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ささやかな夢

まてぃさん


(前回いただいたまてぃさんの記事はこちら↓)


冒頭名乗りの「談論風発」ってかっこいいですね。


今、自分で入力してみたら、「だんろ」のところで予測変換が「ダンロップ」でした。北海道は冬タイヤの季節です。すべらないように。



書店店頭で先生の過去ツイートを辿ります。「見たのはたしか先週だった気がする」。記憶をたどりながら探しますが、ツイートが多すぎて見つけられません。

よく言われます(スンマセン)。


先生が今、twitterアカウントを通じて「こうなったらいいな」と思う最大イメージはどんな世界ですか? 

・こんなこと起こるはずがない
・何があっても実現できるはずのない、ばかげた考えだ
・叶ったらうれしいけどこんな都合がよいことが世の中にあるか?

……のようなイメージをぜひお聞かせください。

これは、デジタルマーケティングの世界でいう「ゴール設定」というものにあたります。“ホーム”のありかたとゴールはセットで考えるので、ちょっとこの辺お伺いしたいです。


ゴール設定

かしこまりました。

さっそく、「病理医ヤンデルは最終的に何をしたいのか」を言語化することにします。現実的かどうかはともかくとして。そういうことでいいんですよね?



ぼくの目指すゴールは……



Bio-psycho-socio-spiritual modelのすべてに対応した、

全症候・全疾病で検索可能な、

査読付きの医療ウィキペディアを、

ぬるっぬる動く最高のUIで無償提供する



かな。

これじゃ何言ってるかわかんないですね。




すごく雑に説明すると、ぼくは、医療情報を扱うすべての人々にとっての「快適なウェブ環境」を整えたいと思っています。

Googleレベルの規模で


ありとあらゆる人々の、医療関連の悩み・検索に対応してほしい。そういうウェブシステムが生まれるところを見てみたい


「あらゆる」です。広大な医療の世界を、網羅するわけです。

そりゃあ難しいでしょうねえ。


たとえば・・・

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「腹痛」だけで検索する人なんてむしろ少ないですからね。


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これくらいに対応できればいいかな?

いやあ、まだまだ。


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腹痛だけで一晩中、検索できます。


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病気で苦しんでることを直接知りたい人もいますが、「むしろ逆に、この状況から得をできないか?」と考えるのも人間というものです。


こんなの今のGoogleじゃ無理なんですよ。いや、検索すること自体はできますけどね。

答える人がいないじゃないですか。担当を割り振られてないんだもん。

マッチングサービスみたいに、質問者が「プロの回答者」とうまくマッチすればいいんですけどねえ……。

あ、素人や詐欺師とマッチしちゃだめです。


そうそう、検索するのは「今苦しんでいる人」だけではありません。

むしろ、「今は苦しんでいない人」のほうが、大量に検索しますよ。


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もし自分に同じ事がおこったら……

家族や知人が苦しんでいるから力になりたい……

単純に興味があって知りたい……


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医療を取り巻く検索ワードはクソ多いわけです。

当たり前のことを言いますと、これらのワードすべてに目を光らせて、適切な回答を用意しようなんてこと、個人の医療者が、ひとりでやれることじゃないですよね。

無理に決まってるもの。


でも、SNSが発達すると、医療者の頭数が増えてきますよね。

解説を書ける人の数が、昔より圧倒的に多いじゃないですか。

そしたら、カバーできるようになるかな? マッチング、行けるかな?


……いやあ……たぶん無理なんですよ……。


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たとえばこのように。医療をとりまく悩み事、検索ワードを、分類してみます。症状や困りごとと病名を分けているのもポイントなんですけど、説明が長くなるのでそこは省略

ひとまず見ていただきたいのは、横にならんだ、Bio-psycho-socio-spiritualの4つです。

検索ワードってだいたいこの4種類に分かれると思うんですよ。


【Bio(科学的)】

新型コロナウイルスにかかるとなぜ臭いがわからなくなるのか? 「虫垂炎」とはそもそもどういう病気なのか?


【Psycho(精神的)】

生理痛が厳しい日に働くのがつらい……

○○がんと診断がついてしまった……がっくり……。


【Socio(社会的)】

痛み止めを飲むと車の運転ができなくて仕事にならない……。

○○病と診断されると職場で差別されたりしないだろうか?


【Spiritual(信条的)】

こんなにつらい目に遭っているのは「これまでの行いのむくい」なんだろうか。

○○がんと診断されてから自分の人生を見直している。



で、これらを細かくおいかけていくとですね、医療者が、専門知識をもってばっちりと回答できそうなのは……。


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まあこのへんだと思うんですよね。

精神的な部分や社会的な部分は、精神科医やソーシャルワーカーをはじめとする高度な専門家たちを除くと、普通の医療者はいまいちピントはずれのコメントしかできなかったりもします。だから、△。

最後のSpiritualな部分なんてのは、哲学とか宗教の力を借りないと、歯が立たないかもです。


これらを、素人がその場の思いつきで適当に答えたってダメなわけですよ。そんなの詐欺師の温床になるだけですからね。


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もう「懐かしい」話になってしまいましたけど。一度、WELQというサービスがやらかしたんですよね。素人がてきとうに書いたレベルの医療情報で、「医療版のウィキペディアですwww」みたいなテンションのサイトを作っちゃった。ボッコボコに殴られて、時代の波濤の藻屑となりました。


質問がどれだけ多くても、どれだけ込み入っていても、検索した先に、「その道のプロ」の目を通った信頼できそうな情報があってほしい。


そして、それを、「めちゃくちゃかんたんなUI(ユーザーインターフェース)」で実現したい。理想をいうと……


あるツイッターアカウント(bot)にリプライをするだけで、「その疑問にはこのアカウントが詳しいぜ」って教えてくれる


ってくらい、シンプルだといいですね。それくらいじゃないとだめでしょう。



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これを実現することが、ぼくの「ゴール」です。

こんなかんじで、いかがでしょう? ウフフ、ささやかな夢、語っちゃいました。


(2020.12.9 市原→まてぃさん)