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アル・バラド(ジェッダ)での出来事

(2000字)
▪️概要
サウジ・アラビアのジェッダ(メッカ州)は、紅海に面したメッカ詣での港町として栄えた街だ。

メッカ巡礼のハッジとウムラのために、祝福された旅をする巡礼者にとって、聖なる都市メッカへの主要な玄関口として、7 世紀初頭に建設された。
ちなみに、イスラーム教の成立年は西暦でいう610年、ヒジリ歴(ヒジュラ:遷都)の初年は622年だ。

アル・バラドは、1970 年代の石油ブーム以前はジェッダの商業の中心地であり、今では、世界遺産に指定され、いまだに過去を偲ばせる商業施設があり、観光地として賑わっている。

大きくなったジェッダの街は紅海沿いの街の中では最大の貿易港として機能している。日本からの貿易品も、その多くはジェッダやペルシャ湾(アラビア湾)のダンマンの港に着いている。

街は情緒豊かな古代の建築物で埋まっており、建物の基盤はサンゴ石を使用して建てられており、装飾は美しい木製の格子窓で飾られた伝統的な建物だ。

▪️リヤドとジェッダの雰囲気の違い
2016年に訪問した時に感じたことは、リヤドは首都だけあって、イスラームに対する規制が厳しかった。レストランに入るにも、リヤドはファミリー(女性だけか、女性の親族男性の同伴)と男性のみの入口が分かれていた。対して、ジェッダは港町のせいか、全体的に外国人に対しても開放的な雰囲気で、レストランの入り口の規制はほぼ無かった。あったとしても、ファミリーのテーブルを囲む、衝立ぐらいが必要な人にはお店がサービスで囲むぐらいだった。

▪️全ての良きコトが起こる街
仕事でジェッダにいる時には、ほぼ毎回、いろんなことが起こった。少しの事例を書いてみる。振り返ってみると、全ていいことだった。

①紅海の真ん中に浮かぶファラサン島からの生還
ファラサン島で砂漠を4時間半彷徨って生還したあと、紅海をボートで渡り、ジザンという街に戻り、そこからジェッダに飛んだ。ジェッダにたどり着いた時に初めて生きた心地がした。

②ザムザム・ウォーターとの出会い
イスラーム教徒しか入れないメッカの街に湧く、奇跡の水、ザムザム・ウォーターを一度は飲んでみたいと思い続けて通ったサウジだったが、2016年に空港で見つけた時は衝撃を受けて、空港の外にあるザムザム・ウォーターを販売するスタンドに駆けつけた。しかも当時、5リットルで8SR=240円と良心的な価格であった。
ハッジ・ウムラを終えて帰国する人向けに、ザムザム水専用の受付窓口があったのには驚いた。荷物がいっぱいの人向けの、親切なサービスであり、箱に名前を書いて、さらに目立つ工夫をして、到着したところで受け取りが間違えないようにして預けた。

③任期延長の連絡
ドバイからジェッダに出張に来ている時に、突然、本社の社長秘書から電話があり、翌日の朝に社長から直々に電話があるので、受けるようにとの指示があった。
ジェッダは田舎町であり、日本との電話の通信状況が悪いので、ちょっと心配だった。
翌日、朝早起きをして、8時に待機をしていると、秘書から電話があり、すぐに社長に電話が代わり、長々と話しをした。その時は任期延長の話しは無かったが、一週間後に人事部から連絡があった。
人事部「あなたの出向延長が決まりましたので、連絡しました。」
JJ「ありがとうございます。え?そもそも自分は延長の希望を出してましたっけ???」と間抜けな質問をしてしまった。
人事部「そのように社長から聞いています。」
JJ「はぁ〜?」

出向先の会社からも連絡があり、本社の社長と何を話したのかを根掘り葉掘り聞かれた。しかし、延長の希望の有無の話しにはどういうわけか触れられなかった。

任期の延長手続きは粛々と進められ、日本に帰りそびれた(笑)

▪️アル・バラドのお店にて
仕事が終わり、最後の日に世界遺産の街のお店を巡ってみた。
仕立て屋やスパイス店やお菓子類、お土産のお店が並んでいる。
どこも同じような商品が並んでいるが、中世から抜け出てきたようなエキゾチックな珍しいものばかりであり、眺めていても飽きない。

ドバイに住んでいたので、お土産ものはドバイの下町で買えるものばかりが多く、そんなに買ってかえるものは少なかったが、メッカに巡礼は出来ないが、記念としてアラブ人の頭に被る赤白色のチェック柄のトーブを毎回買って帰るようにしていた。
それと、香木は中東の産物であり、オマーンのマスカトのマトラスークで買ったり、アル・バラドで見つけた香木もいいお土産になった。

タイムスリップした中世の時代に浸りたいなら、アル・バラドの街を彷徨うのはお勧めだ。観光ビザで行けるようになった、秘密の街、アル・バラドへ行きたくなっただろうか?本物の中世の都市、イエメンのサナアやシリアのダマスカスへ行くことができるまでは、ジェッダ訪問がいいだろう。(了)

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