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社会的インパクトの勉強会

2024-04-18 新しい学び方、働き方を模索する中で、社会との連携や課題解決に向けた実践やアウトカムの表現と可視化について理解を深めることを目的に、社会的インパクトの勉強会を開催しました。

すくらむ・代表の久保匠さんを講師にお招きし、室蘭工業大学、伊達信用金庫、伊達市の関係者15名が参加。久保さんは、ソーシャルビジネスのための財務基盤づくり、社会的インパクトの表現などの実践を軸に多方面で活躍されている方。

室蘭工業大学からは市村恒士さん(建築学ユニット、専門:空間デザイン)が工大カフェプロジェクトのとりくみを、山田祥子さん(言語科学・国際交流ユニット、専門:言語学)が社会的インパクトタスクフォースの活動について話題提供。室蘭工業大学キャンパス内にあるカフェTENTOは、工大の学生や教職員だけでなく地元の人も利用できるカフェです(以下工大カフェ)。市村さんからはカフェのオープン前から後までのプロセスのなかで教職員と学生と地域住民が参加してきたこと、経済的価値だけではなく社会的価値をつくることを目標にしてきたことを紹介してもらいました。そのプロセスからNPOの起ち上げにも展開し、人のつながりが生まれたことが大きく、学生が参加することで地元の人との接点が生まれたことをお話いただきました。

社会的インパクトタスクフォースは、室蘭工業大学MONOづくりみらい共創機構を構成するタスクフォースのひとつです。山田さんからは、社会的インパクト・ガイドブックの作成をとおして、教員が自身の研究と社会とのつながりを意識して社会的インパクトを表現できるようにすることをめざすとりくみや、社会的インパクトの指標となる大学独自のフレームワークについて紹介していただきました。社会課題の解決に向けたとりくみには、そのための財務基盤をどうつくるか、社会的インパクトをどう評価するか求められます。久保さんからは非営利セクターのなかでも利益を出して社会課題を解決する事業型NPOが資金調達するための枠組みとなる「ロジックモデル」について紹介してもらいました。ロジックモデルは、アウトプットOutput(どれだけ活動の回数をこなしたかなど)にとどまらず、アウトカムOutcome(市民の意識がどう変化したかなど)という社会的インパクトを生み出すためのフレームワークです。民間団体の事業には前例がない課題解決のとりくみや挑戦的なとりくみの資金をどう調達するかが問われます。そうした事業の資金調達の助けとなるのがソーシャルインパクトボンド(SIB)です。SIBは、民間団体が投資家から資金を調達してサービスを提供して、その成果に応じて政府や自治体が報酬を支払うしくみです。北海道で初めてSIBを実践したNPOを事例に挙げてわかりやすくレクチャーしてもらいました。

参加者どうしのディスカッションでは、大学と社会をつなぐ入り口をどうつくるか、誰もが参加しやすい大きなビジョンをどのように具体的な事業計画として形にできるか、社会と連携するとりくみをより広く知ってもらうには、などについて意見が交わされました。大学と地域と行政との連携、NPOと投資家と行政との連携、行政組織のなかの異なる部門間の連携、営利セクターと非営利セクターとの連携の可能性と課題について考える機会となりました。次はだてプロでロジックモデルを作成していきます。今後も久保さんとご一緒する機会が増えそうで楽しみです。(石橋・山中)

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