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契約を終えて思ったこと(徳島宿プロジェクト)

和歌山県の蔓防が明けたことで、延び延びになっていた撮影仕事が再開し、宿プロジェクトも一旦中断。勝浦漁港まで生マグロの撮影に行ってきた。

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朝3時、まだ暗い中でマグロの水揚げが始まる。船からクレーンを使って吊り上げられるマグロ。雨の中カッパ姿の男達が忙しく動き回るのだが、聞こえてくるのは聞き慣れない言葉。どうやら近年マグロ船で働くのは、ほとんどがインドネシア人のようだ。あとから聞いたのだが、彼らの月給は7万円程度、それでもインドネシアの田舎町の平均的給料からすると10倍になるそうで、日本に来てマグロ船に乗れるのは選ばれたエリートなのだそうだ。過酷な日々を送っているんだろうけど、みんないい顔してたな。お金を稼ぐことだけがすべてじゃない、そんなプライドを感じた気がした。


撮影から戻った翌日が補助金申請の面談日だったので、朝から修正した事業計画書を手に隣町の商工会議所へ。細かい指摘はされたもののようやくOKが出る。やっとここまで漕ぎ着けたかと安心したのも束の間、計画書のページ数を数えていた相談員が、これ12ページもありますねと怪訝な顔。絶対というわけでは無いんですけど、規定では10ページ以内となっているので、削れるところは削って10ページに収めた方が印象が良いですよとのお言葉。内容はOK、けれど分量はオーバー、なんとも悩ましい〜〜〜。またまた頭の痛い宿題を抱えることになってしまった。

翌日から、撮影したマグロの映像編集をしながら、一方で計画書を修正。申請期限は3月24日ということで、計画書だけで無く、電子申請に必要な情報の入力や添付資料の作成にも着手。順調に情報入力を行っていたのだが、ある箇所で謎のエラーが発生、そこから先の画面へと進めなくなってしまった。

今回の補助金申請には、認定経営革新等支援機関と事業計画を策定するという決まりがあり、その支援機関のIDと名前を入力する箇所があるのだが、何回入力しても支援機関の認定有効期限が切れていますとの警告が出る。支援してもらっている商工会議所に問い合わせると2027年まで有効期限があるとのこと。

これってシステムエラーなのか・・・!?

補助金の事務局に電話すると、システム担当に問い合わせるので時間をくれとのこと。24日が締切だというのに、いつ解決するかは確約できないと言われ、目眩がした。運悪く世間は3連休、連休明けの22日に再度連絡をくれるとのことで、黙って待つしかないようだ。しかし、ここに来てこんな事になるなんて・・・

これ以上、進めようも無いので作業は諦め、お彼岸ということあり、昨日はお墓参りに行くことに。妻のそして自分の両親にも宿プロジェクトの報告をすることで、イライラした気持ちも幾分落ち着き、肩に入っていた力も少し抜けた感じがした。お墓参りって、心が整うものなんですね。

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墓参りの帰り、四天王寺さんの近くで「煩悩のかたまり」という何とも自分の心境にも重なる店名の蕎麦屋を見つけ、立ち寄ることに。手作り感満載の店内を一人で切り盛りする店主。昼は蕎麦屋、夜は蕎麦酒場となるようだ。かけ蕎麦と麦ご飯のセットが550円という安さなのだが、ゆずの香りが立った手打ち蕎麦はかなりイケる。生卵や鶏そぼろ、梅干しの他色んなトッピングが無造作に並んでおり、「お好きにどうぞ!」と仏像に張られた吹き出しの文字。夜もお酒はお客が作るシステムのようで、一人で一生懸命働く店主をお客さんが暖かく見守り手伝う、そんなシステムが成立しているようだ。お客さんをちゃんと信用しているというのが、客にも伝わるから変なトラブルにはならないんだろうな。なんかいいよな〜。


話は随分脱線してしまったけど、実はこのnoteでお知らせしていなかったことがある。それは、手付けだけを打って待ってもらっていた物件契約の話。

補助金申請といい、宿の改装費問題といい、まだまだ先は見えないことだらけなのだが、ひとつでも確かな物を作りたいとの思いもあり、実は今月の初め、契約を済ませていた。なかなかお祝いするような気分にはなれなかったけど、妻にこれもひとつ前進した証なんだと言われ、その日はささやかに冷凍ピザと白ワインで乾杯。

事業計画書を何度も書き直す中で、ビジネスとして成立しているかみたいな思考に支配されてしまって、プロジェクトを進めることがいつの間にか楽しくなくなっていた。せっかく契約して物件の鍵をもらったというのに気分は上がらず、このところ何だかモヤモヤした気持ちを抱えていたけれど、マグロ船に乗るインドネシア人や、蕎麦屋の店主など、キラキラと輝く瞳で働く人々の姿に触れ、つまらぬ事でくよくよしている自分がバカらしくなった。

宿となる物件を手に入れた訳だし、こうあるべき、あああるべきなんて考えは捨てて、自分がワクワクするようなプロジェクトにして行こう。今一度、何のために宿を立ち上げるのかという原点に立ち戻って・・・。

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