大阪府知事、吉村知事の発言について【イソジン、ポビドンヨード】

こんばんわ、ケイタです。


今日は市販薬解説の予定を変更して、8月4日に大阪府知事である吉村洋文氏が会見で発表した内容についての私見を書きたいと思います。


▼会見内容


会見で以下のフリップを使って知事が発表を行いました。

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報道を見る限り、これに沿って吉村氏がセンセーショナルに発表をしたように見受けられます。


▼何が問題だったか


個人的な見解として、問題点は以下の通りです。


①仮説段階で発表を行ったこと
②リスク(副作用)を述べずベネフィット(効能)のみ発表したこと
③市販薬だけでなく医療用医薬品としても使用頻度が高く、品薄状態の成分を発表したこと
④事前に医療機関や流通業者等に連絡なく発表を行ったこと


以上です。


順に説明します。


▼仮説段階で発表を行ったこと


今回の発表はあくまで仮説です。


医薬品の効能については今年になってからの新型コロナウィルスによるコロナ禍でいくつか報道されている通り、抗インフルエンザ薬が候補に上がっては消えていきました。



この際にテストとしてサンプルを取るのですが、方法は「該当成分」と「プラセボ群」を比較して調べます。


本人に知らせずに「成分入り」か「成分なし」の錠剤を飲ませて、効くかどうか調べんるんですね。


コロナ禍初期に話題になった抗インフルエンザ薬「レムデシビル」では国際的に計6000人ほどのサンプルが使われました。


以下のリンクが分かりやすいと思います。



合計で10件の臨床試験が行われ、「効果なし」との結論が出た訳です。


今回の大阪の例ではフリップ①にありますが、41人のデータ1件のみです。圧倒的に少ないのです。


サンプルとしては少ない上に、「ポビドンヨードでのうがい」と比較したのが「うがい無し」であることが個人的に疑問です。


ポビドンヨードの有効性を証明するならば「水(水道水)」での比較データが必要だったのでは?


これではポビドンヨードでなく、単に「うがいの有効性」でしかない可能性があります。


▼リスク(副作用)を述べずベネフィット(効能)のみ発表したこと


次に、リスクの話をしなかった点。


医薬品を勧めるのであれば、リスクを伝えなければいけません。薬と毒は表裏一体です。


ポビドンヨードの副作用としては「甲状腺機能障害」「妊婦」「ヨードアレルギー」が挙げられます。


甲状腺機能障害の方、自覚していない軽微な症状の方を入れるとかなりの人数になるはずです。


今回の会見を観て誤解し、フリップ通りに1日4回毎日ポビドンヨードを使ってうがいをしたら…?


その方が自身の甲状腺機能障害に気付いていなかったら…?


妊婦の方も、コロナ罹患を恐れて使ってしまう方がいるでしょう。


ヨードアレルギーの方へ注意喚起しましたか?


使用者は、僕ら専門家から見ても驚くような誤解をして、誤った使用をする事があります。


吉村氏はそいういった考えが少しでもあったか?


会見とその後のコメントから、僕にはあったようには見えませんでした。


▼市販薬だけでなく医療用医薬品としても使用頻度が高く、品薄状態の成分を発表したこと


ポビドンヨードはうがい薬の中でも販売数が最も大きい成分です。


しかしコロナ禍の中で品薄状態でした。


当然、病院でも処方されますし外科での治療(手術含む)にも使われます。


万が一、自らの会見が原因で供給が滞るような状態になったら…とは考えなかったのでしょうか。


現に、正に「瞬殺」と言っていい程の勢いで、店頭からポビドンヨード製剤が消えてしまいました。


個人的な話ですが、僕の店舗は平日1時間当たり20人程度の客数の小さなお店です。こんなお店で2時間で130個程のポビドンヨード製剤が売れました(15時過ぎから個数制限)。


店頭はパニックでした。


これについて恨みつらみを言うつもりはありません。ドラッグストアの責務ですし前例もありますから。


ただ、前例がある中にこうなる予想はできなかったのでしょうか?


モノがなければ、吉村氏が守るべき大阪府民が使うこともできません。



▼事前に医療機関や流通業者等に連絡なく発表を行ったこと


普通のメーカーですら、商品について何かしら動きがある時は小売業や問屋に連絡を行い、準備をさせます。


そういった事もなく、突然発表をすれば店頭に人が殺到し欠品するとは考えられなかったのでしょうか?


店頭に人が殺到すれば3密を避けられません。


吉村氏は「大阪府民を守る」という大義を背負い、周囲が見えてなかったとしか思えません。



▼ではどうすれば良かったか


これは正解がないので分かりません。


ただし僕が吉村氏の立場なら

①サンプルデータを増やす(人数、件数共に)
②発表は同席の医師から行う
③事前に在庫を確保させ、周知させてから発表する
④そもそも発表は小さくして病院での対応、軽症者への伝達に留めて市場の混乱を防ぐ


などが考えられます。


僕は政治的な思想で個人を叩く事は嫌いです。

今回は仕事に関わる事ですし、発表の方法が余りにも稚拙と感じたためTwitterでも複数ツイートしました。


僕のツイートで不快な思いをされた方もいるかと思いますので、この場でお詫びします。申し訳ありませんでした。



最後に、下記の医師の方の記事が非常に分かりやすいのでリンクを是非読んで下さい。



ではまた。


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