#4 久しぶりの渡英

(某芸能人たちのように)頻繁に渡英してInstagramに画像をアップする家庭もあれば、我が家のように共働きで必死に学費を稼いで、稼いだ資金を子どもたちに全振りしている家庭もある。でも、英国ボーディングスクールではPTA活動もないので、言い方は失礼かもしれないが時間とお金を持て余している方たちがいろいろな企画を運営してくれたり学校のイベントに協力してくれたりしてくれているおかげで、我が家はほとんど学校運営に関わることがなく過ごしている。学校のことでなにかを強制されたことはないので、日本の学校に通わせていたことを考えると共働きであっても何の問題もないことが心の平安をもたらせてくれるだけでもありがたいと思っている。

まだ子どもたちは幼いこともあるのか、親は学校の行事には参加して欲しいと言われている。もちろん、両親とも仕事があるということを理解しているようだけれど、それでも大きなイベントには来て欲しいと思ってくれる年齢である。私が小学生の高学年のときには、すでに親が学校に来ること自体が恥ずかしいと思っていたけれど、我々はそういう企画にほとんど来ない両親であるため、子どもとしてはたまには来て欲しいのだろうということも理解できる。

デイスチューデント(寄宿舎に入っていない学生)の親はすべてのイベントに参加している家庭もあるし、フルボーダー(ずっと寄宿舎にいる学生)であっても日本よりも遠くに住む両親がことあるごとに来る家庭もあり、お金と時間があるということは自由を享受できるのだと痛感してしまう。資本主義の縮図を学校という小さな社会で考えてしまうが、それでもよほどのことがなければ両親がどんな仕事をしているかということが耳に入ることはないので、大人の社会がしっかりしているし、お互いを詮索することもない。

長男は特に何も言わないけれど(そもそも何も考えていない可能性が高い)、長女は両親がイベントに来て欲しいと思っているようだ。特にスポーツ大会とクリスマス前のチャリティイベントである。母親である妻は仕事の合間を見計らって学校のイベントにたまには顔を出すが、私はそもそもこの数年間で2回ほどしか学校に顔を出していない。そういうわけで私の父親としての存在感はかなり薄いようで、本当に実在しているのかとしょっちゅう友人にからかわれているようだ。両親も仕事上離れ離れになっている上、子どもたちも離れているので我が家の構成は相当いびつに映っているようである。家庭内ディアスポラの様相を呈している我が家は、長女長男の友人からは謎の家庭と思われてもしかたないわけである。

こんな我が家であるが、久しぶりに無理やり私の休暇が取れそう、というか無理矢理に休暇にして学校の行事に参加することにした。

私が参加するのは、長女がもっとも楽しみにしているクリスマスチャリティーイベントで、クリスマス休暇の始まる前日にわりと盛大に行われるので参加する家庭は多い。もっとも、ほとんどの家庭はその日にボーディングハウス(寄宿舎)から子どもたちを引き取るので、そのついでにチャリティイベントに参加する。

長女が入学した年におこなわれたクリスマスチャリティーに参加したのを最後に、4年ぶり2回目の参加である。4年前は私が学生であったためお金の自由はないけれど時間的自由はあったので参加できたけれど、その後は時間もなく、さらにcovidの影響で参加できなくなっていた。

このチャリティーイベントがまた英国流というか、他の学校はどうなっているのかわからないけれど、親がお酒を飲みながらオークションや子どもたちが開催するお店を手伝ったりする。なかなかカオスなイベントになって笑えてくる。誰からか持ち込まれた大量のビールやワイン、その他お酒が飲みきれないほど並べられ、親や先生たちはお酒を片手におしゃべりをする。もちろん、そのお酒は無償で親から提供されているし、どうやらワイナリーを持っている家族が提供しているのではという噂はあるけれど誰も詮索しない。

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長男長女は英国ボーディングスクール在籍中。子どもに選択肢を与えられるように。

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