見出し画像

流行か不変か

私がこの様式で活動を始めて、常に"博物系、理科系"という言葉と密接な関係です。しかし、ちょっと距離をおきたいなと思い続けてるのが実情です。

と、私は案外(やっぱり)天邪鬼な性格なので。それが幽かな囀りから、終いには舌禍の原因になったりするんですが。これはさておき。

幸運にも、私の活動が始めた時期と重なるように、博物ふぇすてぃばるや、いきもにあ昆虫大学などが開催され始めていました。
当時は、それらの情報は、偶然、とある骨董市で出店していた際に、上記の催しに参加されていた方々から聞いて、凄いなあ。こんな催しができるような状況になったのかと感慨深く思っていました。
当時、博物系の古物販売の催しに参加することが出来、少しは何かリンク出来たらなと思い、自分の扱うものをよりフィットするように、様々な植物、動物、そして鉱物の博物三界が描かれた博物図版を広く、深く探し、入手していきました。

数年後に、それらの催しに参加できるようになりました。私のような癖のある取り扱いの内容や、出自が異なる自分を受け入れてくれて、感謝しています。おかげで、より様々な方向性の探求を行い、知識の集成や、より、貴重な物を入手できるようになりました。

そうしてる間に、色々とかけ違いや、主催と自分との考え方の相違が起きて、離れることも起きましたが、結果として、良き別れだと思っています。自分が思う事、できる事を遂行し、獲得するには、喪失を受け入れる事も必要です。

そして、2020年。

twitterや、インスタグラム、YouTubeの普及により、より多くの情報を、求めれば得られる、いや、求めずともとめどなく供給されるようになり、より印象に残るもの、視覚的なもの、刺激のある物を、無意識に欲するようになり始めたのも丁度この頃かと思います。それによって、生じるのが、情報や商品の鮮度の低下が早まること、既視感、より刺激のある物、専門性の高い物への瞬間的な欲求です。
私自身もこの蠱惑に囚われて、さらに専門的な物、細分化された生物種の図など探すようになりました。

しかし、蠱惑に永遠に囚われることはありません。その蠱惑でさえ、早期に目覚めてしまうのが、人の欲望の恐ろしいところです。もしくは、より強いものを求め、自らがその力を獲得せんとすることも起こりえます。

何が言いたいか。見慣れると、満足してしまうのです。

さらに、去年から現在に続く災禍は、生活様式など多くの変化を与えました。催し事が出来ない事、お店に行けない事、博物館や美術館が休館することなど。経済的な影響も甚大です。一方で、もの作りや、商品買付なども大きな制限が続いています。現地買付や、安定した国際物流に依存していたものが、一気に供給低下しています。今まで見たことがないような新たな物がなかなか出にくい状況です。

これらの状況が同時期に起きて、結果、興味の拡大は急停止し、停滞ならまだ良い方で、収縮が起きつつあります。
そうなると、これまでの経験則が通用しなくなります。良くて50%が実態です。この収縮はいつまで続くのでしょうか。

収縮が止まったとしても、停滞は続くと思います。複数要因がほぼ同じタイミングで起きているので、単純な事ではないと思っています。
では、そのまま静観、もしくは傍観していれば、改善するなんて事は全く思えず。何かしら行動を始めていかないと。

新たに興味を抱く人の参加を促す事、その際に、これまでの熱量では、高すぎて、ミスマッチとなる可能性が高い事を自覚して、これまでの経験から、適切な熱量に調整した物を用意する事。一方的な情報の押し付けをしない事。新たな視点や価値観を創出する事。それを従来の活動と並行して行う事が必要と思っています。
私の場合、現在は博物画ポストカードの製作・販売が一つの対抗策です。

イメージソースは博物画ですが、博物・理科系のアイテムに留める気持ちはありません。デザイン雑貨の指向性を高くするために、意図して解説を付属していません。出典情報と、最低限の種名(英名)などを記しているのみです。これまでの枠を超えて拡大させていかないと。
私自身が絵を描く事や、研究する事が出来ない。でも、これまで、数万枚~十数万枚は観てきただろう博物画の中から、実際に入手できた物から作り出すのは、私にはできる事だと思うので。

このまま、流行で終わりになり、10数年~30年周期の次の波まで待てるのか、流行に囚われない、大きな柱へと、現在の停滞を乗り越えるかの正念場が今年なのかなと感じています。しかし、なかなか難しいですね。今年は特に難しい。

もう、災禍の前に戻る事は無い。勢いに乗るのではなく、勢いを作り出し、新たな災禍を起こさないように自己監視しながら新たな試みを実行する。それぞれに出来うる事で、継続しけるようになれればと願っています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?