7月17日

今日はコインランドリーに行った。

うちのアパートにはベランダが無くて大きい洗濯物が干せないので、布団だとか、シーツだとか、大きい洗濯物がある時はコインランドリーに行く。
私生活がまるで廃人の私は、つい最近までこたつの布団を出しっぱなしにしていたのだけれど、気がつくと2017年が半分終わっていたので、重い腰を上げてこたつの布団を洗濯に行ったのだった。

コインランドリーはクーラーがついておらず、エアコン自体はあるのにリモコンが設置されていなくて利用者が勝手につけられないようになっていたので灼熱地獄だった。私は舌打ちをしながら布団と、ついでに洗おうと持って来たいくつかの洗濯物を洗濯機に放り込んだ。お金を入れようと財布を見たら小銭が無かったので、両替機の前に行ったタイミングでブウンと音がしてコインランドリーの自動ドアが開いた。反射的にそちらを見ると、入ってきたのはあろうことか昔付き合っていた男だった。

近所に住んでいるのは分かっていたがばったり会ったことなどなかったので、情けないことに心臓が止まりそうになるくらい驚いた。咄嗟に、彼の名前を「のっ‥」と口に出したところで(のぶゆきという名前だったので)後ろにいる女の存在に気付いた。
すらっとした色白のきれいな人で、なんかきれいな白いシャツに、きれいな黒っぽいスカートを履いていて、この暑いのにロングヘアの髪を束ねもせず、(でも汗かいてない)赤いきれいな唇で、水色の棒アイスを齧っていた。

「知り合い?」
とその女が聞いて、私の昔の男はばつが悪そうにああとかおおとかそういう声を出し、そういえば私はこの人の、こういう時に全然堂々と振る舞ってくれないところがとても嫌いだったなということを思い出した。

すっかり虫の居所が悪くなった私は素早く両替を済まし、洗濯機を回してコインランドリーを出た。
出がけに耳に入ってきた彼女の楽しそうな話し声に意味もなく傷ついて、一度も振り返らずに近くのコンビニに急いだ。
家を出た時は一面曇り空だったのに、ふと見上げるときれいな青い空が雲の間からのぞいていた。

コンビニに着いた時点で私は汗だくになっていて、脇目もふらずアイスクリーム売り場へと急ぎ、なんとなく、さっきの彼女と同じ水色の棒アイスを買った。
彼の家はこの近所なので、十中八九コインランドリーの前にここのコンビニに寄ったんだろうと思った。

水色の棒アイスは、信じられないくらい冷たくて美味しくて、噛んだ瞬間に身体中が歓喜に震えるくらいだった。普段アイスってあんまり食べないけれど、こんなにおいしいなら毎日食べたいなぁ、何か買って帰ろうかなぁと思った。

そしてコンビニの前でひとりアイスを食べながら、彼は今、コインランドリーに来るのにもあんなきちんときれいにして来る女の子と付き合ってるんだなぁとぼんやり思った。

#ひんやりフード #嘘日記

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