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ネビュラチェーンはやばい

ニシノさん:

ワイヤーが絡んだあと、じわじわ恐怖がおそってくるときの声が、

『うわぁっ!』

じゃなくて、

『わ、いやぁっ!』

だとよかったですね。10点減点です。


さて、シャイナさんのそばにはたまにアッペンデックスのキキってのがいたと記憶しているんですけれども。子どものキャラでね。おいらはアッペンデックスのキキ! みたいに名乗りをあげるわけです。いっちょまえに。でも、弱い。子どもだからしかたない。

「アッペンデックスとはよく言ったものさ、お前は”おまけ”だよ」みたいなことを言われて、バカにされていました。なぜかこのシーンをよく覚えています。

のちに医療の世界でappendixという言葉をみるたびに、毎回、聖闘士星矢のことを思い出したものです。虫垂も、精巣垂も、腹膜垂も、医学用語ではすべてアッペンデックスですからね。英単語本来の発音はアッペンディックスだけど、第七感のことをセブンセンシズって書いてるマンガだし、よしとしましょう。聖闘士星ングリッシュです。


と、医療の話をしているのに聖闘士星矢が出てくるってのも、ある種の脳の混線だろうとは思います。ただこのような混線は必ずしも不具合とは限りません。医療とギリシャ神話は本来混線ではなく、根っこで関連しているものですからね。「cancerはカニという意味だ」みたいな連想にもつなげることができて、便利です。

そう、混線って、連想という現象をネガティブに捉えただけなんですよね。

たぶん人類は、適者生存の過程で、連想(混線)を発達させ、ブレインをストームさせるための進化を果たしたのでしょう。

ワイヤーを蛇に誤認するという行動も、単に見間違えた、あるいはバグ的な恐怖に襲われたというマイナスなことだけではなくて、

「ワイヤーをきっかけとして、いつか本当に蛇に襲われたときに早く対処するリハーサルをしている」

というポジティブな面を持っているのです。お互い、今後なるべく、ジャングルを歩くのはやめましょう。たとえ、コンクリートジャングルであってもね。


認知症や一部の精神疾患において、本人の脳の中でどのような「連想」が起こっているのかを探っていくタイプの本をおもしろく読んでいます。松本卓也先生の『心の病気ってなんだろう?(中学生の質問箱)』(平凡社)は非常にいい本でした。この方は中井久夫先生のお弟子さんなんでしょうか? よく知りませんが。アドラー心理学がめちゃくちゃ流行している今、中井久夫先生の系譜をきちんとたどり直すと、ああ、物事って多面的だなあ、と思いますし、ある事象に対してフロイト的なとらえ方をする人とアドラー的なとらえ方をする人がいたとして、どちらかは混線なのだろうか? と、ふと考え込んでしまいます。

(2019.8.20 市原→西野)