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ポストカード12種類追加しました。

新たな試みを始めて、1ヶ月と少しで、あれよあれよと増えていき、
今回で、12種類追加、計20種類になりました。その12種類について、簡易な解説と、出典情報をまとめてみました。

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ウツボカズラ
1900年代初頭の植物系雑誌に掲載されたウツボカズラの図の捕食袋の図です。
使用した図版は紙の損耗が激しく、私での販売に不適だったものを今回、画像データ上で修復して使用しています。
Revue horticole.
“Nepenthes burkei”
Librairie agricole de la maison rustique. (1903 )


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ミナミセミクジラ
1830年代イタリアで出版されたの哺乳動物図譜より、ミナミセミクジラです。
磯場に打ち上げられているこの描写は当時は一般的で、その理由は、当時に海中にいるクジラの姿を観察し、その描写を残していない事、クジラの全身を見る機会は、なんらかの理由で、砂浜に打ち上がった姿であったためです。
この図の個人的に好きなポイントは、遠くからこちらを見て、潮を吹いているクジラ。
Zoologia morale : esposta in cento venti discorsi in versi o in prosa.
“Ballena Franca (Eubalaena australis)”
DomenicoGazzadi & Antonio Baschieri. (1843-46 )


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ノイバラ
1819年に英国で出版されたボタニカルレジスター誌より、ノイバラの図です。原産は日本、スウェーデンのツンベルクよって西欧世界に伝わりました。
この図では花色がピンクで、八重咲なので、西欧に伝わった後に品種改良が行われている可能性があります。
同時代のフランスで、ピエール・ジョセフ・ルドゥーテによる薔薇図譜でも花色はピンクで八重咲のノイバラが描かれています。
The Botanical register : consisting of colored figures 
of exotic plants. Vol.5. (1819 )
Japanese rose (Rosa multiflora)
Sydenham Edwards.

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ハマナス
こちらも1819年出版のボタニカルレジスター誌より、ハマナスの図です。こちらの植物誌では棘の多さを表現してか、ヘッジホッグローズと記載されています。
The Botanical register : consisting of colored figures
of exotic plants. Vol.5. (1819 )
Ramanas rose (Rosa rugosa)
Sydenham Edwards.

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カツオノエボシの全体と、拡大
1820年代、フランスによるコキーユ号世界探検航海図譜より、カツオノエボシの図です。
透明な生物(厳密には薄青い)を版画で描く事は困難なことだと思います。
細密な点刻銅版画で、刷りに使用する顔料は黒ではなく薄い青や黄色、そこ混色の緑色で刷られ、その上に手彩色で描かれています。
拡大図も別途製作したのは、この細密描写と、個人的感想で餃子に似ていると思った為です。
英国ではカツオノエボシはPortuguese Man O´War (ポルトガルの軍艦)と呼ばれています。
Voyage autour du monde entrepris par ordre du gouvernement sur la corvette La Coquille.
“Portuguese Man O' War (Physalia physalis)”
Louis-Ishidore Duperrey. (1826-30 )


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エスカルゴ(カタツムリ)
1830−50年代、フランスの軟体動物(頭足網、腹足網)を研究していたフェルサックと、アリシド・ドルビニによる一般と個別の腹足網図譜より、おいしそう?なエスカルゴの図になります。
カタツムリを観察、描写は他の生物より、解像度が高いと思います。理由として、ゆっくりとした動き、飼育のしやすさが考えられます。
Histoire naturelle générale et particulière des mollusques.
“ANIMAUX DES ESCARGOTS”
Andre-Etienne de Ferussac and G. P. Deshayes. (1820-51 )


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アフリカコウイカ
エスカルゴに続きフェルサックによる一般と個別の頭足網図譜より、アフリカコウイカの図です。脚のひろげ方、吸盤の個別描写など、レイアウトの美しさを感じます。
Histoire naturelle générale et particulière des céphalopodes acétabulifères vivants et fossiles...
“Patchwork cuttlefish (Sepia vermiculata)”
Andre-Etienne de Ferussac & A.D'Orbigny. (1835-48 )


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スミレの精
フランスの風刺画家、J.J.グランヴィルによる花の精 より、スミレの精の図です。こちらは彼の死後出版されたもので、 1867年に版元が変わり再版されたものです。
個人的にはこの後版の方が彩色が美しく、好きです。
スミレの草陰に潜んでいるけど、手に持つ香炉から立ち上る香りは隠せません。
Les Fleurs animées
“VIOLETTE”
J.J.Grandville. (1867 )


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永久花
こちらもJ.J.グランヴィルの花の精より、永久花の図です。死神の鎌を打ち砕き、花冠の下に小さなウロボロスが。自らの尾を喰らう蛇はその命の永遠性を示しています。
中心に描かれている植物はカモミールでしょうか。
Les Fleurs animées
“IMMORTELLE”
J.J.Grandville. (1867 )


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アオイガイ(タコの仲間)
1700年代初頭に、ゲオルグ・ルンフィウスとシビーラ・マリア・メーリアンが、1700年代初頭に出版したアンボイナの好奇心の陳列棚の、ラテン語版より、アオイガイの図です。
なんとも珍妙な図の起源は古代ギリシャのアリストテレスの博物誌の記述に拠ります。殻を海面に浮かべ、存在しない謎の帆のようなものを持ち、風を受けてヨットのように航行する。顔はクチバシの形から鳥そのものです。
Thesaurus imaginum piscium testaceorum.
“Argonauts”
Georg Eberhard Rumpf & Maria Sybilla Merian. (1739 )


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ウサギ
1500年代の博物学、書誌学者のコンラート・ゲスナーによる博物誌より、丸々と肉付きの良いウサギの図です。

と、これは、ポストカードの宛名面側の出典情報を思いっきり間違えた(魚類誌の情報を記載した)ので、一旦お蔵入りです。さて、どうしよう。
Thierbuch das ist ein kurtze Beschreybung aller vier-füssigen Thieren.
“Rabbit”
 Conrad Gessner. (1583 )


以上、12種類(うち1種類は修正再製作決定)のご紹介でした。


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