巣立ちの練習

職場の軒下でツバメが子育てをしていましたが、先ごろ巣立っていきました。今も近所を「家族」で飛び回っています。夏の終わりには数千キロの旅に出ることでしょう。

またカラスの幼鳥も地上近くで目にすることが増えました。一見親鳥と見分けがつきませんが、くちばしの中が赤く、時折まだ親から餌を与えてもらっています。

鳥たちの子育てを見るにつけ、恐竜の子孫と言われるこの生き物の姿に、哺乳類と重なる「命の原点」を実感し、言いようのない感動を覚えます。

鳥の子育てのクライマックスはやはり「巣立ち」でしょう。それまで巣の中で親が運んでくれる餌を与えてもらっていた雛が、自分の力で飛翔する瞬間・・・これに失敗し命を落とすケースも少なくありません。親の手助けも限られています。

人間の子育てにも幾度かの「巣立ち」すなわち自立へのステップがあるように感じます。幸いなことに人間は、鳥たちよりもその手助けの手段に恵まれていますが、一方では過干渉になり、かえって巣立ちを妨げる恐れもあります。

はじめて補助輪を外して自転車に乗ることができるよう教えた日を思い出し、根気強く、優しく、厳しく、励まし、褒めて、巣立ちを促すわけですが、それは苦労であると同時に喜びでしょう。飛んでいったあとは鳥と同様、見守ることしかできませんから。

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