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宇都宮ブレックス 22-23シーズン10月 雑感まとめ

沖縄でフルボッコにされて始まった22-23シーズンの宇都宮ブレックス。ブレックスファンも他チームのブースターもここまでブレックスが酷いと思っていなかったかもしれない。そんな22-23シーズン10月の宇都宮ブレックスをざっくばらんに振り返っておく。

10月の成績とCS進出

10月:3勝6敗 .333 東地区6位

開幕3連敗から始まった今シーズンは、17-18シーズンに次ぐ最悪のスタートになってしまった。ただ、10月負けた相手は琉球、千葉J、A東京といった優勝候補だと割り切ることもできるかなと。逆に言えば、現状ブレックスの実力は優勝候補ではないとも言えてしまいますが。後ほど触れますが、いかんせんオフェンスが厳しすぎる。

10月の勝率.333からCSに行けるのか?

歴代CS進出チームと9,10月の成績

Bリーグが始まってからCS進出したチームの9,10月の成績に目を向けてみる。CSに進出した8チーム×過去5シーズン、9,10月の勝率が5割未満だったチームは、5チームしか無い。そのうち勝率.333以下からCSに進出したチームは1チームのみで、17-18シーズンのブレックスだけ。

17-18シーズンのブレックスは9月,10月で3勝8敗の勝率.273と出遅れた。初年度優勝の鍵だった2ndユニットの退団、ファイナルで最多得点をマークしたジェフ・ギブスの長期離脱、HCの采配が…などなど。要因はたくさんあったが、後半スパートを掛けてWC下位に滑り込んだ。今シーズンもWCになんとか滑り込めるかというのが、現状のブレックスの実力だと思う。

ただし、個人的には17-18シーズンよりも厳しいと予想している。先日のオンラインイベントで比江島が「安牌のチームが無くなった」的な発言をしていたが、どのチームも実力が上がっていて魅力的なチームが増えている。特にスカウティングと遂行力という面では、5年前に比べると段違いだと感じる。他にも理由として、17-18シーズンは低迷した原因がすぐにチームを去ったこと(言い方悪くて申し訳ない)シーズン途中から優勝した時の主力が2人戻ってきたなど人的要因のプラスも大きかった。

今シーズンは人を変えることは難しいと思ったいたのだが、マブンガの契約解除に踏み切ったブレックス(行き当たりばったり感はあるけど)。兎にも角にも、ここからブレックスがCS進出するということは、17-18シーズンと同じくらい難しいチャレンジだということを理解しておくべきだと思う。


10月を象徴するスタッツ

3勝6敗と負け越したブレックスのスタッツは言わずもがな良くない数字が並んでいる。本当に良くない。

オフェンススタッツ

皆さんもお察しの通り、オフェンスが良くないここまでのブレックス。それがスタッツにも出ております。ワースト3のオフェンススタッツを並べていきます。心してご覧下さい。

平均得点:66.8(最下位)
FGM:24.3(最下位)
FGA:59.3(23位)
FG%:41.01%(23位)
2PM:17.3(22位)
2PA:36.3(22位)
2P%:47.71%(22位)
3PM:7.0(21位タイ)
IPM(ペイント内得点):13.3(最下位)
IPA:26.7(22位)
IP%:50.00%(最下位)
FT%:68.03%(22位)

AST:16.8(最下位)
速攻:5.8(23位)
TOVからの得点:8.9(最下位)
スターティング5の平均得点:46.0(22位)
二桁得点者:2.9(23位)
eFG%:46.91%(最下位)
TS%:50.19%(最下位)
ORtg:84.33(23位)
Poss:79.19(最下位)

22-23シーズンのオフェンススタッツでワースト3の項目を抜粋

一応言っておくと、ブレックスはリーグで一番ペースが遅いチームなので、攻める回数も他と比べて少ないです。とはいえ、それは昨シーズンも同じだったので言い訳にはならないかなと。最近はみんなフリースロー成功率をネタにしているけど、それと同等に悪いスタッツがこんなにあるのは流石に笑えないんだよなぁ…

ペイント内得点

IPM:18.9(5位)→13.3(最下位)
IPA:33.0(3位)→26.7(22位)
IP%:57.33%(8位)→50.00%(最下位)

昨シーズン→今シーズン

上記の中で、あえて気になる項目をあげるとすればペイント内の得点。昨シーズンはスコットとフォトゥを中心に、CSでは比江島と鵤も高確率で沈めたことが優勝にも繋がった。それがここまでリーグ最悪の数字になってしまっている。強みだった部分を消そうとするのは対戦相手からすると当たり前だし、名前を出した鵤以外の3人に共通して言えるのが、ペイント内の試投数も成功数も減っており、数だけでなくペイント内シュートの試投割合が減っている。これらから見ても、今シーズンは思うようにインサイドを攻められていないと言えるだろう。

TOVからの得点

TOVからの得点:16.0(6位)→8.9(最下位)
スティール:6.9(11位)→5.0(最下位)
opp TOV:13.2(6位)→10.1(最下位)
opp TOV%:16.4%(4位)→12.72%(22位)

昨シーズン→今シーズン

上記の中で、もう一つ気になる項目がTOVからの得点。昨シーズンのブレックスは、スティールはリーグ中位ではあるものの、遅いペースに持ち込みながら、じわりじわりと首を絞めるようなディフェンスで相手のTOVを誘発してきた。井口さんがよく口にしているショットクロックバイオレーションもそれに当たる。そこから得点を重ねることが出来たのも昨シーズン大きかった。

今シーズンはそもそも相手にTOVを誘発させることが出来ていない。昨シーズンリーグトップクラスだった項目がワースト3だ。TOVを奪えないのだから、そこからの得点も生まれないというわけだ。

ディフェンススタッツ

失点:69.1(1位)→74.6(8位タイ)
DRtg:86.3(1位)→93.8(17位)

昨シーズン→今シーズン

オフェンスはそこまで特出していなかったものの、リーグ最強のディフェンスがベースにあった安齋政権。それほどメンバーが変わっていないのだが、ご覧の通りだ。平均失点は中の上ではあるものの、DRtgで見てみるとボトムハーフに入ってしまっている。ディフェンスの質も良くない。昨シーズン優勝に貢献した2人が抜けた影響もあると思うし、オフェンスがうまく行かないことがディフェンスにも影響していると思う。問題は山積みである。


10月の個人スタッツと雑感

スタメン組→契約継続ベンチ組→新加入組→契約解除組という流れで書いていく。良いことばかり書いてるわけじゃないので、見たくなかったら次へ進んでください。

ジョシュ・スコット

Bリーグ公式よりショットチャート

出来ることのバリエーションは多くはないけど、出来ることに関してはBリーグトップクラスのスコット。プレータイム自体は昨シーズンより増えているものの、得点が約3点減っており警戒されている感じが強い。スコットに持たせて1on1をさせるにしてもフィジカルに守られて遠くで持たされたり、ダブルチームされた時にボールが止まってしまうので、そこのカウンターは準備して欲しいところ。ただ、オフェンスが手詰まった時のミドルレンジを高確率で決めてくれているのはすごく助かる。怪我だけは本当にやめてクレメンス。

アイザック・フォトゥ

Bリーグ公式よりショットチャート

実はチーム内得点王なフォトゥ。プレータイムが4分ほど伸びているが、スタッツ的には昨シーズンと同じくらいの活躍を見せている。開幕当初は昨シーズンよりもスリーの試投数が増えるんじゃないかなと思ってみていたのだが、直近5試合で1/2とあまり打っていない。もう少しリバウンド頑張って。スコット同様、怪我だけはやめてクレメンス。

遠藤 祐亮

Bリーグ公式よりショットチャート

個人的に一番悪い意味で気になってしまうのが遠藤。試投数の割にはシュート効率が悪く、ディフェンスでも簡単に抜かれたり裏取られたりと、らしくないプレーも散見する。特に気になる点としては、あれだけハンドラーをする機会が多いにも関わらず、ペイント内シュートの試投数が0.44本でキャリアワースト。ペイント内に入れていないし、入れてもシュートが無いので怖くない。遠藤の数字が伸びてこないと、ブレックスのCS進出も危うい。攻守ともに衰えが来てるのかなと感じてしまうここまで。

鵤 誠司

Bリーグ公式よりショットチャート

開幕当初は心配になるようなTOVも多かったが、徐々にらしさを取り戻してきた感のある鵤。彼もプレータイムが4分ほど伸びている。欲を言えばもう少し得点に絡んで欲しいのだが、チームの現状として2ndのPGが苦しいので、とりあえず怪我せずに長い時間プレーして欲しいという気持ちの方が大きい。

比江島 慎

Bリーグ公式よりショットチャート

出ている時と出ていない時のオフェンスでは雲泥の差だとはっきりわかるほど比江島の存在は特別。それは対戦相手からしても同じで、フィジカルで削ったり、ハードショウに出てボールを離させたりと、比江島に好きにやらせないことを徹底している。千葉Jが比江島にヴィック・ローを付けたのは驚いた。その中でも、エースとしての活躍を見せているのは流石である。代表活動を途中で抜けるほどコンディションも良くなかったので、CSでの鵤のように比江島を助ける存在が出てきて欲しいところ。

田臥 勇太

Bリーグ公式よりショットチャート

ここからはベンチメンバー。稼働率自体は低いものの、コートに出た時の存在感たるや。コートに出ただけで空気を変えてくれる田臥の偉大さを感じさせてくれた10月でした。

竹内 公輔

Bリーグ公式よりショットチャート

今シーズンも難しい役回りの中で、コートに出たら当たり前に自分の役割を全うしている。ディフェンスとリバウンドでの貢献は大きいけど、オフェンスではチームとしてもう少し上手に使ってあげるともっと良くなると思う。

荒谷 裕秀

Bリーグ公式よりショットチャート

昨シーズン後半の活躍からも今シーズン期待していたファンも多かったはず。開幕節の琉球戦でチームが悪い中でも果敢にプレーしていた荒谷だったが、コンディション不良で大阪戦を欠場してからはプレータイムも少なく良くない。腰を痛めていたということなので、しっかり治療して繰り返してほしくない。失敗を恐れずプレーしてチームを引っ張る存在であってほしいです。

渡邉 裕規

Bリーグ公式よりショットチャート

テーブスが抜けて2ndユニットのPGに返り咲いたナベですが、良くも悪くも想像通りかなというのが正直なところ。マブンガもいなくなってしまったし、PGとしてまずは最低限ボール運びはしっかりやって欲しいです。

喜多川 修平

Bリーグ公式よりショットチャート

こちらも良くも悪くも想像通りの喜多川。琉球戦のようにPnR主体ではなく、スクリーンなどでオープンにしてもらうようなシチュエーションを作れれば持ち味を発揮してくれていたが、PnRが主体だと厳しいと言わざる得ないかなと。

笠井 康平

Bリーグ公式よりショットチャート

開幕前は以前の田原枠だと思っていたのだが、まさかここまでベンチに入れない試合が続くのは予想外だった。これまでの実績から見てもテーブスの穴は埋められないとは思っていたけど、ここまで試合に絡めないのは厳しいねぇ…11月はプレーする姿を見たいです。

ヤン・ジェミン

Bリーグ公式よりショットチャート

ブレックスの数少ない明るい話題がマンネの活躍だろう。負傷して48秒で退いた千葉J戦を除けば平均17分弱と信州時代に比べてもチャンスを勝ち取っている。ジェミンは良くも悪くも頑張りすぎるくらいハードにプレーしてくれる。特にリングにアタック出来るのでブレックスには大きすぎる存在。今後壁にぶつかりながらも良くなると思うし、試合によってはクロージングラインナップに入る試合も増えてくるんじゃないかと期待してます。

ジュリアン・マブンガ

Bリーグ公式よりショットチャート

早くもチームを去ることになったマブンガ。ブレックスにフィットした、していないの天秤にかける前の段階で契約解除になってしまったなぁという印象。契約解除の決め手が何かはわからないけど、夏に膝を手術したということで、コンディションは良くなかったし痛々しくて見ていて辛かった。トップコンディションのマブンガの恐ろしさを知っているからこそ余計に。
スタッツ的なことを話すと、キャリアワーストのオンパレードだったがUSG%(マブンガが出ている時間帯に、マブンガでオフェンスが終わる割合)は34.26%とめちゃくちゃ高かった。それだけ2ndユニットの時間帯を引っ張ろうとしていた証拠なのかなと。うまくいく時間は短かったけど、マブンガなりにチームにコミットしていたと思う。膝の怪我で選手生命を絶たれた選手も多いので、まずは膝を万全な状態に戻して欲しい。また彼のプレーを日本で見れますように。


これから期待したいこと

11,12月のブレックスの対戦相手

11月と12月で計16試合がある。CSに出場するならば、年内で貯金を作っておきたいのが本音である。とはいえ、マブンガに変わる新外国籍選手の加入のリリースもこのnoteを書き終えた時点では出てないし、他のチームの状況から見ても契約のリリースから合流には1ヶ月ほどかかってもおかしくない状況。その間で短期契約の外国籍選手を獲得すると思うが、本命の外国籍選手が加わってチームを構築していくには時間が無さ過ぎる。そんな状況でも期待したいことをいくつか書いてみる。

オフェンスなんとかしないと

オフェンスを改善しないと勝率は上がらないと思うし、オフェンスが良くなれば相乗効果でディフェンスも良くなると思う。

今シーズンのブレックスはHCが変わっても昨シーズンと継続していることが多く、昨シーズンから同じサインでオフェンスをセットすることも多いので、相手からしてみたら対策がしやすい気がする。何年か前のアルバルクも同じような状況なのかなと。

例えば開幕戦で戦った琉球は、ブレックスのスペインPnRに対してのスイッチ対応は完璧でほとんど崩すことは出来ずお手上げだったし、ローローの合わせやディープシールに対してもバンプして少しでもポジション取りを遅らせて遠い位置でボールを持たせようとしたりと、ブレックスの守り方のテンプレートが出来つつあるのかなと感じている。そんな中でも違いを作れる比江島や、フィニッシュの種類が豊富なフォトゥは流石としか言いようがない(一旦フリースローは置いておこう)。少なくとも今挙げた、スペインPnRやポストプレーに対するアクションやカウンターは用意しても良い気がしている(しないと厳しくない?)何かしら変化が見れたら良いなぁ。

▲田臥の3Pに目が行きがちだけど、その前の荒谷のカッティングがあってこそのシーン。こういう動きがブレックスにはあまりない。

2ndユニットどうするか問題

弱点になってしまったPG
まずシンプルにテーブスの抜けた穴が痛い、本当に痛い。正直テーブスのハイライトが流れてくる度に嬉しくもあり悲しくもなる10月だった。それだけ力のある選手がいなくなったということだ。

彼がいなくなり二番手のPGになったナベは、ブレックスで現状最も効率の悪いオフェンスプレイヤーでボール運びすら危なっかしい。田臥は出れば仕事をしてくれているが42歳なので稼働率は低い。新加入の笠井は彼らよりも序列は下でベンチにすら入れていない。ここまでマブンガがコントロールする時間も長かったが、いなくなってしまったので年内どうするかは見もの。何か変化を起こさないといけないタイミングではあると思うので、笠井にチャンスを与えても良いのではないかと思う。インカレが終わったら特別指定選手でPGを獲りたいところ。今シーズンは即戦力級が欲しい。そんな選手がいるのかすらわからないけど。

若者に期待したい
23歳の荒谷とジェミン。現状2人を積極的に起用していくことが今後のブレックスを考えても良いのかなと思っています。2人に共通して言えるのがペイント内にアタックしていく力があること。あまり良くないプレーをすることもあるかもしれないが、そこは成長痛だと思って個人的には見守りたい。17-18シーズンの遠藤のように未来に繋がるプレーを。

どんなタイプの外国籍選手を獲得するのか?

正直マブンガが悪いというよりは、夏に膝を手術したばかりの選手を獲得したフロントが良くなかったと言わざる得ない。獲得の意図はわからなくもないけど。Bリーグでここまでの状態の悪い選手が移籍してきた例は初めて見るかもしれない。

そんなフロントがどんな外国籍選手を新たに連れてくるのかは注目である。ただ、どの国もシーズンが開幕したばかりなので、現在フリーの選手となると何か訳ありの可能性もあるかもしれない。

マブンガと同じようなオールラウンダータイプを連れて来ることができれば、元々やろうとしていたことを継続できるだろう。日本でのプレー経験がある選手で思い付いたのは、滋賀や熊本でプレーしていたジョーダン・ハミルトンくらいだが。彼は現在フリーらしい。

2m以上あるオールラウンダータイプの選手を獲れないのならば、チェイス・フィーラーのようなストレッチ4タイプを獲得することも考えられるかなと。マブンガの友達で三河や名古屋Dでプレーしたシェーン・ウィティングトンがフリーだが、出来れば機動力のあるタイプが理想だろうか。調べてみるとB1でプレーした外国籍選手はレベルが上ってきているので、日本を出てもみんなちゃんと移籍先があるようだ。なので海外から連れてくるパターンが現実的かな。

最低限の条件は…

・2m以上で機動力がある
・攻守にハッスルできる
・シュートレンジが広い
・ナイスガイ
・プレーメイク出来るなら尚良

というところか。とにかく早く後釜が決まって欲しい。他のチームの動向を見ても決まってから合流まで1ヶ月ほど掛かっているのでなる早で…

▲こんなツイートがありました…

余談だが、最近NBAのスター選手だったドワイト・ハワードが台湾のT1リーグに移籍したことが一部のバスケファンで話題になった。ハワードの契約金は100万ドル以上と報じられているようだ。140円換算で1億4000万円以上ということだが、割とBリーグもチャンスあるんじゃね?と思ったし、NBAのファンにもリーチできるんじゃないかと夢を見てしまった。あれ?カイル・オクイン?


おわりに

はっきり言ってしまえば、全然準備が出来てなかったなというのがここまでのブレックス。10月で見つかった課題を3週間でいくつか潰せてると良いのだが…

マブンガが早々にいなくなってしまったけど、ここまでプレシーズンだったと割り切るしかない。10月悪かったからこそ、ここから上がるのみ。苦しい道のりだが、ちゃんと見届けようと思う。

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このnoteの反応が悪くなかったら次はオールスター辺りか2月のバイウィーク辺りに、定点観測的noteを書けたらなと思っています。反応が悪かったら多分書きません。新加入の外国籍選手については情報まとめるかもしれません。

読んでいただきありがとうございました!

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