消防署からハシゴ車を、それぞれ非合法に調達するポヨンチョ。

モ・毛・ピィーと一緒に、ノメチ・4・ノムチが待つ、ネントロンチャシティ郊外の寺院、モピモピ寺(じ)へと向かった。

モピモピ寺で将軍様と対面するポヨンチョ。

ポヨンチョの背後、ふすま一枚へだてた向こうには、虎の入った檻(おり)とハシゴ車がスタンバイしている。

「将軍様、なにか御用ですか?」

自信満々にたずねるポヨンチョに向かって将軍様は

「好きです!つきあってください!!」

何だ?

ポヨンチョポンポンポンの第2シリーズはまさかのラブコメ路線なのか?

とまどうポヨンチョの前にあの男が現れた

「無様だなあ、ポヨンチョ!」

「き、貴様はサロンゾバイバイ!!」

「ふふふふ、愚か者め、将軍様をよく見てみろ。

 あれは北米生まれのバッファローだ!」

「あーっ、ホントだ!!」

「別名アメリカバイソンだぞ!」

「そっか、叙述トリックだったのかぁ!!」

「さあポヨンチョ、バッファローとわかれば話は簡単だ。連れてきた虎をけしかけろ!」

「OK、サロンゾ!」

さっそく虎の入った檻を開けようとするポヨンチョ。

すると、となりに停めてあったハシゴ車が急発進。

ハシゴを急旋回(きゅうせんかい)してポヨンチョとサロンゾをなぐり飛ばした。

「収拾のつけよう無いわっ!」

ハシゴ車の中から身を乗り出したのは、ポヨンチョの助手、ガルンチョルンルンだった。

「もうどっから突っ込めばいいか、わかんないっ!!

 もういいっ!とりあえずお前ら動くな、

 これから おまえらを このハシゴ車で 轢く(ひく)!!」

ハシゴ車に乗って怒鳴るガルンチョを、将軍様はじっと見つめていた。

否(いな)、将軍様はハシゴ車に乗ったガルンチョではなく、ガルンチョが乗っていたハシゴ車を見ていたのだ。

いくら『三代将軍 ノメチ・4・ノムチ』と言ってみたところで、結局は、ウシ目ウシ科のバッファロー。

ハシゴ車の赤いボディは将軍様を狂わせた。

大興奮してハシゴ車の横っ腹めがけて猛チャージ。

しかも将軍様は全長8.5m。

横倒しになるハシゴ車。だだ漏れるガソリン。

おもしろ半分にマッチを近づけるポヨンチョ。

炎上するモピモピ寺。

――――――。

この一部始終を、小説にして三島由紀夫が大変に繁盛したという、おなじみの一席です。


<2008年5月19日送信>


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※注釈

以下2作もBBSとして送ったものです

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『名探偵と量子論(りょうしろん)』


ピピケ・ピピケ・チョルチョルが何者かにさらわれた。

ポヨンチョの推理で浮かび上がった容疑者は、

物理学者ロロロメ・ロロロス教授だった。

さっそく彼の研究室に潜入するポヨンチョと助手のガルンチョルンルン。

隠し部屋を発見し踏み込むと、そこには巨大な密閉された箱とロロロメ・ロロロス教授がいた。

ロロロメ教授が口を開く。

「さすがは名探偵、確かにこの箱の中に、ピピケ・ピピケ・チョルチョルがいる。

 そうだ、私がさらってきたのだ。

 …ときに、君たちは『シュレーディンガーの猫』は知っているかね?

 説明がめんどくさいので知らないやつは…ググれ!」

ググるポヨンチョ。

10分後、ロロロメが

「わかった?」

「だいたい」

「じゃあ、この箱は、その『シュレーディンガーの猫』の箱と同じものだ。

 今、この箱の中には二分の一の確率で毒ガスが充満している。

 そして、中が観測できない現時点において、ピピケ・ピピケ・チョルチョルは、生きている状態と死んでいる状態が重なりあっているのだ。

 つまり、現時点の私は、完全に殺人を起こしたとは言えない。

 ゆえに殺人の現行犯で私を逮捕することができないのだ!

 さあどうするかね名探偵!」

物理学者ならではの完全犯罪。

途方にくれるポヨンチョの前に、あの男が現れた。

「無様だなあポヨンチョ」

「き、貴様はサロンゾバイバイ!!」

「こんなこともあろうかと、毒ガスの濃度を二倍にしておいてやったぞ!

 毒ガスの発生率が二分の一でも濃度は2倍だから、掛け算すれば1だ!

 ピピケ・ピピケ・チョルチョルは完全に死んでいる!

 さあ、殺人の現行犯で逮捕だ!」

「ありがとうサロンゾ!!」

バリツをかまえるポヨンチョ。しかしロロロメ教授は

「あまいぞ!そんなこともあろうかとピピケ・ピピケ・チョルチョルには毒の効果を半分にする解毒剤を、前もって飲ませていたのだ!!

 毒ガスの発生率が二分の一で、濃度が二倍で、効果が二分の一だから掛け算すれば二分の一だ!

 やっぱり生きている状態と死んでいる状態が重なりあっている!!

 だから、私を殺人の現行犯では逮捕できない!!」

すると今度はポヨンチョが

「だったら今まで言わなかったけど、ピピケ・ピピケ・チョルチョルはお笑いコンビで二人組みだ!!

 生きている状態と死んでいる状態が重なりあっているって言うんなら、箱の中では、生きているボケのジョゲン川・ジョルチネと、死んでいるツッコミのルンポッポが重なり合ってるということだ!!

 だから一人は殺してるから、殺人の現行犯で逮捕だ!!」

負けずにロロロメ教授が

「知ってたもん!二人組なの知ってたもん!!

 だからこんなこともあろうかと、箱は二つ用意してあるのだ!!」

「しまった、その手があったか!!」

「しかし、おれは、この話の意味を半分しかわかってないぞ!!」

事態が混迷したところで、ガルンチョの通報を受けたウードッホ・ホッホら警察が到着。

ロロロメ教授は『拉致・監禁(らちかんきん)』の現行犯で逮捕されるのだった。

ロロロメを連行していくパトカーを見送りながら、ポヨンチョとサロンゾは声をそろえてつぶやいた。

「これが『シュレーディンガーの猫』かっ…!!」


<2008年10月27日送信>


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『名探偵とシンデレラ』


ある日、ポヨンチョの元に、王子様モゲッペサ・腕(うで)・モゲッペサがたずねてきた。先の舞踏会で出会った美しい女性を探して欲しいのだと言う。

12時の鐘とともに、去って行った王子様の想い人。

その彼女が唯一残していったもの。

そう、それこそが『ちっちゃなちっちゃなミトン』。

このミトンがぴったりの女性を探して欲しいのだという。

八方、手をつくすがなかなか見つからない。

と、ポヨンチョが何気無しにミトンをチンコにかぶせると、ぴったり。

それを、たまたま、王子様が見てた。そして、

「見つけた☆」

王子様の号令一下(ごうれいいっか)、配下の兵たちに羽交い絞めにされ、城に連れて行かれそうになるポヨンチョ。

と、そこにあの男が現れた。

「お幸せになっ、ポヨンチョ!」

「てめっサロンゾ!!助けろっ!!!」

そのまま城に拉致られ、あっという間に結婚式。そして初夜。

覚悟を決めたポヨンチョだったが、土壇場(どたんば)でちっちゃなちっちゃなミトンが、『なぜか』ぴったりじゃなくなったので、無事解放されるのであった。


<2008年12月1日>


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※注釈

上の文中にある『ちっちゃなちっちゃなミトン』は、当時ポアロが内田稔さんと結成した『吉田ぽあ郎』絡みのワードです。

そして、上記の他にも、幾つか送った末に、どうしようもない最終回送ったら伊福部さんに「次は二年後」と言われたわけです。

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※注釈

以下はコーナーでもBBSでもなく、放送中のメール募集に応じて滑り込ませたものです。

タイトルが違うので、伊福部さんの「次は二年後」発言の対象外だと思っています。

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殺人魔法少女ピッカラピラリラ

第一話「きょうから私がピッカラピラリラ」


ネントロンチャシティを代表するオペラ歌手(本当は元落語家)のコパラゾ・ゲッソゲソ・ビーが何者かに殺された。

警察から、現場に来て意見を聞かせて欲しいとの依頼を受ける名探偵ポヨンチョ・ポンポン。

「いきましょう、ポヨンチョさん」助手のガルンチョルンルンは急がせるが

「準備があるから先に行ってくれたまえ」とガルンチョを先に送り出すポヨンチョ。

とりあえず先に着いたガルンチョが現場に案内される。

「これはひどいですね」

若手刑事ウードッホ・ホッホがこたえる。

「ええ、メッタ刺しですよ。

 凶器は見つかっていませんが、おそらく包丁かなにかでしょう。

 他にも犯人の衣類の切れハシらしきものも見つかっています。

 ポヨンチョさんの意見もと思ったんですが…」

と、そこに

「殺人魔法少女ピッカラピラリラ、参上ー☆」

「い………ッ!!」

あまりの光景に、あのガルンチョが突っ込みそこねた。

あまりにも、あまりにも魔法少女然(ぜん)とした格好の名探偵ポヨンチョポンポンが、こっちを見ている。

ウィンクをしている。

ポーズも決めてる。

「…はっ!!」

やっと我に返ったガルンチョは、ポヨンチョあらためピッカラピラリラに駆けより、まず思い切り殴り、ものかげに連れ込んで、胸ぐらつかんで怒鳴りつけた。

「死ね!準備ってそれか!?それだったのか!?

 つか、今回のはポヨンチョの設定を生かす必要あったかっ!?

 ポヨンチョ関係なく完全新作でピッカラピラリラで良かったんじゃないのかっ!?」

しかしポヨンチョあらためピッカラピラリラは慌てない。

「でも、少し前にね、何か血まみれの人に会ったの。

 『私は殺人魔法少女ピッカラピラリラです。

  今まで頑張ってきたけど、もうダメ。

  あなたが二代目になってくださいって』って言われたの☆

 そしてこの衣装とか、この魔法のステッキをもらったのよ☆」

「死ね!死ね!」そう言いながらポヨンチョを殴り続ける。

そこにウードッホ刑事がやって来た

「あのーポヨンチョさん、ちょっといいですか?」

「私は殺人魔法少女ピッカラピラリラよ☆」

「死ね!死ね!死ね!」

「あの、ガルンチョさんも落ち着いて。

 ポヨンチョさん、その持ってるもの見せてもえらます?」

「この魔法のステッキ?」

「それ包丁ですよね?」

案の定、被害者の傷跡と包丁が完全に一致。

現場に残っていた衣類の切れハシも一致。

ピッカラピラリラの衣装についていた血も被害者の返り血だった。

こうして自称初代殺人魔法少女ピッカラピラピラに、ものの見事に罪をなすりつけられた二代目殺人魔法少女ピッカラピラピラあらため、やっぱりポヨンチョポンポンは、警察に連行されていくのだった。


<2009年1月26日送信>


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※注釈

で、伊福部さんに「次は二年後」と言われてから二年後

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   伊福部さんが「次は2年後」って言ったから、

   2年待ったよ、始まるよ☆地獄の第3シリーズ!!


『新・名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿』

 第1話「名探偵といい人生」


「『探偵オペラミルキィホームズ』って俺のパクリだろ!!

 バリツとかなんだよ、もぉーーっ!!」

ネントロンチャシティがほこる名探偵、ポヨンチョポンポンは、メゾン・ド・プピッチコックにある自身の事務所で激怒していた。

その時、事務所の扉、その鍵穴から一本の毒吹き矢が飛んできた。

ポヨンチョが気付く間もなく、首筋に命中。

「う」

倒れるポヨンチョ。

全身ブルブル。

口から泡ブクブク。

そしてストップ。

いきなりの霊界探偵フラグ。

そして、扉が開いて若い男が入ってきた。

その右手には吹き矢の筒。

ポヨンチョと親しい若手刑事、ウードッホ・ホッホである。

「ポヨンチョさん、落ち着いてくださいよ…」

ムクリ。

起き上がるポヨンチョ。

「すまない。ちょっと大人げなかったね。で、何か用かいウードッホ君?」

「ええ、実は殺人事件がありましてね」

ポヨンチョは、日本に伝わるバリツを習っていたため無事だったのだ!!

ネントロンチャ西大崎のバッポロ・定夫・N・ピピピが何者かに殺されたのだという。

「体内から毒の塗られた吹き矢の矢が発見されました。

 殺害された状況から推定される吹き矢の筒の寸法は、そう、ちょうどいま私が持っているものと同じです」

「ほう、興味深いね。で、使われた毒は?」

「プヌッチ・プヌッチ酸化合物です。

 そう、ちょうどさっき私がポヨンチョさんに打ち込んだもののと同じです」

「だったらお前が犯人だ!!」

バリツ炸裂(さくれつ)。ウードッホ真っ二つ。

そして、録りだめていたミルキィホームズの視聴を再開しようとするポヨンチョ。

と、その時あの男が現れた。

「フハハハハ、愚かだなあポヨンチョ!!」

「き、貴様はサロンゾバイバイ!!」

ウードッホ・ホッホが、メリメリと自身の顔をはがして正体をさらす。

正体は、ポヨンチョの永遠のライバル、サロンゾバイバイ教授である。

「貴様は名推理で一仕事した気になっているが、先ほど話した殺人事件は私が出番がほしくて、適当に考えた作り話だぞ!

 つまり、貴様は何の事件も解決していない!!」

「そうか、じゃあ…」

「そう、これが叙述トリックだぁ!!」

勝ち誇るサロンゾを前に、ポヨンチョが続ける。

「そうか、よかった…。被害者はいねえのか…」

ワンピース冬島編、ヒルククのパクリだ!

驚愕するサロンゾ。

ところでサロンゾは真っ二つにされたままである。

それを見た近所の人が通報。

本物のウードッホ・ホッホら警察が到着。

そしてポヨンチョは殺人未遂容疑で逮捕・連行されていくのだった。


<2011日1月10日>


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新・名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿

第2話『名探偵と密室トリック』


殺人事件が起こったとの噂を聞きつけ、警察に乱入する名探偵ポヨンチョポンポン。

「おいおい諸君、水臭いじゃないかぁ!?どおして僕に犯人探しを依頼しないんだい!?」

「ごめんなさい、ポヨンチョさん!

 あやまりますから警察署を壊さないでください!!

 ポヨンチョさんのせいで、もう二回も建て直してるんですから!!」

若手刑事ウードッホ・ホッホがポヨンチョを必死で止める。

「ならば、私に依頼してくれるんだね!?

 任せたまえ、亀の甲羅を割ってその割れ具合で犯人を突き止める、中国式の推理を身につけたばかりなんだよ!!」

占いと推理の区別もつけないポヨンチョに恐れおののくウードッホ刑事。

仕方なく事件の概要をポヨンチョに説明した。

―――昨夜、ネントロンチャ溝の口のネッパタペ・ルンペッペの自宅でネッパタペの一人息子オッポルペ・ルンペッペが何者かに殺された。

ネッパタペとその妻、勝子・ルンペッペはその夜は外泊しており、翌朝帰宅した際にオッポルペの遺体を発見、ただちに警察に通報した。

近隣住人のディヌディヌ・Zは、深夜二時ごろにルンペッペ宅から争うような声と悲鳴が聞こえてきたと証言している。

なおこの時間帯にルンペッペ夫妻に明確なアリバイは存在しない―――

「ふむ。ルンペッペ夫妻が帰宅した時の戸締りの状態は?」

「扉も、すべての窓も、鍵がかかっていたと言っています」

「つまり密室かね」

「ルンペッペ夫妻の発言を信じればそうなります」

「警察はまだ現場にいるのかね?」

「ええ、通報を受けてからずっと、誰かしら警察の者は現場にいますよ。

 まだ現場検証も完了していませんし。

 ポヨンチョさん、この事件、一番無難(ぶなん)に考えればルンペッペ夫妻が息子を…」

「君はよくそんな残酷なことを考えられるな!!!」

変なところでポヨンチョ、ヒューマニズム。

「いいかね、これは密室トリックなのだよウードッホ君!

 犯行後、犯人は逃走するという常識を突いているんだよ!

 そう、犯人は現場であるルンペッペ宅にまだ隠れている!

 現場に向かうぞ、ついてきたまえ!!」

ネントロンチャ溝の口のルンペッペ宅に到着したポヨンチョは

「犯人出てこい!!」

放火した。

燃え上がるルンペッペ宅。逃げまどう警察。

しかし、そんな警察関係者を捕まえては

「ちゃんと犯人見つけてこい!!」

と、バリツで火事場に投げ返す名探偵ポヨンチョポンポン。

ついでに、家からは登場のタイミングをはかってタンスに隠れていたライバル、サロンゾバイバイ教授のうめき声もうっすら聞こえてきている。

あまりの地獄絵図にルンペッペ夫妻がポヨンチョに泣きつきながら「私たちがやりましたぁ」と自白。

こうして名探偵ポヨンチョポンポンは、今回もまた難事件を解決したのだった。


<2011年2月28日送信>


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 <前回のあらすじ>

  若手刑事ウードッホ・ホッホから殺人事件を聞き出した名探偵ポヨンチョ・ポンポンは、事件現場に火を放った。

  火に巻き込まれ警察は多大な被害をこうむったが、それを見るにたえがたくなった犯人から自白を引き出すことに成功、事件を解決してしまったのだった。


新・名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿

第3話「名探偵と優秀な助手」


メゾン・ド・プピッチコックの探偵事務所に、若手刑事ウードッホ・ホッホが訪ねてきた。

「ポヨンチョさん」

「なに?」

「お願いがあります」

「なに?」

「助手を雇ってください」

「なんで?」

「あなたはもう僕の手におえないからです」

ウードッホは全身いたるところ火傷(やけど)の治療中だった。

なんかもう涙目だ。

「君の言っている理由がよくわからない!」

最悪!

「よくわからないが、確かに名探偵には助手が必要だな!!」

「良かった!じゃあ、さっそく新聞にでも募集広告を載せましょうか?」

「いや、こういうのはぶっつけ本場だよ!!」

そう言うとポヨンチョは探偵事務所を飛び出し、通行人のニョル山崎だゾ!ミャカミャカをバリツで「ぬ」の字にしてしまった。

よりにもよって平仮名の「ぬ」だ。

「何してんですか、ポヨンチョさん!!??」

あまりのことに大声を上げるウードッホ。

対して全く冷静なポヨンチョ。

「これでここに突如、傷害事件生まれたわけだ。

 さて、ウードッホ君、いいかね、ここからが本番だよ」

ぬの字になっただゾ!ミャカミャカを木の棒にくくりつけ高々とかかげ、この陰惨(いんさん)な場を、遠巻きに見ている群衆に宣言した。

「この傷害事件の犯人を突きとめた者には、私の助手となる権利を与える!

  諸君、もてる叡智(えいち)を出し切って、この難事件を解決してみせるがいい!!」

「やっぱり手におえない」呆然とするウードッホ刑事。

遠巻きに見ていた群衆は、声も出ない。

しかし、その中でただ一人だけが

「おまえ何言ってんだよ!!」

ポヨンチョを殴った。

「自分でやっといて何が『犯人突きとめろ』だよ!頭いっちゃってんのかよ!!」

バンバン殴る。だゾ!ミャカミャカをくくりつけていた棒が折れる。

殴りつけた人物は、その折れた棒の、とがってないほうでポヨンチョの喉ぶえを突く。突く。突く。

「だいたい傷害事件って『ぬ』の字になっちゃたら死んじゃってるだろ!!

 殺人事件だよ。

 つーか『ぬ』って何だよ!どういうことだよ!」

喉を突かれ、うめきながらポヨポヨンチョが答える。

「じょ。じょ、じょじゅ、つ、とり、とりっく…」

「違うよ!叙述トリックはそうじゃないよ!!

 それと、物陰に隠れているお前!でてこい!!」

「は、はい…」

隠れていたのはポヨンチョの永遠のライバル、サロンゾバイバイだった。

「おまえ!なにを『おれ『ぬ』の字にされなくて良かったぁ。

 でもホッとしている間に出るタイミング失っちゃったよ。どうしよう?』

 みたいな顔してんだよ!お前も喉突くぞ!!」

言うと同時にサロンゾの喉を突く。

「あと、そこ!お前もしっかりしろ!

 刑事だろ、なに犯罪見過ごしてんだよ!!」

矛先はウードッホにも向いた。

ウードッホは感動していた。

「完璧だ…。完璧なツッコミだ!あなた名前は?」

「え?ガルンチョルンルンだけど」

「ポヨンチョさん!このガルンチョさんを助手にしましょう!

 こういう人こそあなたには必要です!!」

ガルンチョに殴られ、喉を突かれ続けたポヨンチョは、薄れゆく意識の中で必死に首を横に振った。

しかしウードッホは無視した。

「ガルンチョさん!

 今日からあなたは名探偵ポヨンチョポンポンの助手です!

 これからはあなたがポヨンチョさんの暴走をとめてください!!

 よろしくお願いします!!じゃ、そういうことで!」

そういうことでウードッホは、ぬの字のだゾ!ミャカミャカを置き去りに警察署に帰って行ってしまうのだった。

「おい、待て!なんだこれ!?

 これじゃオチが弱いんじゃないのか!?

 変な名前も少ないんじゃないのか!?」

 名探偵の助手ガルンチョルンルンはメタツッコミすらこなして見せた。

 こうしてレギュラーメンバーが揃ったのだった。


<2011年3月7日送信>


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新・名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿

第5話『名探偵と魚介類のごちそうカレー』


おポネ崎ストリートのメゾン・ド・プピッチコックにポヨンチョと親交のある人物たちが集められた。

今日はポヨンチョが手作りのカレーをふるまうのだという。

おきまりの、末尾に「来ないとバリツ」と書かれた実質、脅迫状の招待状を受け取ってしまった不幸な人々はそれぞれに不安を口にした。

若手刑事ウードッホ・ホッホ

「ポヨンチョさんがカレーといった以上、カレー以外のものなのは間違いないでしょう。

 私たちはいったい何を食べさせられるんですか!?」

下積み時代をともにした同業者ボルボップソ・J・ペペプソン

「まず食べ物という可能性を捨てるべきだな」

懇意(こんい)にしている魚屋Oh!ポポゥ

「良くて靴か。チャップリンを見ていればの話だが」

近所のご隠居ゴジャマッタン伯爵(はくしゃく)

「わしゃバァさん宛に遺書を書いてきたよ」

ケッパリ・ヌソヌソ三世

「生のゴリラがドーン!!てこともありうるぞ」

ゴリラ

「ウッホウッホ」

その時、厨房から

「諸君来てくれたまえ!!」

ポヨンチョが呼ぶ声がした。

これまでと腹をくくって一同は厨房に入った。

厨房には意外にもおいしそうな匂いがただよっていた。

そこにあったのはカレーではなく、ハヤシライスだったが、おいしそうなのは間違いなかった。

事前の予想よりもはるかに素晴らしい結果である。

助手のガルンチョルンルンのおかげだろう。

一同が胸をなでおろしたところで、ポヨンチョが神妙な顔で語りだした。

「諸君、事件が起こった。

 カレーがなぜかハヤシライスになったことは残念だが、この事は、私が隠し味のセメントミキサーを入れようとしたのを、助手のガルンチョ君が止めたためであり、理由は明らかだ。

 どうか助手のこの暴挙を許してやってほしい。

 そして、私が事件と言っているのはそのことではない。

 皿の数が足りないのだ。

 私は招待した人と、私と助手の分、つまりきっかり人数分の皿を用意したのだ。

 しかしいざ盛りつけとなると一皿足りないのだ。

 これは事件だ。そこで…」

ポヨンチョは一息ついてからこう言った。

「つじつまを合わせるために、一人バリツで始末したいんだけど、どう?」

どうもこうもない。

と、そのとき、あの男が口を開いた

「愚かだなあ、ポヨンチョ!!」

「き、貴様はサロンゾバイバイ!?」

「人数分用意したのなら足りないのは当たり前だ!

 なぜならゴリラは人間じゃない!

 人じゃないから『人数』には入らない。

 『人数』分用意された皿なら、ゴリラ一匹分不足する!!」

ハヤシライスをモリモリ食いながらのサロンゾの説明に、納得しポヨンチョが叫んだ。

「しまったー!叙述トリックかぁーー!!」 

「ちがう」

助手のガルンチョがつぶやいた。

「え?」

「ちがう」

「ゴリラが人じゃないから、その分の皿を用意しなかったなんてことありえない。

 そもそも招待している時点でゴリラとヒトの区別を、ポヨンチョはつけていない」

「ならば、何故皿が足りないのだ!」

反問するサロンゾにガルンチョが言い放った。

「招待されていない奴が、いつの間にか混じって、しかも勝手にハヤシライスを皿に盛ってもう食べてるからだよ!!」

「そんな奴がどこにい…あ!」

口にまで運んだスプーンを落としてしまうサロンゾバイバイ。

「そういえば、お前は招待していないぞサロンゾ!」

「え!?いや、だって、こういうことあったら俺呼ばれて当然じゃん。

 確かに招待状は来なかったよ。

 でもねでもね普通来るでしょ。

 普段だって急に現れるんだから。

 見越して用意とかしといて…」

「お前が犯人かあぁあぁぁぁ!!」

サロンゾにバリツ炸裂。

その拍子にサロンゾの懐(ふところ)から、何かが転がり出た。

………『UNO』だった。

「サロンゾ、おまえ呼ばれてもいないのに勝手に来て、飯食って、あげくの果てに、その後みんなで楽しくUNO遊ぼう!って、つもりだったの?

 どんだけ独りよがりなの、お前」

と、ゴリラに諭され(さとされ)、サロンゾは耐え切れなくなって 泣きながら逃げて行ったのだった。


<2011年3月28日送信>


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※注釈

以上の『新・名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿』(自称、第3期)もコーナーではなくBBS内のシリーズ(一人相撲)でした。

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