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2022年雑感

現在も続く災禍の1年目は壊滅的な状況、2年目は疑心暗鬼の中での僅かながらの回復、そして、今年3年目は復興と、遅滞、急峻に元に戻ったような、でも元のままではない日常という、目まぐるしい1年でした。

2022年の前半は、以前より出店していた骨董市へ1か月に1回の頻度での出店できるようになり、活動も徐々に増やす事ができたのですが、人の往来はなかなか回復はしませんでしたし、以前とは違う動向が続き、従来の顧客分析(という程の事はしていなく、感覚的なものです)が通用しない事も多々ありました。その最中の急激な円安や、大きな戦争、燃料価格高騰は、調達価格にも大きな負担となりました。外国為替については今月に入り、状況は改善しつつありますが、不安定な状況に変わりはありません。実のところ、夏の頃は調達難というより、資金的な問題も、あの夏至の頃からの猛暑でじりじりと焼き付く事態でありました。

そう、6月から9月まで続いた異常な暑さ、あれは屋外での出店では命取りとなる事態でした。6月の吹き続く熱風、夏至の頃の日照時間、私たちは一体何をしているのか、朦朧とした意識の中で、これはもうだめだ。と思ったほどです。そのため、真夏の屋外出店は極力減らす事を決意。結果、収益はますます悪化していったのでした。

夏の間は、これまでの活動で、累積した資料や物品の移動、整理を行っていました。溜まる一方の資料、数年間開かずの箱から出てくる品物。資料は一旦箱に詰め込み、品物は一度整理し、セール品として販売を開始しました。当初はこれまでの入手で、出典元が不明、または調べるのが途方もない作業のため諦めた物が多く含む内容で、その後はラベルを付した従来の様式に改めて継続しています。おかげさまで多くの方に購入いただき、だいぶ数が少なくなりました。一旦、セール品販売は終了し、また2023年のある時から再開予定です。

2022年は前半から、今までとは異なる目的を以って、色々入手を進めています。その結果、今までは入手の叶わなかった物を間近で見る事が出来る事が出来ました。そのいくつかでポストカードを製作したり、夏の間、根津のコーツトカフェ様での展示会に出していました。そのどれも実物を観るのが難しいものです。でも、その珍しさは作品を観た時の印象にはどれだけ影響するのでしょうか、それよりも、絵画として精緻さ、製作当時の奇想さを鑑賞する事により意識を向ける事が必要かなと思ったり。展示の方法やお客様との距離を踏まえて、解説ラベルは無しとしていました。twitterでは大まかな記載は残してはいましたが。そこは意地悪だったと思いますが、気になり、一歩踏み込む毎に、その精緻さや紙の中を満たす世界に没入する事を楽しむ事ができるかもしれない。

セール品は日本随一、いや世界一安い価格設定の物も多く用意出来たと思う、一方で、希少で、世界的に評価も高いものを展示する。今年はその両端を拡張し、結果、価値という観念を考える事ができたのは、今後への良い経験になりました。
製作者や、使用された書物などの情報が記されたラベルはその紙片の将来に必要な物と思っています。なんだかわからない。となってしまうと、それは何であったかを調べ直す事は、よほど経験やひたすら多くを観続けた者でないと、困難です。そして、価値においても、厳しい結果になります。なので、私が通常時に取り扱う物はよほど調査が困難な物以外は、出典元を調べ上げ、ラベルを付しています。その情報があれば、数世代先になっても、その紙片は何であったのかを示してくれるはずです。

2022年はこれまで参加させていただいていた大型イベントなどが再開したり、その規模が以前のような多くの方が参加できるようになった一年でした。改めて、その主催者、参加者、来場者の皆様にお礼申し上げます。

大型イベントでは、なかなか説明やお話できる時間も限られていて、聞きたい事、話したい事など満足にできない事に不満を持たれてしまうかもしれないのですが、何か気になる事が有りましたら、質問など遠慮なくお声掛けください。ただし、その質問などによっては、良い返答ではない事もあります。なるべく、質問を汲み取るよう努めていますが、不躾な質問などは、相応の返答を返します。それぞれ瞬時の視覚的な情報、先入観などを元に判断する事は多いのですが、その発言の内容、言葉の抑揚、その際の仕草なども重要な情報です。それらがラベルになりうるのです。

2021年末をもって、従来の展示、栽培を終了した、ふれあい植物センターでは2019年の博物バザールから、2020年の2回目、21年末のラスト企画展までの3年間、イベント企画や、ただの来場者としても数十回訪れた場所でした。その場所がその外郭のみ残して、リニューアルによって失われました。
今年1年はたびたび、あの湿度や、植物などを懐かしく思い、何かしらの飢餓感を感じています。今後、燃料価格や飼料の高騰、設備の老朽化、存在の意義の変化や淘汰によって、植物園や動物園、博物館、図書館など、規模の縮小や、閉館が続くのではと思っています。状況は悪化の一途です。

まだ未来が残されていたのが、今回の2020年からの災禍をきっかけにして、大きくその将来が変わってしまう事は今後より多く現れるのでは危惧します。それに抗うためには、声を上げる事も必要だけど、まず最初に、来場者が増え、その来場者からの普段からの感想が必要なんだと。

2023年以降、新たに、植物園や動物園、博物館などの施設にて、販売に限らない企画を実施できたらと願っています。それにより、その施設を知る事や、赴く事、その感想を発言する事が、僅かでも増えて残せたら、きっと、なにか変化が起きるかもしれません。

2023年は、拡大を選択し続けるよう、努めていきます。まだお知らせまで準備が必要な事だけど、とても嬉しい事もあります。
しかしながら、状況は日々変化しています。秋からの元に戻っていないのにまるで元に戻ったかのような錯覚する日常になり、街での往来も多くなりました、出店でも多くの方に来場いただいています。でも、ごく最近の懸念はきっと杞憂で終わることは無いでしょう。思い切った判断で拡大のみを続けるのは危険ではありますが、自信過剰にならぬよう気を付けていきます。もし、その判断に曇りがありましたら、どうかアドバイスをお願いします。

2023年最初の出店は1月3日(水曜日)に東京有楽町の東京国際フォーラムでの大江戸骨董市に出店予定です。(9時~15時過ぎまで)

また、博物絵ハガキは通販サイトのBASEにて継続販売中です。現在50種弱の取り扱いまで増えました。2023年も新アイテムを製作します。

現在、博物図版や博物ハガキは、うみねこ博物堂、ウサギノネドコ東京店、Antica Libreria K、コトリノ・古書店、サカナブックスにて取扱いただいております。それぞれに取扱品が異なりますが、それぞれ特色ある店舗です、きっと楽しめると思います。

なかなか、雑感と言いながら、長く書いてしまいました。それでも、書ききれていない事もあるけども、これにて、2022年もどうもありがとうございました。2023年もどうぞよろしくお願いします。

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