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(コロナ禍)イケメン看護師にホの字で鼻の穴を広げていた私の悲劇

3月13日にマスク解禁となり、街ゆく人々の中にもちらほら、素顔の人たちが見られるようになった。
コロナ禍の長い長いトンネルも、終わりを迎えようとしている。

2020年年明けから、その存在に動揺が広がり、同年7月には、『NewおだまLee男爵』なるハッピーな店名のオカマバーでクラスターが発生、素晴しく漢気のある店主の対応に賞賛が寄せられた。
個人的な事ではあるがその1ヶ月後に妊娠が発覚、当時お腹にいた娘は来月(2023.4)、2歳になろうとしている。
これから話すのはその娘がまだ1歳になったばかり、2022年のGWに起きた出来事である。

妊娠前から産後1年間にかけて、コロナのせいもあり帰省することができなかった為、なんと3年ぶりに山陰地方にある実家に帰ることとなった。
地元は結構田舎なので東京から来た人=コロナをもってきた!という考えの人が多く半ばお忍びの帰省となる。

海は青く、空と海との間の水平線が、白く透き通ってどこまでも続いていた。東京では見られない、本当に空が、海が広いと感じる素晴らしい青色ーー。
私はここで生まれ育ったのだ。この子はこれを見てどう思うだろう。この広い海と空に、何を思うだろう。
.…という母の思いとは裏腹に、彼女はとてもじゃないが海が好きという風には見えない。
足が濡れるのも、砂浜で手足が汚れるのも、何を取っても嫌そうだった。今振り返ると、彼女はすでにこの頃から潔癖の気があった。

帰省1日目〜4日目までは平和に、和やかに過ごしたが、4日目の夜から娘が咳をし始めて、深夜には嘔吐、5日目は本来であれば帰宅の予定であったが39度を超える高熱が出たため飛行機はキャンセルとなった。
ここで、母が『コロナだったらどうしよう』と、呟いた。
田舎の人間からしたら『娘が東京からコロナを持ち帰ってきました』という最悪のシナリオである。
この頃はまだ町内に感染者が出ると町中の一大スクープとなっていた時期だった。

しかしこれだけの熱となるとそうは言っていられない。すぐさま総合病院に電話し、娘の病状を話すも、
『東京から帰省していて…』と話すと『マジかよ…』という動揺が、電話口でも伝わってくる。
『ちょっと保健所と相談するので待ってて下さい』と言われ電話を切られた数分後、『病院の駐車場でPCR検査をするので(親子2人とも)車内で待って下さい』と電話があった。
我々はすぐさま病院へと車を走らせた。

この時私の脳裏にはロボトミー手術ばりにPCR検査の棒が奥深くまで刺さるイメージがありありと浮かんでいた。あれをやるのか。私も娘も。
アーやだなやだな〜めっちゃ痛いだろうなぁ〜娘、ごめんよぉ〜痛いよなぁ〜とか思いながら待っていたら完全防備の男性看護士さんがやってきた。
そこで私の審美眼を侮るなかれ。防護服を来ている相手でもピーンときた!

あれ?イケメンじゃん!

一大事に何考えてんだお前とお思いのあなた。正解。
今思えば何考えてんのって思うもん。

ぽやぽやしている間に娘に忍び寄るPCR検査の棒。
小さな小さな鼻の穴に入る瞬間、ぎゅっと娘の体を抱きしめた。

コスコス..コスコス…はいっおわりました〜

.、、、え?終わった?まぢ?めっちゃソフトじゃ〜ん優しい〜イケメン優しい〜

ハイッじゃあ次お母さんやりますね〜

あーはいはい。
完全に余裕モードになりました。イケメンにホノジです。ホの時で鼻の穴広げて待ってます。もぉ〜イケメンに鼻の穴広げて見せるなんてどんな状況〜?どんな状況よ〜まじウケる、まじウケ…

ズコズコズコッゴーシゴシゴシゴシ!!
ゴシゴシゴシゴシ!!!
ズコズコゴシゴシゴシゴ

ウケねぇ!!誰か!!鼻!!やぶけるて!たすけ…

ハイッオワリマシター

鼻水と涙に塗れたわたしの顔を、イケメンはニヤリと(ニコッとかも知れんが)見て、ただ一言爽やかに、『お疲れ様でした!』と言ってくれました。

どういう感情?

そうしてこうして、めちゃくちゃこすりおわったイケメンは颯爽と消えていきました。

今考えると、きっとまだ赤ちゃんの娘にやりまくるのは可哀想に感じたイケメンは、
それでも東京からやって来たんだからコロナに違いねぇ、母親の鼻の穴で陽性反応出してやラァ!!!と決死のゴシゴシをやってくれたような気がします。
結果は陰性でした。あれだけゴシゴシされたので結果はかなり信ぴょう性があるのではないかと安心できました。

ちなみにこの後もう一度検査を受ける機会がありましたが、鼻の穴をフンガー!と広げまくったらそこまで痛くなかったのだけれど、鼻の穴の開き具合なのか、看護師さんの力加減か、(私的にはもちろん後者ですが)正確にはどちらに要因があるのかは素人的にはわかりません。
医療従事者の方,お分かりでしたら教えて下さい。

あれから一年がたち、コロナ禍も一区切り、という雰囲気になってきました。
もう当分の間はあんな思いも、しないのではないかと思えば、急に懐かしい思い出になりつつあります。

アフターコロナに幸あれ。

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