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認知調整法メカニズム

今回は改めてPCRTの認知調整法の治療メカニズムを解説し、ご利用の価値をお伝えできればと考えています。当院の治療法には、大きく分けて「ハード面調整法」と「ソフト面調整法」があります。「ハード面調整法」は、肉体面の誤作動信号を調整し、身体の働きの悪いところを改善しています。「ソフト面調整法」は、誤作動信号に条件付けされている無意識的な心の信号を引き出して調整を行います。無意識の心の信号に関係するキーワードのチャートを使ったり、誤作動パターンの内容を認識していただくために質問することもあります。

いわゆる「ストレス」というメンタル的な事柄が身体に影響を及ぼすということは広く知られていますが、言葉でも表現できる分かりやすいストレスはあまり身体に悪影響を与えません。むしろ、何かモヤモヤした内容だったり、肯定的な感情とは裏腹に、もう一人の自分が否定していたりといった自己矛盾的な内容だったりすることが多く、普段意識していない事柄で、言語化することが難しい内容だったりします。

誤作動信号を健全な信号へと切り替える調整を行なった後は、患者さんに誤作動に関係していた内容を覚えていただくように促します。誤作動信号を引き起こしていたので、そのことは考えない方がいいのではと思われる傾向がありますが、心の奥に隠れていた信号を引き出して新しい神経回路が創られる様に調整していますので、その内容を「記憶」することが大切です。「記憶」するということは、新しい神経回路を構築させるということに繋がり、誤作動神経回路から健全な神経回路に切り替えるために必要なプロセスになるのです。

ブログ用認知調整法油絵

また、否定的な感情や信念が関係していた場合、肯定的な考え方に切り替えた方がいいのではと思われる方も少なくはありません。ポジティブ思考で症状が改善すればいいのですが、それほど簡単ではないことが多い様です。以前は、ネガティブ思考が心身に影響を及ぼしているのであれば、ポジティブ思考に切り替えるように促す施術も行ってきました。確かに、場合によっては問題に対する解釈を変えた方がいい場合もあります。長年の心身相関治療の臨床経験で効果的だと思うのは、誤作動に関係していた無意識的な心の内容を肯定も否定もせずに、ただ観察して記憶することです。

もしも、考え方や解釈の仕方を変えることが必要であれば、脳は自然に答えを導き出してくれます。頭(理性)で考えるよりも自然に湧き出た無意識的な感覚の方が、身体には合うようです。つまり、最善の答えはあなたの脳(無意識)が知っているということです。施術者のアドバイスが効果的な場合もありますが、自分自身で気づきを得る方がパワフルな影響を及ぼしてくれます。

多くの人たちが慢性症状に悩まされています。慢性症状を引き起こすメカニズムは科学的に分かっても、それを引き起こす本質的な原因は最先端の医学でも分からないことばかりです。しかし、長年の臨床経験を通じて、心と身体の関係性や意識と無意識の不調和が様々な慢性的な病気を引き起こしているということを私は確信しています。心身の健康を保つために、自分の心の奥にある無意識的な心の動きを顕在化して観察する訓練はお勧めです。そして、更に大切なことは無意識的な心の動きに「良い悪い」の判断をしないという心の訓練も必要だと思います。


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